わんちゃんねこちゃんの介護の現場より
第5回 イメージ出来ない事は、出来ない?
堺市を中心に高齢のわんちゃん、
猫ちゃんの訪問介護のお仕事をされている、
ペットケアステーション大阪代表の杉原真理さんより、
ペットの介護についてお話し頂きます。
"あなたの街の老犬・老猫サポーター"老犬介護士の杉原真理です。
読者の皆様、すごし易い春の陽気も"あっ"と言う間に通り過ぎて、最近は夏の暑さを感じさせるようになってきました。
「梅雨は梅雨でお散歩が大変」
「夏は夏で暑くて熱中症が心配」
厚い毛皮を着込んだ動物達には、過ごし難い季節が近づいてきました。
さて、第5回目のテーマですが、「イメージ出来ない事は、出来ない?」です。
前回は"食事"に対してお伝えしたのですが、果たして読者の皆様は「強制給餌」とか「食事の介助」と聞いてイメージが沸くのだろか。。。そんなことを思いながら、次回(今回)はどんなテーマで動物の介護についてお伝えすべきか考えた結果、上記のようなテーマとなりました。
さて、題名を見て「これ、どういう意味なんだろう?」と思われた方が殆どだと思います。
「なんだか謎解きのようで面倒。。。」
そんな非難の声を頂くことも承知の上でこんな題名としました。
では、言葉を補足して謎解き(?)をしますと以下になります。
「介護の実態(現実)をイメージ出来なければ、介護への準備や予防も出来ない。」
普段、私たちは"忙しい社会"で生活している(特に関西は。。。)中、やはり、何かとセッカチになる事が多いと思います。例えば何かにつけて、「とりあえず答えを教えて!」という方も多いのではないかと思います。勿論、私も例外ではありませんが。
最近では私も色々な所でセミナーをする事が多くなりましたが、色々な方と動物の介護に関してお話をすると、
「どんな予防をすればいいでしょうか?」
「何を食べさせたらいいでしょうか?」
「結局、シニアになってら何をすればいいのでしょうか?」
こんな感じで、とにかく"答え"を最初から求める方が多いです。でも一方で、動物介護に関してイメージやご存知なことをお聞きすると、実際の介護とはイメージ、知識が相違しているって事は結構多いです。
例えば、
"食事介助での強制給餌ってどんな状態で必要になるの?"
"動物の排泄・排尿の介助ってどんなんだろう?"
"身体介助の寝返りってただひっくり返すのと違うの?"
"動物の認知症ってどうなるの?何が困るの?"
もし、ご両親や親族など身近な方で実際に介護されている方がいる場合には、ある程度は介護というものをイメージできるかもしれません。しかし、そうでなければ、実際に動物介護の現場を撮影した動画を見て頂いたり現場のリアルなエピソードをお話すると、「思っていたのと全然違ってました」とか、「これが動物の介護なんだとやっとイメージできました」とか、そんなコメントをとても多く頂きます。
さて、それでは、なぜ動物介護に対して"イメージを持つこと"に拘っているかといいますと、それは、「人はイメージできないことに対しては正しい行動が出来ない」からです。
即ち、正しい介護のイメージが出来ていないと、正しい予防や準備が出来ないということです。
なので、私はセミナーをするときは、まず最初に実際の介護現場の動画をお見せするようにしています。
そして、動物介護の現場ってこうなんだ。。。というイメージを持ってもらってから本題に入ることが多いです。
それは、もしもイメージができなかったらば、
「7歳になったら将来に備えて予防を考えてね」
「7歳になったら将来のために今から準備してね」
とお伝えしたとしても、"将来"がイメージできていないので、結局、
「何に対して"準備"すればいいのか?」
「何に対して"予防"すればいいのか?」
が心の底から判らないからです。(勿論、表面的には理解できるとは思いますが)
そして、言われた事や書籍やネットに書いてあることを判らないままにそのまま実行する。。。
それでは本当の意味で予防や準備になっていない事が多いのです。
例えば、
「そんなに甘い物ばかり食べていると糖尿病になっちゃうよ」と言われて、
それじゃあ甘いものを止めようと表向きは判ったつもりでも、
「糖尿病ってどんな症状なの?」
「糖尿病って痛いの?」
「糖尿病になるとどう困るの?」
「糖尿病になると周りに迷惑かけるの?」
・・・
糖尿病の怖さや実態、そして、実際に糖尿病患者のお世話の現場を知らなかったら、予防や準備に対するアドバイスも心に響かないのではないでしょうか?
実は、最近は動物でも糖尿病を患うことがとても多いです。特にネコちゃんの場合、高齢化に伴い腎臓病を患う事が多いのですが、高齢化に伴い糖尿病になる子も増えています。(注:若くても体質上、発病することもあります)
「でも、糖尿病って命に関わる病気ではない。」
「食事制限などはあるかもしれないけど。。。」
そういったイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、糖尿病の治療としてインスリン投与(注射)があります。
動物の場合、(当たり前ですが、)自分で病院に行って注射をしてもらうことはできないので、実際は飼い主さんが毎日、病院に行って注射を打ってもらうか、獣医師さんから許可を貰って自宅で飼い主さん自身が注射されるか、いずれにしても毎日欠かさず投与と血糖値などの観察が必要になります。
(動物の場合、)全てが飼い主さんに掛かってくるため、周りに協力者(家族、親戚、友人など)が居ないと旅行などイベントにも気軽にいけません。そして、糖尿病は生涯に渡ってお付き合いする可能性もあるため、飼い主さんも長期間のお世話に伴い心身共に疲弊する事が多いです。
私(杉原真理)の所にも糖尿病を患っている動物の介護を依頼されることが結構ありますが、依頼をお受けすると本当に感謝されます。それだけ"動物の糖尿病"って大変なのが実態なのです。
しかし、このような実態を知らなかったら、
『予防をしましょう』とか
『準備をしましょう』とか
周りから言われてもピンと来ず、余り深刻に考えれないのではないかと思います。
今回のテーマでお伝えしたいのは、動物の介護について関心があるところで良いので、まずは、イメージを持って頂いたり、実態を知って頂きたいと思っています。
そして、それから関心が強い事(例えば、食事介助、身体介助)に関して、それぞれで"予防"や"準備"について考え、行動をしていただきたいと考えています。
『動物の介護にはどんな介護、介助があるの?』
『動物の介護ってどんな状態になるの?』
『介護が必要になる時ってどんなとき?』
『介護が必要になる前って何か予兆はあるの?』
『動物の介護って私たちの生活にどう影響してくるの?』
『介護される動物ってどんな気持ちなんだろう?』
・・・
まずは、こんなことで良いかと思います。
今後はこのコラムでも介護の実態について、できるだけイメージしていただけるようお伝えしていこうと考えています。(今後は、可能であれば動画や画像を交えた記事というのも検討していこうかと。。。)
ご期待下さいね。
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