ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.23 南アフリカ サーバルキャットに行っていたクリッカートレーニングとは?

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299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2017年5月末からの約2週間、南アフリカを旅しました。以前も紹介しましたが、南アフリカの代表的な観光エリアにガーデンルートがあります。
そのエリアの中の1つ『オーツホーン』という町に『Cango Wildlife Ranch』と言う動物園があります。

さすが動物王国と言われている、アフリカの動物園。敷地が広く気候が合っているからか、動物達が伸び伸びと過ごしているように感じました。
入場料は大人1人160ランド。当時のレートで日本円にすると1360円程。それにプラスして何ランドかを支払うと、いくつかあるアクティビティの中から1つを選んで参加することができます。
例えば、チーターとの触れ合い、サーバルキャットとの記念撮影、檻に入りワニの泉を観察するなど、日本では体験できないようなものばかりでした。

私達は、普通に動物園を見るだけで満足したので、アクティビティには参加しませんでしたが、ちょうどチーターとサーバルキャットとの触れ合いの時間だったので、他人が触れ合っているのを観察することができました。
しばらく観察していると、サーバルキャットとの触れ合い時に、飼育員さんがクリッカーを使っていました。どうやら、ここの動物園ではサーバルキャットにクリッカーを使って、人と一緒に写真を撮る間座って待つことを教えたようです。

そこで今回は、犬のトレーニング方法の1つでもある『クリッカートレーニング』について書きたいと思います。

クリッカーと言うのは、真ん中にあるボタンのような物を押すと『カチッ』と音がでる手のひらサイズの子供のおもちゃのような道具です。

犬の行動が自分のして欲しいことに近付いた瞬間や、して欲しい行動をとった時に、クリッカーを鳴らしてご褒美をあげることで、自分が犬にして欲しい行動を教えます。

クリッカートレーニングを始める前に、クリッカーの音の意味を犬に教える必要があるので、まずはクリッカーの音を鳴らした瞬間にご褒美をあげることを繰り返します。これを行うことで、犬にとって何の意味もないクリッカーの音を、意味のある音に変えていきます。
音が鳴ると良いことがある(ご褒美がでてくる)ので、犬は人にこの音を鳴らさせるにはどうすれば良いか、必死で考えるようになります。

必死で考え、いろんな行動を起こして正解を探るようになるので、犬のとった行動が自分がとって欲しい行動に近づいたら、クリッカー音を鳴らしてご褒美をあげることで、犬の行動を自分のとって欲しい行動に近づけていきます。
犬にして欲しい行動を決めたら、その行動に少しずつ近づくように、クリッカーをならすべき行動は、出来るだけ細分化してあげた方が学習は早く進みます。

サーバルキャットは、記念撮影が簡単に出来るように、マットの上に乗って座って待つことを教えられていました。

例えば、この行動を教えるのに、クリッカーを鳴らすべき行動を細分化するとこうなります。

・マットを見る
・マットの方に1歩踏み出す。
・マットに近づく
・マットに足がふれる
・マットに足がのる
・マットに身体全体がのる
・お尻が地面に近づく
・お尻が地面について座る
・お座りをキープできる時間を少しずつ長くしていく

また、今回の行動を教える時に、先にマットの上でお座りして待つことを教えてから、マットに近づくことを教えた方が、学習が早く進む場合もあります。
それは、先にゴールの行動(マットの上で座って待つ)を知っていた方が、マットまで行った後の行動が分かっているので、安心して学習することが出来るからです。

では、なぜクリッカーを使うのでしょうか?クリッカーの音でなくても『イエス』や『そう』などの声の合図を使って教えることも可能です。
しかし、声は普段から日常会話にも使っているので、これらに似た単語は、たまに会話にもでてきます。また、声は毎回正確に一定の音ではありません。体調などにもより変化します。
クリッカーの音は日常的に使われない音で、毎回同じ音が鳴るので、特別な音として明確に犬に伝わり易いのです。また、クリッカーの音は声の合図よりも遠くまで聞こえるので、遠隔の練習にも適しています。
ですので、犬にとってとても分かりやすい『正解の合図』になります。
声で合図を出すよりも、手で押すという動作の方が瞬発力があり、タイミングを逃し難い場合もあります。

ただ、クリッカーは道具なので失くしてしまうこと、手に持たないといけないので、慣れない人は使いにくいこともあります。

私の愛犬『はな』に対しても、クリッカートレーニングを行いましたが、彼女はこの遊びが大好きで、始まるととても生き生きした表情で様々な行動を起こして、正解を探っていました。
のんびり寝ていたサーバルキャットも、トレーナーさんが入ってきた瞬間に飛び起きて、生き生きとした表情に変わりました。まるで、このゲームの時間を楽しみにしているかのようでした。

ちなみにイルカショーの時に、トレーナーさんがくわえている笛は、クリッカーと同じ役割りをしています。
笛の合図でイルカが飛んでいると思っている人は多いのではないでしょうか?
それは間違いで、トレーナーさんが手で合図を出し、出された行動をイルカが行ったことに対して『それが正解』と笛を使って伝えているのです。

初期段階ではクリッカーを鳴らした瞬間にご褒美を出す必要がありますが、トレーニングが進むと、行動をした瞬間にクリッカー音は鳴らしますが、ご褒美は多少遅れても問題はありません。クリッカー音の意味をきちんと理解していれば、後からご褒美がでても、どの行動に対してご褒美がでているのかを、きちんと理解できるからです。

クリッカートレーニングについて詳しく書くとここには書ききれないので、今回は簡単に説明しました。本来ならもっと細かいステップや注意点がたくさんあります。例えば、クリッカー音は普段聞き慣れない音なので、最初から大きな音を出すと、ビックリしてその音を怖がるようになってしまう場合もあります。

何事も基本が大切です。ですので、興味を持たれた方は、最初は専門家に習うことをオススメします。
このトレーニングを行うと、犬は自分で考えて行動するようになるし、私達も犬に何かを伝える練習になるし、何より犬と飼い主さんで出来るとても楽しい遊びの1つです。
この記事を読んで、クリッカートレーニングを愛犬とのコミュニケーションの手段の1つとして、取り入れて頂けたら幸いです。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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