ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

Vol.15 ザンジバル島へ行く船の中で考えた犬の乗り物酔いのメカニズムと対策

ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!

299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。


2017年2月からの約1ヶ月タンザニアを旅しました。
タンザニアの魅力はなんと言ってもサファリやキリマンジャロなどの雄大な自然。
それに加えて服や鞄などの布製品をお手軽にオーダーメイドで作れたり、かわいいお土産がたくさん販売されており、旅の上位にランキングするお気に入りの国になりました。

タンザニア人にとっても外国人にとっても、人気の観光地になっているザンジバル島に行く為の船に乗った時、ほとんどの人が船酔いでダウンしていました。
ザンジバル島に行く船は揺れることで有名です。

タンザニアザンジバル島船

エクアドルのガラパゴス諸島に行った時も島から島へ渡る船がとても揺れ、大半の人が酔っていました。
また、エチオピアのバスでは、吐いている人をたくさん見かけました。
エチオピア人は元々、三半規管が弱く酔いやすい民族なのだそうです。

タンザニアバスの車内

主人は乗り物酔いしやすいので、バスで酔いやすそうな道を通る時は事前に酔い止めを飲むなどの対策を行っています。
私はどんな状況でも、一度も酔ったことがありません。

犬にも酔いやすい犬、酔いにくい犬がいます。
その違いは何なのでしょうか?

人と犬の酔うメカニズムは同じです。
そこで、今回は乗り物酔いのメカニズムと対策について書きたいと思います。

まず、はじめに乗り物に酔いやすい、酔いにくいは何が違うのでしょうか?
それは、平衡感覚を司る三半規管が深く関係しています。

乗り物がゆれると三半規管がとらえ、眼球と頭の位置を正常に保とうとします。
しかし揺れなどで三半規管がとらえた頭の位置と眼球から入った視界の位置が大きくずれると、脳が混乱し、それが慣れていないことだと"不快"と判断されます。
その結果、血圧や呼吸など生命に関わる視床下部と呼ばれる部分が反応し、ストレスに対抗する為のストレスホルモンが分泌されます。
それにより自律神経が異常に興奮し、乗り物酔い(吐き気、無力感、脱力感、思考の停止、酷いときには嘔吐に発展します)が起こります。

ちなみに車酔いはしないのに船酔いはする、またはその逆があるのは、縦揺れ・横揺れなど揺れ方の違いです。

乗り物酔いのメカニズムがわかった所で、それを踏まえ、愛犬と一緒に車に乗る時に、どんな対策を取ったら良いのか箇条書きでまとめてみました。
私の愛犬『はな』も最初は、車に乗った時酔って吐いていましたが、少しずつ酔わなくなり、車でのお出掛けが楽しくなりました。
そんな実体験を踏まえてのまとめです。


  • ①三半規管で捉える位置情報と、視界から入る情報のずれをできるだけ少なくする為に、揺れを防止する。
  • 急発進、急停車、急加速、急に曲がるなどはせずに、安全運転を心がけましょう。
  • 揺れをできるだけ防ぐ対策として、犬はクレートやケージにいれて固定しましょう。普段からクレート卜レーニングを行い、クレートに入ること自体にストレスがかからないようにすることも大切です。
  • 人の場合は遠くを見るようにすると情報のずれが少なくなるのですが、犬に意図的にそうするように仕向けるのは難しいので、クレートにタオルをかけるなどして視界を塞いであげましょう。クレートにいれ、真っ暗になることに対して普段から慣れさせておくことも大切です
  • 犬用シートベルトをつけて、身体をしっかり固定してあげるのも良いと思います。
  • 安全面からあまりお勧めはしませんが、抱っこされるのが好きな犬の場合は、飼い主さんがしっかり抱っこして固定してあげることも有効です。その時に静かにゆっくり撫でてあげることでリラックス効果も望めます。
  • ②ストレスホルモンの分泌を抑える。
  • 車に乗る時が、獣医さんやペットホテルなど犬が嫌いな場所に行く時のみだと、車に乗ること事態がストレスになり、車に乗った瞬間から酔ってしまう子もいます。車に乗って近所の公園や大好きな人の所へ遊びに行く、停まっている車の中でご飯をあげるなど、車に乗ることへの印象を良くしましょう。
  • 車で出かける前に、1時間程お散歩してエネルギーを十分に発散させておき、車の中では疲れて寝るように仕向けます。
  • 長い時間同じ場所に留まることは犬にとってストレスがたまります。長距離移動の場合は、犬を歩かせてあげられる休憩場所を調べておき、何度か休憩してお散歩をしてあげると良いでしょう。
  • 鼻の良い犬にとって匂いのきつい芳香剤や煙草の匂いもストレスの原因となります。
    芳香剤は取り外すか、犬の好きなアロマオイルを見つけておき、それを少量使うようにしましょう。香りの効果としてスッキリしたミントやジンジャーの匂いは車酔いを和らげると言われています。
  • 車内の音楽を、騒がしく激しいものではなく、ゆったりとしたリラックス効果のあるものに変えてみるのも有効です。
  • 車内の空調にも気を使いましょう。犬は人よりも暑さに弱いです。
    また、人間が丁度良いと思う暖房は犬にとっては暑すぎることが多いです。
    私の経験上、暑い場合の冷房はいれてあげたほうがいいですが、寒い場合、特別寒い場合を除いては、できるだけ暖房は入れずに、毛布などを使って温度調節を行ってあげた方が良いように思います。
    時々窓をあけて、車内の空気を入れ替えることも大切です。
  • ③良い経験を少しずつ積む。
  • 眼球の位置と頭の位置のずれを不快に感じるかどうかは、経験による学習が大切になってきます。すなわち、たくさん車に乗り、揺れに慣れることです。かと言っていきなり長時間のドライブに連れて行くのではなく、短時間から少しずつ慣れさせてあげることが大切です。
    また、②でも書いたように目的地は犬が好きな場所を選んであげると良いでしょう。
  • ④その他
  • 空腹すぎるのも満腹すぎるのも嘔吐しやすくなります。車に乗る2時間前にいつものご飯の半量だけあげ、残りは目的地についてからあげるようにしましょう。
  • 乗り物酔いが酷い場合には、酔い止めのお薬も獣医さんに行けば処方してもらえます。サプリメントのようなものもありますので、獣医さんと相談するのも良いでしょう。

今回は、犬が乗り物に酔うメカニズムとその対策について書きました。
酔わないように予防する方法は、その犬により様々です。メカニズムをしっかり理解することで愛犬に合った対策を取ることができると思います。

いつもと違う場所に行くのは犬にとって、とても刺激的で楽しい出来事です。
愛犬といろんな場所にお出かけして楽しい思い出がたくさんできますように。

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プロフィール

磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。

Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana

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