ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

第16回 保護施設という選択肢、そして子犬の世話は大変だ!

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のワンちゃんの問題行動にまつわるエッセイです。


先日のクライアントさんは保護施設からひきとったという推定4ヵ月の子犬でした。真っ白の毛のふわふわのかわいらしい子犬。子犬の仕草はみていて本当に癒されます。
特に問題行動があったわけではないけれども、しっかりとしつけをしたいということで、私に相談してくださいました。とても意識の高い飼い主さんで、ああ、犬を迎え入れる人全員がこんな風な意識をもってくれたらなと私は思いました。

さて、私は行動カウンセリングの際に、どこから犬を迎え入れたかと飼い主さんにききます。
保護施設というのはとても稀で、ほとんどがペットショップかブリーダーさんの元で育った犬です。日本において保護施設というのは、あまり身近な存在でないし、そういった場所から犬を迎え入れるというのは、初めて犬と一緒に暮らすという人にとって選択肢にはないように思えます。

米国ではたくさんの保護施設があり、犬を迎え入れる際にはこういった保護施設からというのが主流です。私が感じた印象としては、米国の人たちは、日本の人ほど「子犬」にこだわっていないように感じました。

もちろん子犬の頃から、愛情たっぷりに愛犬を育てたいという気持ちはわかります。でも、私はビヘイビアリストの視点から見ると、初めて犬と暮らす人ほど、子犬を育てるのは大変だと思うのです。子犬はとってもかわいいけれども、子犬と暮らすのは成犬になった犬とくらべると本当に、本当に大変なことなのです!

なんといっても部屋でおしっこやうんちをさせないために基本的なトイレトレーニングを行うはずが、これができないがため、犬をケージから外に出せない。しかし犬はケージの外に出たいものだから、吠える。ケージの外へ出したら今度は興奮して、手や足にかみつく、じゃれ咬みで頭を悩ませる飼い主さん。
こういったじゃれ咬みは、咬むことがいけないときちんとこの時期にしつけをしないと将来、本気で咬んでしまうことになります。ここでしっかりしつけをしなかったがために、将来、犬が手加減なしにかみつくという問題で悩むことになることも!

トイレトレーニングができない→ケージの外に出せない→要求吠えを繰り返す。これは典型的な子犬の飼い主の悩みです。

そして、この時期は犬の性格を決める時期でもあるので、社会化をきちんと行わないと、極端に怖がりだったり、他の犬に攻撃性をもつなど、その後の犬生(人生)を左右してしまうのです。子犬はかわいいけれども、こういったリスクもつきものなのです。

そのため、私は犬と初めて暮らすという方には、保護施設で、成犬で、性格もわかっている犬を迎え入れるとうまくいくのになあ。なんて考えてしまうことがあるのです。もちろん犬と初めて暮らす人だけでなく、全ての犬を迎え入れようとしている人にとっても、保護施設は素晴らしい場所なのです。

保護施設にいる犬の場合、ほとんどの場合は施設の関係者の方がきちんと性格を把握してくれています。この犬は子ども好きだから子供のいる家庭でもうまくやっていける、他にペットがいる場合、犬や猫とも上手くやっていける、運動量は、1日1時間は必要だ、男性虐待を受けていたから男性には恐怖心を持っている、など。だから、犬の性格を知った上で「この子なら私が幸せにしてあげられそう!」という子を迎え入れたらいいと思うのです。

そう、これは正にペットショップである日突然出会った子犬に、ビビッと来た!というよりも、信憑性があるように私は思えるのです。まあ、現代社会の男女の関係におけるビビッと一目惚れ派なのか、はたまたじっくり条件をみる婚活サイト派なのかといったところでしょうか。

何はともあれ、その先に飼い主と犬の幸せがあることが一番です。でも、ふと周りで犬を迎え入れたいという人に出会ったり、あなたが思ったとき−保護施設の存在、そして子犬の世話におけるデメリット、成犬のメリットというのも心の隅に留めてほしいと思うのです。

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プロフィール

佐藤 えり奈(さとう えりな)/京都市生まれ
ペット心理行動カウンセラー/行動コンサルタント/CAPBT MEMBER
伴侶動物行動学・養成資格
Diploma in the Practical Aspetcts of Companion Animal Behaviour and Training(英国COAPE公認資格)
ミネソタ大学 理学士
University of Minnesota Twin Cities B.Sc.
生物科学部生態進化行動学科卒業(米国)

幼少の頃から、大の犬好きが高じて犬の行動カウンセラーとなる。アメリカで行動学を、イギリスで犬猫の行動心理学を学び、現在は、関西を中心に犬の心理状態を考慮しつつ、行動学をもとに問題行動を解決するペット心理行動カウンセラーとして活動中。
著書に「イヌの「困った!」を解決する」(サイエンス・アイ新書)

◇関連リンク◇
佐藤えり奈先生のホームページ → http://www.petbehaviorist.info/

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