わんちゃんねこちゃんの介護の現場より

第9回 動物介護の現場で起こっている現実

ペットケアステーション大阪代表の杉原真理さんのペットの介護(動物介護)に関するコラムです。

堺市を中心に高齢のわんちゃん、
猫ちゃんの訪問介護のお仕事をされている、
ペットケアステーション大阪代表の杉原真理さんより、
ペットの介護についてお話し頂きます。


"あなたの街の老犬・老猫サポーター"老犬介護士の杉原真理です。

読者の皆様、9月になって急に朝晩の気温が低くなってきてエアコン無しで寝られる時期になってきましたね。
最近はむしろ寒い位かと。。。
動物達と共に体調管理には十分お気をつけ下さい。

さて、今回のテーマですが、「動物介護の現場で起こっている現実」です。

これまでも動物介護の"真の問題"について、歩行介助、食事介助や介護の仕方といった技術的なことではなく、飼い主さんに対する心身面のケア・サポート、そして、セーフネットの整備だという事をお話させて頂いてました。
ただ、単に言葉だけで"大変ですよ"、"大事ですよ"と訴えても、なかなか伝わりにくいと感じていました。

そこで、今回、文章ではありますが、"介護の現場の実態"をよりイメージして頂けるよう、実例に沿って書かせていただくこととしました。
今回の主人公(?)は15歳の柴犬(メス)になります。早速ですが、始めさせていただきますね。

お話は今から半年前に遡ります。。。
それまでは、ごく一般の家庭で、ごく普通に生活し、家族からも愛されていた柴犬ちゃん。しかし、高齢に伴い以前から後ろ足が少しずつ弱くなってきていて、半年前には、立てなくなり座り込む時間が少しずつ増えてきていました。そして、この頃から柴犬ちゃんに変化が見えてきたのです。

それは、座り込む時間が増えると共に、「わん、わん」といった、柴犬特有の甲高い鳴き声で飼い主さんを呼ぶようになったのです。それが、「私を立たせて」と訴えていることだという事を、飼い主さんは直ぐに理解できたそうです。なぜなら、起こしてあげると鳴き止んだからでした。
しかし、徐々に座り込む時間が増え、自力で立てなくなると、昼夜分かたず、立たせてもらうまで吠え続けるようになったのでした。始めの頃、家族全員で気づいたときに立たせたりしていたのですが、吠える間隔が2時間とだんだん短くなるにつれ、ご家族もストレスを感じるようになり、柴犬ちゃんに接する態度も少しずつ"ぞんざい"になってきたそうです。

不思議なことですが、飼い主さんの態度の変化というのを動物は感じるもので、そのうち、柴犬ちゃんの顔つきも険しくなり、吠え方もひどくなっていったそうです。
最近では、足腰がますます弱くなってきたようで、立たせても直ぐにこけ、こけると吠えてまた立たせる。。。こんなことの繰り返しで、さすがにご家族で協力しあってお世話(介助)をするのももう限界、という事で、私の所にご相談の電話をいただきました。特にご依頼主さんの娘さんは、最近パニックを起こすようになっていて、15歳で既に老犬でもあり「あと、何年も生きない。」という思いだけが救いとなっているとお話をされたのです。そして、その時、飼い主さんからお聞きした言葉は、正に私が危惧していた言葉でした。
「このままだと愛情を持ってお見送りをする時ができません。もしかすると、家族全員が○○のことを憎んだまま亡くなる事になるかもしれません。今はもう、○○との楽しかった想い出すら浮かんでこなくなっているんです。。。」
この言葉を聞いたときは、背筋が寒くなる想いをしたことを覚えています。

ただ、実際に会った柴犬ちゃんは、一見、おとなしい感じで、威嚇したり噛んだりする行為は無いとのことでした。
結局、この柴犬ちゃんには悪気はないのです。ただ、自分が立ちたいと思った時に「立たせて」と"訴え"ているだけなのです。
でも、現実として、ワンちゃんのこの"訴え"が家族全員を心身の限界まで追い詰めてしまっているのです。
そしてこの時、「これが介護現場で起こってる現実(実態)なんだ。。。」と感じました。

なんだか、脅かすような内容になってしまったかもしれませんが、如何でしたか?
いつ、どこのご家庭で起こっても不思議ではない。これが介護現場で起こっている現実だという事が少しは伝わったでしょうか?

勿論、ご依頼主さんやご家族も私に相談されるまで手をこまねいていた訳ではありません。掛かり付けの動物病院の先生と相談して、安定剤を処方してもらうなどしてもらっていたのですが、3回ほど変えてもらうなど、少しずつ効果が弱くなってきているようでした。

また、立たせたら鳴き止むことから、コケないよう、立っていられるように色々と試行錯誤もされていました。
まずはネットで調べて、サークルを円形に変えてみたのですが、やはりすぐに倒れてしまいました。そこで、どうしようかと考え、次にサークルの真ん中に支柱をつくることで動けるスペースを狭くして転ばないように工夫をしてみました。さらに、その支柱を少し斜めにするなど、とにかく試行錯誤の連続だったようです。その介あってその円形のサークルの中にいる時は、外に居る時と比べて倒れる回数は少なくなったのですが、結局は倒れてしまうことは変わりませんでした。

ここまで読んで頂いたらお判りかと思いますが、第三者の目でみても、依頼主さんやこのご家族がかなり追い詰められていて、"ワラをもすがる想い"だということがよく判るかと思います。

ハタから見れば、"些細なこと"と思われる事が、実際にご家族を限界まで追い詰めているのです。これが、「介護現場で起こっている現実」であり、この状態がまさに"介護疲れ"ということなんですね。

さて、今回、依頼主さんからご依頼があったのは、「お泊りは無理だとして日中だけでも一時預かりいただけませんか?」ということでした。逆に「お泊りでなく、日中だけでいいんですか?」とお聞きしたのですが、「まずは、日中だけでも十分です。それに、なんだかんだ言っても(お泊りは)まだ不安なので。」とのことでした。

今回のように足腰が悪く、夜間に吠え続ける(夜鳴き)場合、ペットホテルで引き受けてくれることは非常に難しいです。何より年齢(15歳)だけでお断りされることも多いかと思います。私は、最近、訪問介護だけでなく介護が必要なワンちゃんを預かる"老犬デイ(一時預かり)"も考えていたので、今回、そのモデルケースということでお預かりすることとしました。

こういったご家族が心身面でかなり疲弊されている場合、まずは、この状態(介護疲れ)を脱することを第一に考える必要があります。そのためには、この余裕がなく追い詰められている状態から"逃避"することが大事なのです。ただ、実際に逃避することで柴犬ちゃんのお世話を放棄する訳にはいかないので、今回、"老犬デイ(一時預かり)"がその代替をする訳です。

今のご家族にとってはたとえ1週間に1日、2日、いや、日中だけだとしても心身が休める状態が出来ることが精神的な支えとなります。こうして、まずは直面する課題(介護疲れ)を解消しつつ、柴犬ちゃんの夜鳴き(本題)の対応を考えていくことになるかと思います。

今回、お話を聞いてくるなかで色々と試してみる価値のある施策もいくつか考えました。
ただ、こういうときは焦ってあれもこれもと一度に提案するのも良くないんですね。それは、一歩間違うとご家族自身が、これまで頑張ってきたことを"否定された"という思いが出て逆効果になる可能性があるからです。
まず、ご家族に余裕がまだありませんし、初めてお会いしたことで、信頼関係などご家族との距離もまだあるかと思います。そのため、飼い主さんとの距離を縮めながら、段階的に、少しずつご提案するというのがポイントになります。

そういうことで、今回は、まずは日中預かりをしながら、ワンちゃんのことを観察して実態を把握させて頂くことをご提案させて頂きました。それでも、限界と言われていたご家族にとっては一筋の光(道)と感じられたようで、帰る時には、ご依頼主さんもこころなしか顔色も良くなり、少し笑顔も見れたようで、私自身、少しホッとしたのでした。

今回のお話は如何でしたか?"介護現場で起こっている現実"について、できるだけ具体的にイメージして頂けるよう少しドキュメンタリー風に書いてみました。今回の事例は解決するまでに少し時間がかかるかもしれませんが、どこかのタイミングで、"その後"という形をお伝え出来ればと考えています。

では、今回はここまでで、次回、またお会いしましょう。

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