動物病院から学ぶトレーニングの必要性

第10回 動物病院から学ぶトレーニングの必要性④

動物病院から学ぶトレーニングの必要性

動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。


今回は、「口輪」についてご紹介させて頂きます。

「口輪」とはどんなイメージをお持ちでしょうか?と問いかけると必ず返ってくる言葉があります。それは「可哀想」「噛む子がつけるもの」です。確かに見た目は、口が塞がれてきつく見えます。ですが口輪の意味はたくさんあります。

まずは、何故口輪をつけるのか?という理由を探していきましょう。例えば、私達は喧嘩や口論、危険を感じた時に「言葉」や「抵抗」で体を使って防御する事ができます。ですが犬達はどうでしょうか?「やめてよ~!!」「その作業いややねん・・・」と言葉で話してくれたら訓練士としてもとてもありがたく、扱いやすくなりますよね。前足や後肢を使ってパンチ!なんてしてくれてもわかりやすいのですが、犬達にはまず無理な話です。

「犬はすべての事に歯を使う」事を覚えておいて下さい。嬉しい時、恐い時、怒っている時、全ての興奮を「歯」を使って表します。犬達からしてみれば大事な武器なんです。
今でも聞こえてくる「叱る時は口を押えて怒りましょう!!」は、もちろん絶対に間違ってるとは言いません。ですがかなりのリスクがある事を頭に置いておいてください。一番大事な武器を邪魔しに来るということは危ないものになってしまいますよね?私達の手がその危険なものになってしまうと、その手から守ろうとして問題行動と呼ばれる「噛む」になるのです。手が口に近づいてくると噛む習慣ができてしまうと「歯磨き」「目ヤニ」を取るといった作業ができなくなります。できるだけ控えるようにしてくださいね。

口輪をつけると私たちの安全を守る事も出来ますが、一番の理由は「犬の安全の為」です。

1 興奮して体を触れない時
2 犬同士で喧嘩してしまう時
3 人が怖くて噛んでしまう時

1の場合は口輪をつける事で興奮を抑えやすくなります。一番大事な武器が使えない状態ですから気持ちは自然に落ちていきます。
2の場合は犬同士、お散歩中等に出会う犬やドッグランに出かけたときにトラブルになってしまう…。そんな時に興奮を落とし、周りに理解を求める為に利用します。
3の場合は出会う人に噛んでしまう、パニック状態になっている時などにどうしても容姿が可愛いと近づいてきてくれる人がいます。そんな時に「距離を置いてもらう」処置として利用します。

相手にどんな子なのか?距離を置いて接する事で犬の安全を守ってあげるという事が出来る道具です。
今一度、口輪の必要性を考え直してみてくださいね。

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プロフィール

著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー

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