ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.10 アルゼンチンの動物園で意外な役割を担う犬達

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2014年の年末から、2015年4月末にかけて約4カ月間、南米を旅しました。
コロンビアからはじめた南米の旅の最後の地は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでした。
そこには世界唯一無二な動物園が存在するということで行ってきました。
そして、その動物園では犬が意外な役割を果たしていたので、今回はそのことについて書きたいと思います。

その動物園の名前は『ルハン動物園』と言います。
ブエノスアイレスの中心からバスに乗り、2時間程で到着する町の郊外にある動物園です。
入園料は400ペソ(その当時のレートで日本円に換算すると4,000円)と値段的に少し高めの動物園です。
それもそのはず、この動物園では普段触れ合うことのできない動物達と触れ合うことができるのです。
それは、ライオンやトラ、熊や象など猛獣と呼ばれている動物達です。
熊はさすがに柵ごしの触れ合いになりますが、ライオンやトラ、象は柵の中に入り触ることができるのです。

このことに関しては、安全性や動物の福祉的観点から賛否両論あります。
動物園で飼われているからといっても野生の動物です。
100%襲ってこないという保証なんてどこにもありません。ですので自己責任で楽しむ必要はあります。

触れ合いの時、ライオンやトラは繋がれておらず柵の中でフリーの状態です。それにも関わらず、1994年にオープンしてから今年までの約20年間一度も事故は起こっていないそうです。

なぜ事故もなくライオンやトラとの触れ合いが可能なのでしょうか。

勿論、触れ合いを行うにあたり個々の動物の特性を良く理解し、トラは夜行性なので夕方以降は檻に入らない、触る時は顔を近づけ過ぎない、ライオンのメスを触らせすぎると、オスが嫉妬するからその辺りのタイミングは考えるなど、いくつか気をつけている点はあるそうですが、それだけで事故もなく触れ合いを行うのは大変難しいです。
触れ合いの時に、鎮静剤を使って動物達を大人しくさせているという噂もありますが、動物園側はそれを否定していますし、私が実際に訪れて動物達を見た感じでもそのようなことはないように思いました。

ではなぜ、ルハン動物園の猛獣は触れ合いができる程大人しいのでしょうか。

飼育員によるとその秘密は育て方にあるそうです。
ライオンやトラ達は子供の頃から人の手で大切に育てられます。
飼育員がトラの檻の中に入り、1つ1つ餌となる肉を手渡しでトラ1頭1頭に時間をかけ与えている光景を実際に見ました。
また、小さい頃から来園者に抱っこしてもらったりと様々な人と触れ合う機会が多いため人間に慣れることができます。
それに加え、トラやライオンは小さい頃から犬と一緒に育てられます。
トラやライオンの檻の中に犬が一緒に生活しているという普通の動物園では見ることのない光景をルハン動物園では見ることができます。

トラが餌をもらう時間は、犬達にとってもご飯の時間です。
トラに交じって犬達も飼育員から肉を受取り同じ空間で食事をしていました。

犬と一緒に生活させるのは遊び友達である犬が、人と接しているところを見せて、人とどのように接するべきなのかを学習させる為なのだそうです。
実際に檻の中で犬とトラが一緒に戯れている光景もみました。

長い年月をかけて人間と一緒に暮らしてきた犬達は人間の扱いを1番良く知っているのかも知れません。
人間ではどうしても伝えられない部分を犬達は他の動物に上手に伝えてくれているのでしょう。
他の動物と人との潤滑油のような役割をしてくれているように思います。

様々な動物達と上手にコミュニケーションがとれる犬達。犬は他の動物と比べると、柔軟性とコミュニケーション能力が高いのでしょうか。
その能力があったからこそ人は一緒にいるパートナーに犬を選んだのかも知れません。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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