ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.40 リシュケシュ ヨガアシュラムの犬においでを教えてみたら

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2017年7月初旬から12月初旬までの約5ヶ月インドを旅しました。
インドは場所により違った食べ物、文化がありヨガのアシュラムにも滞在したことから、気付けば5ヶ月も滞在していました。
そんな魅力的なインド編、最後のコラムの舞台はリシュケシュです。

【リシュケシュお昼のお祈り】

【リシュケシュ夜のお祈り】

リシュケシュでは、ヨガのアシュラムに10日程滞在し、アシュタンガヨガを習いました。

【ヨガアシュラム】

同じアシュラムで宿泊していた人から、自分が飼っている犬が「おいで」と言っても来ないと相談を受けました。
その方は犬が大好きで、とても愛情をかけているのに「おいで」と言っても来てくれないどころか逃げてしまうことを、とても悲しんでいました。
滞在していたアシュラムに調度犬がいたので、その子においでを教えることにしました。
そこで今回は「おいで」で犬が来ない理由と来るように教えるにはどうしたらいいのかを書きたいと思います。

まずは「おいで」で犬が来ない理由です。

相談を受けた方も、「おいで」で犬が来ていた時期があったそうで、犬が来た時にどうしていたのかを聞きました。
その方は犬を抱っこしてキスをするのが大好きだったので、抱き上げてキスをしていたと答えました。
普段から犬が自発的に近寄って来た時も抱き上げてキスをしていたそうです。
抱き上げてキスをされた時の犬の反応を聞くと、どうやらその犬はそうされることが苦手なようです。
その方からすると自分がその行為が好きなので、当然犬も好きなことだろうと思っていたようです。

以前、パピー教室でプードルの子犬に社会化も兼ねてトンネルをくぐる項目を教えたことがあります。
トンネルは最初から長いものをくぐらせるのではなく、少しずつ長くしていきます。
トンネルをくぐったら、ご褒美をあげて下さいと言っていたので、最初その子犬の飼い主さんは、ご褒美におやつをあげたり、撫でてあげたりしていて、犬もそのご褒美が大好きで、とても喜んで順調に少しずつ長いトンネルがくぐれるようになっていきました。
最後、トンネルを一番長くしてその子犬がくぐった瞬間、飼い主さんがあまりに嬉しかったのか、その子を抱き上げてキスをしました。
その時の子犬の反応は、とても嫌そうで、今までもらっていたご褒美がもらえず、ショックを受けているように見えました。

これで終わっては、トンネルをくぐることに嫌なイメージのままになってしまいます。
そこでもう一度行いましたが、今までトンネルを見たら喜んですぐにくぐっていた子犬が、凄く戸惑い、すぐにトンネルをくぐってくれませんでした。

ここで言いたいのは「おいで」で来た時のご褒美は、与える側(飼い主)がもらって喜ぶものではなく、与えられる側(犬)がもらって喜ぶものでなければ意味がないということです。

ご褒美は犬により様々です。
例えば、食べ物、撫でてもらうこと、遊んでもらうこと、抱っこしてもらうこと、おもちゃをもらうこと、お庭にでることなどたくさんあるので愛犬は何が、どんな行為が好きなのかを日頃から意識して観察するようにしましょう。
また、時と場合により犬のご褒美は変動します。
例えば、お腹が一杯の時に食べ物をもらっても、疲れている時に遊びに誘われてもあまり嬉しくないと思います。

また、「おいで」で呼ばれる時はいつも犬にとって嫌なことばかりしていると、来ないどころかおいでで逃げる犬になってしまいます。
例えば、ブラッシングの嫌いな犬に、ブラッシングをする為に呼び寄せたり、お留守番が嫌いな犬をケージに入れる為の呼び寄せたりなどです。

犬は嫌なことあると、逃げる傾向があります。これは卑怯でも何でもなく、争わないための賢い選択です。

おいでで呼ぶ時は犬が、今している好きなことよりも飼い主さんの側にいる方が得だと思ってもらう必要があります。
怖がりなわんちゃんが、外で飼い主さんの側から離れないのは、守ってもらえる安心感というご褒美からです。
社交的で好奇心旺盛な犬が、外にでると飼い主さんの声がまったく聞こえなくなるのは、外の刺激の方が犬のとって魅力的だからです。

おいでで重要なポイントは3つです。
①おいでで呼んで犬が来た時に犬が嫌がることは絶対にしない。
②来たらその時、その犬が1番喜ぶことをしてあげる。
③初期の段階では、今呼んでも絶対に来ないと思う時は呼ばない。

この点に気をつけてアシュラムの犬に「おいで」を教えました。

まずは1番大事な、その子が1番喜ぶものを探します。どうやらこの子は撫でてもらうことがとても好きなようです。
その次に好きな物は食べることでした。

ちなみに、私は「おいで」の号令を「くろちゃん」にしました。
つまり「くろちゃん」というと来るように教えたのです。

まずは、失敗させないように絶対に来るような状況をつくります。
その子は撫でてもらうことが大好きだったのでそれを利用しました。

【撫でられることが大好きなくろちゃん】

まずは犬を撫でます。
犬が気持ちよくてもっと撫でて欲しいぐらいの時に、ほんの少しだけ後ろに下がります。
すると、犬はもっと撫でて欲しいので私に近づきます。
それを確かめてから、再び後ろに下り「くろちゃん」と号令をかけます。
犬がきたご褒美はもちろん撫でてあげることです。
少しずつ距離を伸ばしながら何度か繰り返し、犬がもっと撫でて欲しいなと思うぐらいでやめて観光に出掛けました。

【なでてとアピールするくろちゃん】

アシュラムを出入りするたびに、これを数日続けました。
もちろん、この子が他のことに夢中になっている時や昼間の暑い時間に日陰にいる時など撫でることがご褒美にならないだろうなと思った時は、呼ばないようにしました。

【アシュラム内でお昼寝するくろちゃん】

数日すると、私を見ると喜んで自分から近付いて来てくれるようになりました。

そこで、自分から近づき、最初に撫でて絶対に来る状況で「くろちゃん」と呼んでいたのを、最初に撫でず少し近付いてから「くろちゃん」と呼ぶようにしました。
少しずつ「くろちゃん」と呼ぶ距離を伸ばしていき、遠くから呼んでも来るようになりました。
来たご褒美はもちろん撫でてあげること、でも時には食べ物もあげました。
いつも同じものではなく、たまに違うのがでてくると犬も今回は何かなとワクワクします。

このワクワクした嬉しい気持ちが何をおいてでも、この人に呼ばれたら行こうと思う原動力になります。

最終的には見えないところから呼んも、何かの夢中になっている時でもそれを止めて来てくれるようになりました。

おいでは、最初から難しい状況で練習するのではなく、簡単な状況(絶対来る状況をつくって)から少しずつ難しくしていくと、どんな状況でも来てくれるようになります。

おいでと呼んでも犬が来ないと悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

補足ですが、「おいで」でもうすでに来ない子は「おいで」の号令を「カム」や「きて」などに変えてから練習することをおすすめします。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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