ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

第19回 ヨーロッパ犬紀行~デンマーク編~

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のワンちゃんの問題行動にまつわるエッセイです。


さて、シリーズ化をしてみたヨーロッパ犬紀行、いよいよ最後。
最後を締めくくるのはデンマークです。

ドイツで乗り継いで、デンマークのオールボーグという都市へ。
オールボーグは小さい都市なのですが、デンマーク人は大きい!
ともかくでっかい!
飛行機に乗り込み、いよいよ離陸となったものの、隣りに座ったデンマーク人と思われる女性、シートベルトが閉まらない状態。
もうめちゃめちゃ本人も焦っていて、私も一緒に手伝おうとするもなかなか閉まらない!
本人も『ああ、もしこれ閉まらなかったらどうなるのかしら。恥ずかしいわ、どうしましょう』と顔を真っ赤にしている。
渾身の力を込めると、なんとかシートベルトはカチャリと音をたてて、閉まってくれました。

飛行機から降りる際にも、通路に立つとみんな背が高く大きい。
私より頭3つ分、いや4つ分は飛び抜けています。もう気分は小人です。

オールボーグの空港につくも、そのこじんまり感に驚きました。
税関、フリーパスですから!まったくパスポートを開ける必要もなく、スルー。
フランスやイタリアも、税関ゆるい!と思っていたけれども、デンマークのここにはかないません。
しかもテロの警戒時期なのに。
でも、パリに戻るときにも思ったけれども、デンマークの空港の人は、群を抜いて「空港の職員さんが、感じが良い国」の1位。
とにかく優しいし、大きいのに威圧感がなかったのです。
外国人恐怖症の人がいたら、まずはここをおすすめします。

さてさて、肝心の犬紀行。
ここでは、日本でも本を出版しているヴィベケリーゼ先生を訪れ、デンマークの犬事情を知る機会がありました。

スーパーや公共交通機関には、残念なことに犬同伴では入れません。
けれども、ウィベケ先生の場合は、特別に許可をもらっているので、セラピードッグのトレーニングなど犬同伴で店に入ることができるのです。
PTSDで苦しんでいる人も、セラピードッグとトレーニングを行うことで、かなり状態もよくなったそうです。
私も同伴させてもらう機会がありましたが、PTSDで、数ヶ月前まで人前にでることができなかった人だとは全く思えませんでした。
それぐらいイキイキと、犬とのトレーニングを楽しんでいたのです。
ヴィベケ先生は、犬にとっても、PTSDで苦しんでいた男性にとっても、このトレーニングは良い結果をもたらすと言っており、それはもうその様子を見ると一目瞭然でした。

最近のニュースで、ハンガリーで囚人が虐待を受けたことのある犬をトレーニングするプログラムが実施されていることを知りました。
インタビューでは、囚人が犬の行動を見て、自分自身を見つめ直す機会になると話していました。
日本でも、ドッグセラピーの話をききますが、このオールボーグやハンガリーでは、人間自身だけがその恩恵を受けるのではなく、犬達にも良い影響を与えることを目的としているのです。
お互いの幸せ、それが犬と共存していくために望まれる関係性だと私は思います。

トレーニングの場所である、ショッピングモールにも行きました。
本当は犬は禁止のはずだけれども、モールのお客さんは誰ひとりとして嫌な顔をせず、親しげに話しかけてきました。
デンマークのオールボーグの人は、ともかく親切。雰囲気が良い!
たまたまかもしれませんが、私が今まで訪れたヨーロッパの国の人々の中で一番親切に思えました。
そして、全員が英語を話せることに驚きました。
デンマーク語って英語と全く違うのに、どうしてあんなにみんなぺらぺらなのでしょうか。

他にも、ブリーダーさんの元を訪れる機会がありました。
ホワイトシェパードのブリーダーさん。
ブリーダーをするにはきちんとした資格が必要です。
私が訪れた方はかれこれ20年以上、ブリーダーをしている専門家です。

子犬のホワイトシェパードは、シロクマそのもの。
5匹のやんちゃなホワイトシェパードの子犬に襲われ(笑)、至福の時間を味わう私。
でも、まだ尖った乳歯なので、咬まれると痛い。でも、幸せ。という矛盾した感情。(笑)
子犬の育つ環境には工夫がいっぱいです。
本来は人間の赤ちゃん用のバランスをとるおもちゃ、トンネル、様々な種類のおもちゃ。
身体的だけでなく、精神的にも成長を促してくれる機会がたっぷりです。

実際に、子犬の頃にいろいろな経験をしておくと、大きくなって何か問題に直面しても、冷静に対応できる傾向があります。
逆に、子犬の頃に様々なことを経験しなかった場合、興奮しやすく、攻撃的だったり、怖がりになったりすることがあるのです。

確かに、私が行動カウンセリングをする際にも、あまり社会性を学ぶ機会がなかった「箱入り娘(息子)犬」たちは、容易に新しいシチュエーションを受け入れることができない子達が多いです。
見慣れないおもちゃや知育玩具を与えても、「こんなの見たことない!」と恐怖心を示して近寄らないか、飼い主さんに手助けしてもらおうとじっと座っている子が多いのです。
「自発性」を養うには、子犬の頃に様々なことを経験させておいてあげることが肝心ですね。

そんなわけで、子犬たちはお母さん犬に甘えて、たくさん兄弟同士で遊び、恵まれた環境で、精神的、そして身体的にすくすくと成長していくのです。

ヴィベケ先生のクリニックにもお邪魔させてもらいました。
ネコは10匹以上、犬も3匹いて、人もたくさん。
それでも喧嘩は全くなく、上手に共存しているのです。
焼きたてのパンを食べて珈琲を飲みながら座っていると、次々とネコが私の膝の上にやってきてゴロゴロ喉を鳴らすのです。
犬との暮らしは国民性が出るという話でした。

自由なパリに陽気なイタリア。
今回のオールボーグはおっとりのんびり、優しい雰囲気な都市で、お互いを尊重している雰囲気がありました。

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プロフィール

佐藤 えり奈(さとう えりな)/京都市生まれ
ペット心理行動カウンセラー/行動コンサルタント/CAPBT MEMBER
伴侶動物行動学・養成資格
Diploma in the Practical Aspetcts of Companion Animal Behaviour and Training(英国COAPE公認資格)
ミネソタ大学 理学士
University of Minnesota Twin Cities B.Sc.
生物科学部生態進化行動学科卒業(米国)

幼少の頃から、大の犬好きが高じて犬の行動カウンセラーとなる。アメリカで行動学を、イギリスで犬猫の行動心理学を学び、現在は、関西を中心に犬の心理状態を考慮しつつ、行動学をもとに問題行動を解決するペット心理行動カウンセラーとして活動中。
著書に「イヌの「困った!」を解決する」(サイエンス・アイ新書)

◇関連リンク◇
佐藤えり奈先生のホームページ → http://www.petbehaviorist.info/

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