動物病院から学ぶトレーニングの必要性

第7回 熱中症対策と、来院時に役立つトレーニング

動物病院から学ぶトレーニングの必要性

動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。


九州地方で発生した熊本地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方のお見舞いを心より申し上げます。一日も早い復興を祈っております。

今回は、動物病院にてこれからの時期に必ず増えてくる『熱中症』についてお話しさせていただきます。
毎年必ず5月、6月あたりからテレビのニュースで、犬の熱中症の報道が流れてきます。
熊本地震に関する報道でも、車内での熱中症が報道されていました。
熱中症は鼻が短いフレンチブルドッグ、パグ、シーズーといった犬種や、熱を吸収しやすい黒色の毛が多い犬種(ラブラドール、バーニーズ)、超大型犬もかかりやすいです。
車内、エアコンの入っていない室内などは、最も注意が必要です。

必ずエアコンをつけるようにしてください。
また真夏になるとお昼の時間帯だけでなく他の時間帯でもなりやすくなりますので、こまめに犬の様子を見るなどして温度管理をしてあげてください。

この時期から、お昼の時間に散歩におでかけする際は、首に保冷材をいれてカバーするグッズや、体をひやしてくれるお洋服を着せてあげると、犬の負担も減らせます。
また、ダックスやコーギーといったお腹と地面が近い犬種もかかりやすいので要注意です。

熱中症になると現れやすい症状は、息が荒くなり、ショック状態で体がだるくなってぐったりする、下痢、嘔吐、チアノーゼ等です。
様子がおかしいと気づいた時は、病院にかけつけるまでの間に体を冷やしてあげてくださいね。
症状が落ち着いたといっても内臓にダメージを受けている可能性があるので、必ずかかりつけの病院に向かってください。

この時に、体に触られる事になれていないとお洋服を着させられなかったり冷やす事ができなかったりするので、自宅で触られることに慣れさせておく練習をしておきましょう。
子犬の教室では、必ずボディーコントロールといった内容のレッスンを取り入れています。
もちろん大きくなってからでもしますが、子犬のうちは受け入れが早いので、毎日4~5分でもいいので、おやつを一回あげるたびにひと撫でし、慣らしていってあげてください。

動物病院では、獣医さんや看護師さんが体に異常がないかチェックをしたり体温を測ったりと、必ずといっていいほど愛犬の体を触ります。
もちろん看護師が保定をしたりしますが、愛犬が安心していられるように飼い主さんでもしっかり保定できるようになってあげていてくださいね。
体を触る練習の時にはまず口元から遠い場所から触って行ってあげて下さい。
背中→お尻→後ろ足→お腹周り→前胸→首回り→耳→おでこ→目→口元
といったように徐々に口元に近づけていってあげて下さい。
口元に近づけば近づく程、手を噛みやすいからです。
まずは片方の手でおやつをあげながら反対の手に意識がむかないようにゆっくりと触っていくようにしていきます。
動くものに対して敏感な動物ですからまずは噛ませない習慣を作ってあげて下さい。

よく、しつけ本やDVDに書かれている、手で口元を抑えてきつくにぎって怒る!という内容がありますが、絶対にダメ!とは言いませんが、手に対して抵抗をもってしまう犬が多くみられます。
犬は、口でしか自分を守れません。
うれしい時も、怒る時もすべて歯でアピールしてきます。
その大事な場所を壊そうとするものは犬にとっては大敵です。
「手」もその一つになりかねません。
まずは手に対して良いイメージをつける習慣をつくっていってあげてくださいね。

人間と犬どちらにも共通して言える事ですが、早期発見が長生きに繋がります。
いつでも愛犬の体の変化に気づけるように毎日の小さな積み重ねを忘れないで下さいね。
トレーニングは、一日で治せるわけではありません。
犬は、何度も経験して学習していきます。
これは、どの行動を教える事にも共通していえる事です。
もう、触れるから大丈夫、ではなく日常のケアとして取り組んでいってあげて下さいね。
飼い主さんと愛犬が快適な日常を過ごしていけますよう祈っています。

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プロフィール

著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー

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