動物病院から学ぶトレーニングの必要性

第28回 犬の学習って?②

動物病院から学ぶトレーニングの必要性

動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。


前回、ご紹介した「正の強化」と「正の罰」はご理解いただけたでしょうか?「正の強化」はプラスのイメージで「正の罰」はマイナスのイメージです。
今回はオペラント条件付けの残り2つと、古典的条件付けについてご紹介させていただきます。

まずは、ある行動をした後にいい事が終わる「負の罰」と、ある行動をした後に嫌な事が終わる「負の強化」を説明します。

―オペラント条件付け②ー

「負の罰」はある行動の後に好きなものがなくなると、その直前の行動が減るという内容になります。
人間で例えると、子供たちが喧嘩をしていて、お母さんは「喧嘩するならおやつなしね」と言います。子供たちはおやつ(好きなもの)がなくなる事で、次は喧嘩しないでおこうと考えます。
犬の場合は、吠えると目の前にあった食器を下げられると、次は吠えずに待ってみるといった行動になります。

「負の強化」とは、ある行動の後に嫌いなものがなくなると、その直前の行動を増やすといった内容になります。
人間で例えると、子供が嫌いな科目のテストで良い点数を取ったらお手伝いをしなくてもいいよと言われた。これも負の強化です。
犬で例えると盗み食いをしていたら今までは怒られていたのに、怒られなくなったのでまた盗み食いをするようになった、というのも「負の強化」になります。今まで「怒られる」という事が「嫌な事」だったので、それが無くなったことで行動が増加する原因になります。

以上の4つがオペラント条件付けになります。飼い主さんたちには比較的やりやすい「正の強化」と「負の罰」をおすすめします。やり方を間違えると信頼関係が崩れてしまいかねないので、一度自分に置き換えて考えてみてくださいね。

次は、もう一つの条件付けの方法についてご説明します。

―古典的条件付けー

パブロフの犬と聞けばわかる方もいらっしゃると思います。今までまったく意味をもたなかった音が、繰り返しご飯とあわせて提示される事で、音を聞くだけで唾液を分泌するようになったという実験のお話です。私達でいうと、梅干しを想像するとすっぱいイメージから唾液が分泌されるのも同じ反応という事です。

犬にトレーニングで使う場合は、「イエス」という言葉とおやつを関連つけることで、「イエス」という言葉に対してイメージをプラスに近づけていく事ができます。クリッカートレーニングでも最初に行う条件付けでもあります。時間がない時でもフードを何粒かよけるなどして少しずつ練習してみてください。

愛犬で色々な発見ができると思うので、オペラント条件付けや古典的条件付けの練習を、是非試してみてくださいね。

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プロフィール

著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー

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