わんちゃんねこちゃんの介護の現場より
第30回『愛犬のお世話をしたいのだけどできない。。。』って、どんな状況?!
堺市を中心に高齢のわんちゃん、
猫ちゃんの訪問介護のお仕事をされている、
ペットケアステーション大阪代表の杉原真理さんより、
ペットの介護についてお話し頂きます。
読者の皆様、如何お過ごしですか?
あなたの街の老犬・老猫サポーター、ペットケア専門士の杉原真理です。
9月は残暑もあってか、愛犬にとってエアコンがはなせなかったのですが、さすがに10月になったら、まずは朝晩にエアコンを付けないことが増え、中旬頃からは日中もエアコンを切るようになり、そして、下旬になると日中も寒い日が続き、やっと秋らしい季節になりましたね。
でも、あと1ヶ月をすれば12月。あっと言う間に"冬"なんですよね。季節の変わり目は人間もワンちゃんも体調を崩し易いので、十分に気をつけて下さいね。
さて、今回のテーマですが、「『愛犬のお世話をしたいのだけどできない。。。』って、どんな状況?!」です。
先日、16歳になる中型犬のワンちゃんのところに訪問カウンセリングに行って来た時のことです。
そのワンちゃん、実は、ご連絡を頂く3日前から急に自力で立てなくなり、そして、歩けなくなったと言うことでした。16歳と高齢なので、老化に対する身体機能への影響に関しては、普段から飼い主さんも意識(注意)はしていらしたのですが、やはり、介護が必要になる瞬間が突然やってくると慌ててしまう訳で、立てなくなって始めてネットなどで情報収集を始め、私(ペットケアステーション大阪)の所にたどり着いたということでした。
何はともあれ、動物介護の専門家が近くに存在した(?)という事で安心されたようですが、とにかく「これからどうすれば良いの?」という事でヘルプをされ、今回の訪問カウンセリングに至った次第です。
さて、お話を訪問当日に戻しますね。訪問させて頂いた時、実は、お電話頂いた時から少し状態が良くなっていたようで、少し支えてあげることで何とか自力で立てるようになっていました。そして、短い期間だけどお散歩も出来たとお話をされたのでした。勿論、立てなくなった時、掛かりつけの動物病院で診察を受けられたので結果をお聞きすると、立てなくなった理由は、「高齢に伴う老化でしょうね。。。」との診断結果で、医療面での明確な原因(疾患)がなかったことから、補助をするなどで立たせることや、歩かせることに関しても十分に注意することを条件に許可を受けたとのことでした。(この辺は、重要なことなのですがシッカリされていましたね。)
お会いした飼い主さんは、本当にそのワンちゃん(老犬ちゃん)のことを大事にされていて、お家の中も綺麗にされていたのですが、ワンちゃんの体からは匂いがキツくなっているのが直ぐに判りました。そして、少し観察すると排泄部分の毛がかなり汚れているのも確認できたのです。
そこで、その場でワンちゃんの排泄部分を寝ている状態のまま、お湯を使って洗うこととしました。
しかし、洗うためにワンちゃんのお腹の部分を触ると、、、ワンちゃんは後ろを振り向いて、唸っていたのです。つまり、嫌がっているということですね。「あれ?!」と、思って飼い主さんにお聞きすると。。。「お腹部分より前をもつと怒るんです。私も怖いので触ることができないんです。でも、この状態になるまでは本当にいい子で滅多に吠えることもなく、また、体を触っても怒ることはなかったのですよ。。。」とおっしゃったのでした。
そして続けて、「実は、お散歩から帰ってきて、一度寝た状態になると寝返りをしたくてもやっぱりこの子が怒るので、私はできないんです。だから、お散歩に行けなかった日には、体の位置を動かすこともできないので、1日中同じ場所で同じ体位のこともあって、さすがにそれは可哀想だったので、○○に住んでいる息子を呼んで寝返りをしてもらっています。」と、飼い主さんは、申し訳なさそうにそうお話をされたのでした。
訪問した時も、ワンちゃんの体を移動させたいというご希望があったので、ワンちゃんが怒る場面も少しありましたが、ワンちゃんの体の位置を変えさせて頂いたのです。
実は、今回と同じようなケースを今までに何回か経験しました。今回のように、ずっと元気だったのに急に立てなくなると、やはり動物もそのギャップと痛みなどからストレスが強くなり、これまでには見られなかった行動、例えば今回のような「噛む行為」が始まった、ということはよく聞きます。そして、急に噛む行為が始まると、飼い主さん自身もこれまでの愛犬とのギャップから愛犬の事を、「怖い」と感じて、愛犬に触ることができなくなることもあります。
人間の親子でいうと、急に反抗期が来て、これまで素直だったときのギャップからどう対応して良いか判らない、、、という状況に少し似ているように感じますね。
今回も、飼い主さんが触れられなくなったことで、体を清潔に保つ事ができず、汚れた状態のままになってしまったようでした。
ワンちゃんは急なギャップにストレスが強い状態でしたが、時間が経って今の状況に慣れるとストレスも徐々に弱まり、落ち着いてくることもあります。(落ち着かないこともありますけどね、、、)
ただ、咬む行為が見られるからといってお世話をしない訳にはいかないので、飼い主さんには、エリザベスカラーなどを使って自身のガードをしながらでも、お世話をしていただく方向でご提言させていただくことが多いです。
今回も飼い主さんが、突然の事にビックリされ、「怖い」という感情からお世話が出来なくなっていたので、エリザベスカラーを使って、まずは私が付き添いながら実際にお世話をして、(唸ったり、咬む行為は見られましたが、)お世話が出来る、という体験をして頂きました。
そして、再度カウンセリングをして、今後(お一人で)普段のお世話が出来そうかを確認いたしました。その時、万が一の場合や出来ない時はお手伝いをすることが可能であるとお伝えすることでプレッシャーを少なくしたためか、「大丈夫です。やれると思います。」というお返事を頂くことができました。
「お世話がしたいけどできない。」ということも、飼い主さんの心身的な原因から起こることが実際にあるんですね。勿論、そうなるとワンちゃん自身も可愛そうな事態になることもあるので、飼い主さんの心身面の負担を和らぎつつ、本来の関係(愛犬・愛猫と飼い主の関係)に戻すことが大切だと思います。
なので、今回、連絡を頂けたことは本当によかったと思いました。
ちなみにその飼い主さん、その後ご連絡をすると、、、何とかお世話をされているとのことでした。そして、ワンちゃんも一時期に比べると少し落ち着いてきたみたいです。。。あっ、でも、これで一件落着(終わり)という訳ではありません。今、まさに普通(?)に介護状態が始まった(スタートした)、、、という事でしょうか。
では、今回はここまでと言うことで次回、またお会いしましょう!!
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