ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.13 ペルーで毛のない不思議な犬種と出会い、彼らについて調べてみました。

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2015年2月からの約3週間ペルーを旅しました。
ペルーは、マチュピチュやナスカの地上絵など、誰もが知る有名な観光地があり、ナスカの地上絵は私にとってはあまり価値を感じないものでしたが、マチュピチュを見た時はさすがに感動しました。

また、ペルーには、ペルー・ビアン・ヘアレス・ドッグというペルー原産の犬種が存在し、ぜひ見たいと思っていたら、『太陽のワカ・月のワカ』と呼ばれる遺跡を見に行った時に見て触れることが出来ました。

今回は、その時に出会ったペルー・ビアン・ヘアレス・ドッグについて書きたいと思います。

余談ですが、この犬に出会った場所で帽子をなくしました。
正確には私が忘れた帽子を子供が被って帰ったらしいです。遺跡の見学が終わり1時間程で戻ってきて、確認したらそう言われました。
海外で落とした物が戻ってくる確率は限りなく0に近いです。落とし物が返ってくる確率が高い日本は本当に平和だなぁと感じます。

話は戻ります。ペルー・ビアンカ・ヘアレス・ドッグ。
あまり聞き慣れず、未だかつて日本では登録されている犬がほとんどおらず、日本で出会う機会はめったにない犬種です。

私は、ペルーに来て初めて出会いました。

その姿は独特で、ヘアレスドッグと名前の通り毛がほとんどない犬です。
毛は頭の上にほんの少し生えている程度で、あとはツルツルでした。

遺跡内の事務所で飼われているらしく、他の犬達と一緒に元気に走り回っていました。
こちらに自ら寄ってきて自然と触れることができたので、遺跡にいた犬はフレンドリーな印象でした。

ペルーの夏はとても暑く、冬は寒い気候です。また私がこの犬と出会ったのは砂漠地帯です。
砂漠は日中はとにかく暑く、朝夕は冷え込みます。
犬の毛は、直射日光から皮膚を護り、寒さから体温をキープする役割りもあります。
それなのになぜ、毛がない犬が生まれたのでしょうか?
そんな疑問を持ちペルー・ビアンカ・ヘアレス・ドッグやヘアレスドッグについて調べてみました。

世界には身体に毛がほとんど生えない、又は身体の一部にしか毛が生えないヘアレスタイプの犬がいくつか存在します。
日本で有名なのは、チャイニーズ・クレステッド・ドッグ。他にもメキシカン・ヘアレスドッグやアメリカン・ヘアレステリアなどが存在します。

ヘアレスドッグの特徴は目の上の感覚毛とヒゲ以外の毛がないか、頭や尾の先など身体の一部にしか毛がないことに加えて、歯が通常の犬に比べ、いくつか足りなかったり、変形していたりと歯に異常が見られること、毛がある被毛タイプの個体も存在することです。

毛がないこと、歯に異常があるのは、FOXI3という遺伝子の変異によるものだそうで、被毛タイプに変異は見られないそうです。
またヘアレス遺伝子を両親から受け継ぐと胎児致死してしまう子犬がでてしまうそうです。
また奇形や病気、寿命などにも影響を及ぼすと言われています。
確率なので、必ずこの通りに産まれるとは限りませんが、ヘアレス同士の交配だと、胎児致死率25%、ヘアレスドッグが産まれる確率50%、被毛タイプが産まれる確率25%、ヘアレスタイプと被毛タイプが交配すると、胎児致死率0%、ヘアレス・被毛タイプが産まれる確率はそれぞれ50%になるそうです。

犬の健康を考えるとヘアレス同士の交配は好ましくなく、ヘアレスタイプと被毛タイプの交配が望ましいようです。
しかし、ヘアレスタイプと被毛タイプを比べると人気はヘアレスタイプの方があり、被毛タイプが産まれてから淘汰される可能性も考えると、ヘアレス同士の交配の方が良いのか賛否両論ありそうです。

話はペルー・ビアン・ヘアレス・ドッグに戻ります。
元々彼らは、特別な宴や凶作などで食料危機になった時に食べる為の犬として、ペルーの民族に飼育されていました。
それが、貴族用のペットとして飼育されるようになり、改良され現在に至ります。

心配される日差しについては、肌が紫がかった黒色で、なめらかなことから、強いそうですが、強すぎる日差しから皮膚を護る為には、洋服を着せてあげた方が良さそうです。
色の黒い人の方が白い人より、シミが出来にくいことなどからも黒っぽい皮膚の方が日差しに強いのでしょうか。

また、冬場は皮膚が乾燥しカサカサになるので、ヴァセリンなどの保湿クリームを塗って、肌を守ってあげないといけないそうです。
セーターをきたこの犬の陶器が発見されたように、昔から寒さには弱いようなので気遣ってあげる必要はあります。

犬アレルギーの原因の1つとなるのが、犬の毛や、毛の中にいるノミやダニ、ほこりです。
毛がない犬はアレルギーの心配が減ること、またペルー・ビアンカ・ヘアレス・ドッグは、ヘアレスドッグの中では穏和で飼育しやすい犬種なことからもオバマ元大統領の飼い犬候補にあがったそうです。

ペルーで出会った犬を切っ掛けにイロイロと調べることで交配についても考えさせられました。
まだまだ世界には、日本ではあまり知られていない犬がたくさんいます。
出会う機会があればまた紹介したいと思います。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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