ドッグトレーナーの世界一周わんっ!ワールド!!
Vol.29 ドッグショーとは??インドのドッグショーを見学しました。
299naviコラム「ペットと一緒に暮らすために」の著者 山形祝代さんがご結婚され、現在ご夫婦で世界を旅しています。
そこで出会った世界の犬たち。実際に目で見たり体験したことを、日本で約15年間、ドッグインストラクターとして仕事をしてきた経験も踏まえ、リアルな世界の犬のことを伝えてくれるコラムです。
2016年9月中旬からの約1ヶ月北インドを旅しました。
北インドで1番最初に訪れたのは、ラダック地方のレー、次がマナリ、ダラムサラです。
レーもマナリも、チベット人が多くチベット文化が入り混じっている影響か、インドとは思えない、日本の田舎を思わせるような、凄く平和な町でした。
そこで気が抜けたのか、ダラムサラに着いた途端に、バックパックを盗まれてしまい、警察署に行くはめになりました。
警察署の近くには、動物病院があり、そこで『Dog Show』のポスターを見つけ、たまたまその日が開催日だったので、見に行ってきました。
ポスター
インドの路上では、どの町も野良犬はたくさん見かけましたが、飼い犬を見かけることは滅多になく、そんな状況で開かれるドッグショーとはどんなものなのか、非常に興味がありました。
ドッグショーは、様々な国で開催されています。
私は日本のものはもちろんですが、イギリスのバーミンガムで開催される『クラフト・ドッグショー』とアメリカのニューヨークで開催される『ウェストミンスター・ケンネルクラブ・ドッグショー』を見に行ったことがあります。
どちらも100年以上続く歴史あるもので、海外からも参加者があるほど、大きなドッグショーです。
そこでは、犬種ごとに美しさを競う品評会はもちろん、アジリティー(犬の障害物競争)やフリースタイル(犬と一緒に行うダンス)、フライボール(犬の障害物リレー競争)、警察犬デモストレーションなどなど、プログラムも充実していました。
犬のグッズやフードを扱うブースもたくさん出店していて、1日どころか数日間、楽しめる内容になっていました。
イギリスのドッグショーで見た、当時優勝した犬とハンドラーが行ったフリースタイルが素晴らしく、今でも忘れられません。
どちらも1年に1回、数日間開催されるので、興味がある人は日程を合わせ、是非見に行って欲しいと思います。
ドッグショーが開かれるのは、純血種を守り、後世に伝えるためです。その為にはより多くの人に純血種のことを知ってもらい、飼育してもらう必要があります。
ですので、ドッグショーでは品評会をメインに行います。品評会とは、犬種ごとに定められた理想像(スタンダード)にどこまで近いか、審査を行う会です。
審査の基準は以下の通りです。
1 タイプ(犬種ごとの特色)
2 クオリティー(犬の性質の充実度や洗練度)
3 サウンドネス(精神的、肉体的な洗練度)
4 バランス(全体の調和)
5 コンディション(健康状態、精神状態)
6 キャラクター(魅力、マナー)
審査員は、犬を見たり、触ったり、歩かせたりして、上で述べた項目を審査し、最優秀犬を決めます。会場では、この品評会の他に、訓練試験やアジリティーなどの競技も同時に行われる場合もあります。
さて、インドのドッグショーに戻りましょう。
人に聞いてやっと辿り着いたドッグショーの会場は、広いグラウンドの一角でした。場所の名前は、たいていの人が知っていましたが、この日ドッグショーが開かれるのを知っている人は、私達が尋ねた人の中にはいませんでした。ドッグショーは、インドではまだまだマイナーな存在のようです。出場する犬の飼い主と、その家族や知り合い以外、ほとんど観客はいないようでした。
広場には、出場犬とその飼い主が待機する場所と、審査を行う会場がありました。待機する場所では、ペットのグッズやフードを販売していたり、アニマルレスキューなど5ブース程が出店していました。
出店1
出店2
待機している犬種は様々で、特にセントバーナード、ラブラドールレトリバーが多かったです。他には、ピットブル、シェパード、ゴールデンレトリバー、パグ、ペキニーズなどがいました。
会場では審査員がいて、その前に1頭ずつ出て行き、飼い主が犬の紹介と一発芸を披露していました。日本の品評会で一発芸を披露する時間はないので、インドならではで、おもしろかったです。
先程も書きましたが、インドでは、路上でたくさんの犬が生活していますが、飼われている犬を見かける機会は本当に少ないです。そんなインドで、こんなに多くの飼われている純血種を見たのは初めてでした。まずは、みんなに興味を持ってもらうことが大切なのだと思います。飼い主は、自分の犬が本当にかわいいらしく、犬に芸をさせようと必死でした。
最後に、審査員から上位の犬と飼い主の表彰式がありました。
優勝したのは、セントバーナードです。お辞儀のポーズをしたり、バックで後ろに下がったり、チンチンしたりと芸達者な子でした。また、飼い主の号令にも比較的早く従っていました。
セントバーナード
準優勝は、シェパード。会場内に飼い主が、隠したバスケットを探して持ってくるのを披露していました。
シェパード
軍人にトレーニングされたラブラドールレトリバーは、ボールをジャンピンキャッチしたり、隠されたボールを探して持ってくることを披露していました。その他、子供が号令をかけてもお座りやふせをする子、リードを引かずお行儀よく歩く子、待つ子など披露する芸も様々でした。
その他1
その他2
出場犬数は、30頭程で少なく、内容も世界各国で開かれているドッグショーとは違いましたが、アットホームな感じがして微笑ましく、楽しむことが出来ました。
現在のインドでは、このような簡単なドッグショーしか行われていませんが、ケンネルクラブが設立され、出場犬が増え、ルールにのっとった品評会が行われる日も遠くはないでしょう。
日本では年間を通して様々な場所でドッグショーが開かれています。興味のある人はぜひ一度、会場まで足を運んでみて下さい。ルールをインターネットなどで学んでから見に行くと、更に楽しめると思います。スケジュールは、ジャパンケンネルクラブのホームページをチェックすると良いでしょう。
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プロフィール
磯崎 祝代
専門学校にて、犬の学習理論やトレーニングについて学んだ後、アシスタントを経て独立し、DOGECO(株式会社do)を設立。動物病院でのしつけ方教室の開催、訪問によるトレーニング、シッター、犬と楽しめるイベント企画運営、犬の幼稚園の運営、専門学校や高校生にむけた授業、コラムの執筆などの業務を行う。
13年運営してきたDOGECOを解散し現在は主人と一緒に世界を旅行中。今まで経験を踏まえ私の目で見た世界の犬のことをお伝えできたらと思います。
Blog→旅やねん(http://ason-de-kurasu.com/)
Facebook→旅やねん(https://www.facebook.com/asondekurasu/)
instagram→japanese_dog_hana
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