ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.44 昔ながらの生活をするモンゴルの遊牧民族と犬事情

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2018年7月10日からの約1ヶ月モンゴルを旅しました。
私達がモンゴルを訪れた時期は、ナーダムと呼ばれるお祭り期間でした。
その祭りでは、モンゴル相撲や、競馬、ローカルな屋台などモンゴルの伝統を肌で感じることが出来ました。

ナーダムで伝統衣装を着る親子
ナーダムで伝統衣装を着る親子

ナーダムモンゴル兵の行進
ナーダムモンゴル兵の行進

モンゴルでは、首都のウランバートルの他に、ムーロン、スガヌール、トナカイを遊牧する民族ツァータンが暮らす集落、ハトガル、ハラホリンに滞在しました。

首都以外では、電気はあるけれど、水道やガスは通っていない町が多くありました。
人々は、水は川に汲みに行き桶に貯めておく、薪を使って調理したり暖をとるなど、昔ながらの生活を送っていました。
そんな生活の中で犬を飼っている家もあり、昔の人と犬との生活を垣間見ることができました。

そこで今回は、モンゴルの生活と犬事情について書きたいと思います。

モンゴルで1番最初に犬に出会ったのは、中国との国境の町「ニレンホト」です。
中国からウランバートルに行く電車の乗り換えで通っただけなので、滞在時間はそんなに長くはありませんでしたが、野外でのんびりお昼寝する犬を数頭見かけました。
出会った犬たちは野良犬ではなく、誰かに飼われている様子でしたが、どこかに繋がれているのではなく、自由にしていました。
モンゴルでは、犬はリードに繋がず放し飼いが一般的なようです。

ウランバートルのナーダム会場では、子犬が販売されていました。
子犬は普段、200ドルで販売されているそうですが、お祭り会場ではお祭り特別価格の50ドルで販売されていました。
販売されていたのは、中国原産のマスティフ犬だそうで、モンゴルでは、庭で番犬としてこの犬を飼うのが習慣のようです。

ナーダムで販売されていた犬
ナーダムで販売されていた犬

モンゴルでは、国民1人辺り700平方メートルの土地が与えられるのだそうです。例えば4人家族だと家族で2800平方メートルの土地を所有できることになります。
ですので、だいたいの家には広い庭があり、そこで犬を飼っていました。

10年ほど前にモンゴルを訪れた時、広い草原を歩いていると犬に吠えられた記憶があります。
その犬は草原で暮らす人が飼っている犬で、私のことを不審に思って吠えたのでしょう。
犬の吠え声を聞いて家から出てきた主人が、一声かけるとすぐに吠えるのをやめ、攻撃的な態度から一変して、友好的な態度に変わったのが印象的でした。

ウランバートルの次に向かったのは、トナカイと共に生活するツァータンと呼ばれる民族が暮らす集落です。

夜行列車と乗合のロシアンバン、馬を乗り継いでようやく辿り着いたツァータンの集落。
途中で車が壊れたこともあり、ウランバートルから丸5日も掛かりました。
ツァータンは、モンゴル南西の針葉樹林地帯をトナカイを飼い移動しながら生活する遊牧民です。

私達が訪れた集落には、3家族、15人程が生活していました。
そこでは5頭の犬が飼われていました。
その中の生後1年未満と思われる若い2頭の犬は、基本的に繋がれて生活し、たまに放してもらえるようでした。

繋がれて飼われる子犬
繋がれて飼われる子犬

他3頭のベテランの犬達は、繋がれることはなく、自由に集落をウロウロしていました。
若い犬たちはどこかに行かないように最初は繋いで飼い、集落に住み着いたら放してもらえるようです。

自由に飼われる成犬
自由に飼われる成犬

犬たちは、昼間はトナカイの放牧に付き合ったり、夜は見張りをするかわりに、食事のおこぼれをもらえるのです。
それはまさに大昔、人々が犬と一緒に生活し始めた様子そのものでした。

何か貰おうと家をのぞく犬
何か貰おうと家をのぞく犬

塩をわけてもらうために家をのぞくトナカイ
塩をわけてもらうために家をのぞくトナカイ

ツァータンが信仰する考えは、全てが平等です。
サンドイッチのように、大地があり、我々がいる空間があり、天があります。
天や大地は、我々に様々な恵みを与えてくれる尊く感謝する存在ですが、それ以上でもそれ以下でもありません。

何かがあった時に助けてくれる神のような存在ではないので、神頼みはしません。
また、全てのものに平等に、地震や台風など厳しさも与えますが、それは仕方のないことであり、自分たちが工夫して乗り越えなければいけないものなのです。

このように全ての存在は平等であるという考えがベースにあるので、自分たちが生きる為に他の命を頂く行為は非常におこがましいと考えられています。
ですので、ここで生活する人々は、基本的にはトナカイのお乳やそれで作ったチーズやバターをタンパク源として食べています。
たまにヤギの肉を食べることがありますが、その時はさばく前に儀式を行い、命に敬意を払って頂きます。

その日のうちに食べきれなかった肉は、干し肉にして少しずつ大切に食べます。
このような特別な日は、犬達もご馳走を食べることができます。

肉をさばいた日にわけてもらうごちそう
肉をさばいた日にわけてもらうごちそう

彼らの生活の基となる考えは、豊かなものが貧しいものに施すという宗教的なものではありません。
人も犬も平等なので、共同生活を行う仲間に対して食べ物を分けるのは当たり前、何かあれば助けるのは当たり前なのです。

その考えが前提にあるので、人も犬も本当に自然と同じ空間にいて、お互い過剰に干渉しあうことはありません。
お互いに自分たちに出来ることを分担して、同じ場所に生活する仲間として接していました。
その様子が、本来の人と犬との関係をみているようで、とても良いなと感動しました。

人の近くに自然といる犬たち
人の近くに自然といる犬たち

世界一周の最後に訪れた国モンゴルで、昔から変わらない人と犬との関係の原点を見ることができ、本当によかったです。

モンゴルは比較的日本から近くて治安も良い国。
昔ながらの人と犬との暮らしを見る為に、機会があればぜひ訪れて欲しい国の一つです。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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