ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

第10回 「大きな問題」が起こる前に気づきたい!

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のワンちゃんの問題行動にまつわるエッセイです。


北海道で大型犬(ジャーマンシェパード)が小型犬(ポメラニアン)3匹とその飼い主に襲いかかり、小型犬が死傷、飼い主も腰を噛まれて怪我をするという事件がありました。
しかも大型犬を連れていた飼い主は、事件直後に姿を消していたそうです。

テレビでは、大型犬を飼っている飼い主は注意するようにといわれていました。
たしかに、大型犬は事故が起こった際に、相手の犬や人の怪我が大事に至りやすいのはあります。
でも、飼い犬の行動に注意すべきなのは、大型犬にかかわらず、中型犬や小型犬を飼っている飼い主全てにいえることなのです。
小型犬が自分の何倍もある犬に吠えて喧嘩を売っている光景は稀にみます。
あなたの愛犬は、他の犬のそばを吠えたり、威嚇することなく黙って通り過ぎることができますか?

今回の事故を招いた大型犬の飼い主も、今までに大型犬が他の犬を見て襲いかかろうとしたことは、何度もあったのではないでしょうか?
「たまたま」今回は、うっかりリードを外してしまったなどしてこういった大事故につながったのでしょう。

このように、大きな問題が起こるまで、人は飼い犬の行動をほったらかしにしがちです。
飼い主や自分たち家族がしょっちゅう咬まれるようになったり、近所から苦情がきたり、自分の家の家具を壊されたり、おしっこやうんちをひっかけられるのに耐えられなくなってから、やっと愛犬の行動に向き合う事になります。
でも本当は、飼い主達に直接害はなくても、成犬になっても頻繁に犬が食糞をしたり、手足を舐め続けたり、しっぽを追いかけたり、食べ物ではないような物を口にしたりすることも、実は正常な行動ではないのです。
だから、その時点で飼い主は愛犬の行動に向き合う必要があるのです、何か「大きな問題」が起こる前に……。

私のクライアントさんは、子犬の頃からイヌが困った行動をしていたら抱き上げてケージに入れるという行動をし続けていました。
子イヌですから、嫌がってもひょいっとケージに入れてしまえばおしまいです。
そのうち、成長すると共に、子犬はケージにいれようと抱っこした飼い主の手を咬みだすようになりました。
飼い主も「痛い!」といいながらも我慢してケージに入れていました。
8ヵ月齢に成長したイヌは、ついに思いきり飼い主の手を、血が出るほどに咬みました。
さすがに飼い主は痛くて、だっこをやめました。

イヌは学びました。
強く咬む→自由が得られる!(ケージに入らなくていい)のだと。
それ以来、嫌な事があったり、ケージに入れられそうになれば、さらに強く咬むようになりました。
そう、こうやって飼い主はイヌに「ケージに入って落ち着く」代わりに、知らず知らずのうちに「咬む」行動を強化していたのです。
今まで軽く咬むことはあったけど、こんなに強く咬まれる、「大きな問題」は起こりませんでした。
こんな風に「大きな問題」が起こってやっと飼い主は悟るのです。

それから地道に、飼い主さんと私はイヌがケージに「自発的に」入る練習を繰り返し、ケージに入れる際に咬まれるということはなくなりました。
やはり、「本気で咬む」という大きな問題が起こる前に、気づき、予防に取り組んでいくことで問題行動はかなり回避できるのです。

さて、かく言う私も最近、暴飲暴食が祟っており、好きなだけ食べていました。
「あ〜、節制しなくては!」と毎回思いながら。
そして、今日、体重が非常に増加しているという「大きな問題」に直面してしまいました。
ああ、毎日少しでも節制していたら……と後悔するものの、後の祭りです。

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プロフィール

佐藤 えり奈(さとう えりな)/京都市生まれ
ペット心理行動カウンセラー/行動コンサルタント/CAPBT MEMBER
伴侶動物行動学・養成資格
Diploma in the Practical Aspetcts of Companion Animal Behaviour and Training(英国COAPE公認資格)
ミネソタ大学 理学士
University of Minnesota Twin Cities B.Sc.
生物科学部生態進化行動学科卒業(米国)

幼少の頃から、大の犬好きが高じて犬の行動カウンセラーとなる。アメリカで行動学を、イギリスで犬猫の行動心理学を学び、現在は、関西を中心に犬の心理状態を考慮しつつ、行動学をもとに問題行動を解決するペット心理行動カウンセラーとして活動中。
著書に「イヌの「困った!」を解決する」(サイエンス・アイ新書)

◇関連リンク◇
佐藤えり奈先生のホームページ → http://www.petbehaviorist.info/

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