動物病院から学ぶトレーニングの必要性
第5回 動物病院から学ぶトレーニングの必要性②
動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。
動物病院では様々な病気を抱えた犬達、猫達がオーナー様と一緒に訪れます。
今回は、「分離不安」という病気とトレーニングに繋がるお話をご紹介させて頂きます。
プードル2歳の男の子の場合
「留守番ができない」という悩みでした。24時間自由に部屋中を行き来できる状態。
・出て行こうとすると吠えだす
・一日中ずっと後ろについて来て側から離れない
・美容に預けて仕上がってハウスに入っている時ずっと鳴いている
・出かけ先でもオーナーが見えなくなると鳴く
ダックス4歳の男の子の場合
4歳までずっと家の中を自由にできる生活スタイルから、赤ちゃんが出来てサークル中心の生活になったそうです。
・ハウスの中で毛布、トイレトレイを破壊
・鳴く
・自分の毛をむしる(自傷行為)
・ハウスに入れるとトイレをしてしまう
この二頭のトレーニングの改善点は何なのかお気づきでしょうか?
まず、二頭の共通点は「自由にできている状態」でした。「自分の部屋」がなかったのです。
もちろん一部屋与えて下さいと言っているわけではありません。
サークル、クレートというものがなかったのです。
では、なぜそんなにサークルとクレートが必要だというのかをご説明いたします。
サークル、クレートの必要性について
「サークル」「クレート」は叱る場所でも閉じ込める場所でもありません。「安心、休憩できる場所」です。
私が人間として経験して気づいた事ですが、私は二十数年間、家族と一緒に暮らしておりました。
そこには一人部屋というものがなく、何かをする時でも必ず周りに家族がいたのです。
試験勉強、友人と遊ぶ時、辛かった時等、一人になりたくてもなれない環境が今まで続いていました。
そして、一人暮らしを始めてやっと一人で落ち着ける時間が出来るようになり、自分の気持ちをコントロールできるようになったのです。
もちろん、家族の事が大好きですし、たまに実家に帰りたくなって帰ったりもします。
ですが自分の部屋がある事で、そこで自分の気持ちや感情をリセットする事が出来るようになりました。
犬も一緒です。
もともとは群れで行動する生き物です。
いつも周りに人がいて、安心できる人がいる状態が当たり前になっているのです。
それを急に一人になる事で不安でパニックになり、オーナー様が言う「問題行動」が明るみになるのです。
それが吠える、破壊する、自分で傷をつけるといった行動につながっていきます。
もちろんそうなってくると、吠え続けて声帯に傷ができる、破壊行動により誤飲やケガをする、自傷行為により皮膚の治療が必要になってきます。
ひどい子は、全身の毛をむしってしまい毛がなくなってしまう状態の子もいます。
そうなると病院で処方されるお薬で、安定剤、鎮静剤等を使いながらハウストレーングや訓練を行っていく必要になります。
もちろん、いきなりお留守番の時に慣れないハウスに入るとかはせずに、段階をふんでいく必要があります。
オーナーが自宅にいる時にでもハウスに入る時間をつくり、「休憩」させる時間を作ったりします。
誰かがいる時はずっと出しておくのではなく、じっとする時間をつくって気持ちのコントーロールをできるようにしてあげてくださいね。
しずかにしていたらおやつをハウスの中にいれてあげる、その練習を何度も練習してあげてください。
お互いがストレスなく生活できるように今一度、ハウス、サークルの必要性、自宅での環境を整えてあげて下さいね。
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プロフィール
著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー
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