動物病院から学ぶトレーニングの必要性

第29回 里親という選択肢

動物病院から学ぶトレーニングの必要性

動物病院にてしつけ教室を開催しているドッグトレーナーさんが、来院されるペット達と接する中で改めて気付いたトレーニングの重要性を教えてくださいます。


動物病院には様々な犬がやってきます。最近では、野犬が連れて来られる事も多くなってきました。日本ではかなり減りましたが、今でも河川敷などに野良犬の群れがいる事があります。その子達を保護して新しい里親先を探すというボランティア団体がいらっしゃるのをご存じでしょうか。
4~5年、もしくはそれ以上の間、野良犬生活をしてきて、いきなり家庭に入るわけですから、ヒトとの生活なんて分からない事だらけで当然です。そんな子達にトレーニングやリハビリを重ねて、人を信頼してもらえるようしつけるお仕事は本当に大変です。

怖がりの子に対して「同じ気持ちになってあげて下さい」とよく言われます。もちろんそれも大事ですが、それよりももっと大切なのが「ついてこい」と言ってあげる事です。

例えば、私達の上司と部下で考えてみてください。凄く頼りになる上司とはどんな人かイメージしてみてください。「○○さん、この書類はこれで大丈夫でしょうか?」と聞いた時に「いやぁ、わかんないなぁ?大丈夫かな?」といったようにナヨナヨしているのか、「これで大丈夫。よくやってくれた、ありがとう」と言ってくれる上司か、どちらが信頼できますか?もちろん同じ立場になって考えてくれる上司も素敵ですが、正しい・間違っているとはっきり言ってくれる上司の方が安心できませんか?

犬も同様です。ちゃんと怒ってくれる人、褒めてくれる人が頼りになるリーダーなんです。「この子、怖がりだからだめなんです」じゃなく、「させる事」それが大事なんです。もちろん極度の怖がりの子には段階が必要ですが、一度自分の犬に対する考え方を変えてみてはいかがでしょうか?

話は逸れましたが、野犬に対するイメージは「危ない」「危険」「怖い」というものが多いかと思います。ですが、ひとたび懐けばとてもかわいい子達です。犬を迎えたい、そんな気持ちがある方は、ぜひ一度保健所に足を運んでみて下さいね。もちろん野犬かどうかに関わらず、行き場を失った子達が新しいおうちに迎えられる事が一番理想です。その時に、悲しい過去があるから・辛い経験をしたからとマイナスに捉えるのではなく、新しい今をみてあげられるような飼主様が増える事を祈っております。

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プロフィール

著/高加奈絵
トレーナー
大阪動物医療センターでしつけ教室を開催。8年間、訓練所にて問題行動の改善、トレーニング、ドッグスポーツに関して経験を積む。
■取得資格
PSGドッグトレーナー、アニマルアロマ、トリマー

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