わんちゃんねこちゃんの介護の現場より

堺市を中心に高齢のわんちゃん、
猫ちゃんの訪問介護のお仕事をされている、
ペットケアステーション大阪代表の杉原真理さんより、
ペットの介護についてお話し頂きます。

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読者の皆様、動物達にも長かった冬がやっと終わりましたね！あなたの街の老犬・老猫サポーター老犬介護士の杉原真理です。

さて、今回のテーマですが、「"感謝"の気持で最期を迎える」です。

このコラムの最初の頃に書かせて頂きました人間も動物も避けて通る事ができない、、、終末期に関するお話です。場合によっては、こういったテーマをお聞きしたくない（見たくない）、という方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ、知っておいて欲しい、、、という気持ちもあって、今回、テーマとして挙げさせて頂くこととしました。

先日、ある老犬ちゃんの飼い主さん（お客様）から久しぶりに連絡があったのでした。その老犬ちゃんは驚異の21才（mix）で、前回、約6ヶ月位前に会っていました。※21歳は人間の年齢でいうと推定100歳超になります！
前回お会いした時は車いすを使って元気に歩き回っていて、ご飯もよく食べていましたね。

さて、今回、ご連絡頂いた内容なのですが、「食事介助をしたいので、食事介助用の注射器はありませんか？」という事でした。そこで、何事か詳しく状況をお聞きした所、1週間前から全く立てなくなり寝たきりへ、それでもご飯はなんとか食べてくれていたのですが、ご連絡があった日の3日前から自力で全く食べられなくなくなったと言うことでした。

何が起こってもおかしくない年齢なのですが飼い主さんとしては、「なんとかもう一度復活してほしい！」という気持ちが、電話で強く伝わってきたのでした。
読者の皆さん、21年間ですよ！その間、子犬の頃からずっと一緒にいたワンちゃんです。飼い主さんのお気持ちは痛いほど判りましたね。そこで、良く知っていることもあり、何はともあれ老犬ちゃんに会って状況を確認したいと思い、翌日、ストックしてあった食事介助用の注射器を持って行くお約束を早速したのでした。

それから、連絡のあった日の夕方、また、飼い主さんからメールがあったのです。「ミルク、ちょっと飲んだんですよ！」と、とっても嬉しそうに可愛い絵文字と共に送られて来て、私もその時は、「もしかするとまた復活してくれるかもしれない。。。」と嬉しくなったのでした。

しかし、翌日の朝早くに飼い主さんからメールが届きました。「注射器、もう要らなくなりました。昨日、あれからミルクも吐きました。主人からも、"もう良くはならないよ"と言われました。」と、短いメールが。。。結局、その日の訪問は中止となりました。

そして、その翌日の朝、老犬ちゃんは天国へと旅立って行ったとの連絡がきました。

その日の夜、少し落ち着いてから飼い主さんからメールが届きました。そこには、「あの時、"注射器を持って行きます"と言って下さったこと、本当に感謝しています。」という感謝の言葉が書かれていました。その感謝の言葉を見て、少しだけホッとしたのでした。

動物介護は、介助行為や介護技術に注目がされる事が多いですが、動物の場合、人間の介護と違って、援助行為の殆どが介護者（飼い主さん）に掛かっているため、"飼い主さんのケア"がとても大事になってきます。特に、終末期を迎える時に、飼い主さんが達成感を持ってお迎えできるか、によってその後の飼い主さんの人生にも影響を与えることもあるためです。（トラウマ、ペットロスなど）

今回、私の一言（"注射器"）と、ミルクを飲んだことで飼い主さんが前向きの気持ちになり、ミルクを吐いた、ご主人の一言（"良くはならないよ"）によって、意気込みが低下（トーンダウン）しました。※ご主人の一言は的を得ていますし、過度の期待を持たせない、という事では間違いでもないと思います。

ゆれ揺れ動きはしましたが最期は飼い主さんの口から、「本当に感謝しています。」という"感謝の言葉"を聞けた事で私はホッとしたのでした。それは、"感謝"の中に達成感と誰のせいでもない、むしろ、関係する皆のおかげ。。。という気持ちが現れているからですね。

老犬介護（動物介護）は、飼い主さんとともに、ワンちゃんの最期を共にすることが非常に多いお仕事です。今回、たった2～3日間の出来ごとでしたが、改めて"感謝"の気持で最期を迎えられる事の大切さを、しみじみと感じた出来事でした。

ちなみに、後日、飼い主さんから改めて電話で連絡があり、少し時間が経ったからかと思いますが、「やれることはやったので後悔はして無い。本当に色んな方々に感謝しています。愛犬についても、これまでありがとう。」と、やはり感謝の言葉をおっしゃってましたね。

では、今回はここまでにしますね。次回、またお会いしましょう！