動物病院から学ぶトレーニングの必要性

第44回 野犬ルル~出会い~

動物病院から学ぶトレーニングの必要性

動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。


動物病院で働くようになり、たくさんの犬と人との物語を見る機会が増えました。その中で私の人生を変えそうな出会いがありました。

それは、本当に偶然でした。ある日、私は、しつけ教室の間の時間に診察スペースをうろうろしていました。すると看護師から「この子だせませんか?」とクレートを指さして言われたのです。「元野犬って事で他の病院で断られたみたいで血液検査したいけどうなって出せないんです。」と。無理だったら麻酔かけてやります。と言われ何だかその為に麻酔をかけるのも可哀想かなと思い頑張ってみますと扉を開けてだしてみたらトコトコトコ…とでてくるではありませんか!!!これは私もドキドキしました。が、かなり怖いのでしょう。脱糞、失禁と体は汚れてるわで人を警戒しまくりの状態です。これじゃぁただの「野犬」で「家庭犬」ではないと感じトレーニングを進めました。

家でも触れない、クレートからでてこないとの事で預かってトレーニングをする事になりました。最初はハウスからもでてこず、「隠れたい」だけで隅っこに隠れて逃げ回る。この子が本当に家庭犬として変われるのだろうか?と思うくらいでした。ご飯も姿を消してからじゃないと食べない、と根競べです。毎回私の顔を見るたびに唸られ、心が折れそうになる私がいました。ですが徐々に変化はでてきてリードをもってドッグランまで行きトイレをして帰る、という家庭犬だったら当たり前の事が野犬にはリードで歩く事がわからないから大変なんです。これができるようになりいつの間にか恐がりながらですが外での散歩のできるようになり2週間でめきめきと成果が表れ始めました。一か月を過ぎると犬同士遊べるようにもなりいきいきした姿が見受けられるようにもなりました。名前にも反応してしっぽをぶんぶん振る姿がとても愛らしい子でした。色々やんちゃはしますが「人を信じる事が出来ればOK」です。「野犬」でも変われる事が出来るんだと気づくと「野犬」って「犬」のありのままの姿をしてるなぁと改めて思います。「家庭犬」とは違った新しい魅力を発見できた出会いでした。ですが、ルルちゃんまだまだ事件を起こすのですよ…。これが本当の私のトレーナーをやっててよかったと、間違っていなかったと思った出来事です。

次回、ルルちゃん奇跡を起こす編です。

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プロフィール

著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー

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