ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.43 過酷な環境で活躍するイスラエル原産の地雷探知犬

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2018年5月中旬からの約1週間イスラエルを旅しました。

私達が首都エルサレムに滞在していた時に、アメリカの大使館がテルアビブからエルサレムに移されました。
その影響でデモ活動が行われ、終日厳戒態勢が引かれていました。

【聖地エルサレム】

【デモ行進】

町には多数の軍人が銃を構え、何かあったらすぐに銃を撃てる体制を整えているのを見て、これは本当に何があってもおかしくない状況だと分かり怖くなりました。
町で見かけた軍人のほとんどは、兵役中の若者でした。

【デモ】

旅行中、特に南米で、兵役を終え旅行するイスラエルの若者にたくさん出会いました。
彼らはとても陽気で何かから解き放たれたかのように、はしゃいでいたのですが、この緊張感を何年も続けていたのかと考えると、あれだけはしゃぐのも理解できた気がしました。

私達が飛行機で到着したイスラエルの都市「テルアビブ」は、犬に優しい世界トップクラスの町だと言われています。

そんなイスラエルには、地雷を見つける為に作られた地雷探知犬がいます。
お仕事をする使役犬として、盲導犬や介助犬、麻薬探知犬などは有名ですが、地雷探知犬はあまり知られていません。

地雷探知犬の仕事は、その名の通り大地に埋められた地雷を嗅覚で見つけ出し、それを人に知らせることです。
訓練された地雷探知犬は、プラスチックと金属爆発物を嗅ぎ分けるだけでなく、土壌中の重金属にも鋭敏に反応することが出来きるそうです。

地雷は安価に仕掛けることが出来た為、世界中で戦争時に数えきれないほど埋められました。
イスラエルでは、ヨルダン川周辺に多くの地雷が埋められ、現在でも撤去作業が続いています。

【地雷(イメージ)】

犬の体重は人よりも軽く、地雷の上に乗ってもほとんど爆発しないとは言われています。
しかし、危険がまったくない訳ではありません。
地雷が埋まっているのは、荷物や建物などの決まった範囲ではなく、とてつもなく広い範囲で尚且つ、灼熱や極寒など過酷な環境が多いからです。
また、地雷を探す作業は、人への従順性、探し出す能力に加え、繊細な注意力と集中力、同じ作業を延々と繰り返す忍耐力、そして十分な体力が必要です。

それ故、地雷探知犬は、どんな犬でもなれるという訳ではありません。
一般的には、ベルジアン・シェパードが適しているとされ、世界の様々な場所で活躍しています。

一方で、イスラエル原産のカナーン・ドッグも、地雷探知犬として活躍する為に作り出された犬種です。
古代からこの辺りで野良犬として生活していた「パレスティナン・バリア・ドッグ」をもとにブリーディングされました。
1935年からブリーディングが始まり、1973年にFCI(国際畜犬連盟)に、1997年にはAKC(アメリカンケネルクラブ)に公認された比較的新しい犬種です。
現在は、地雷探知犬として活躍する他、警察犬としてアメリカに輸入されたり、イスラエルのケンネルクラブのシンボルに認定されています。

カナーン・ドッグの性格は、大人しく繊細、内向的で、警戒心と防衛本能が強いという特徴があります。
それにより、知らない人に対して怖がったり警戒して吠えたりする傾向が見られます。
また、家族に対しては深い愛情を示し、家族と認めたものとは仲良く接することが出来ます。

身体的には、筋肉質で、力強さと機敏性、忍耐力を兼ね備え、粗食にも耐える事ができるという特徴があります。

前述したように、麻薬探知犬の作業は過酷で、その為につくられたカナーンドッグですら、PTSDになる犬もいるそうです。

PTSDとは、「心的外傷後ストレス障害」の略で、深刻な心の傷(心的外傷)や大きなストレスを受けたあと、強い精神的な苦痛が続く障害です。
適度なストレスは、学習効果を高めたり良い方向へ働きますが、度を超えたストレスやそれが継続する場合は、トラウマになったり、PTSDの原因になったりします。

災害時にマスコミに取り上げられ、人々に知られることになったPTSDですが、人だけではなく犬も発症します。

PTSDになると、常に気持ちが高ぶったり、何も感じなくなったりと、精神的にとても不安定になります。
興奮状態に陥り、中々寝付けず、睡眠中も少しの物音で、すぐに目を覚まします。
集中できなくなり、怒りっぽく、必要以上に警戒心をもつようになり、改善するにはとても長い時間がかかります。
そんなリスクを負いながらも、素晴らしい嗅覚を使って私達に貢献してくれる犬たち。
今回は、イスラエル原産のカナーン・ドッグと地雷探知犬のことについて書きました。
地雷探知犬の他にもベイパーウェイクドッグという爆発物を探す犬や、尿の匂いからガンを見つけるガン探知犬として活躍している犬もいます。

私達にはない犬の素晴らしい能力。
そんな能力を使って、世界で活躍している犬たちがいることをたくさんの人に知ってもらえたら幸いです。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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