ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

第24回 赤ちゃんと犬

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のワンちゃんの問題行動にまつわるエッセイです。


ご無沙汰しております、長らくお休みをしていました。所謂、育児休暇です。
そんなわけで、今回のテーマは「赤ちゃんと犬」です。

犬の行動カウンセラーをしていると、赤ちゃんvs子ども問題はよく相談されます。『子どもが生まれたのですが、犬が赤ちゃんに吠えるんです』とか、『子どもが生まれてから、犬が神経質になり、遊ばなくなりました』とか、『攻撃的なので、子供が生まれたら心配です』とか。問題の種類がたくさんあるのは、犬の性格もみんな違うからです。

新しい家族が増えることというのは、犬にとっては大きなストレスです。もちろん、最終的には仲良くなることもあるかもしれませんが、今まで家の中で一番注目を集めることができたのに、子どもが生まれたら、その絶対的地位を確立し通す事はなかなか難しいのです。だって、どうしても生まれたての赤ちゃんにお母さんはつきっきりになってしまいますから。

そんなわけで、我が家のフラッフィーも、赤ちゃんの誕生はストレスになっていました。

我が家にやってきた赤ちゃんに、最初は興味津々でした。ベビーベッドの間から不思議そうにみていました。人だけど人じゃない?といったかんじ。ここからフラッフィーのストレスは始まります。

赤ちゃんが泣き出すと、そのたびにかなり動揺していました。科学では説明することのできない、「不思議な力」って犬にはあると思うのです。共感力といいますか、飼い主さんがイライラしたら、犬もイライラする。飼い主さんが不安に思うと犬にも不安が伝わる。こんな風に気持ちに敏感ですよね。だからかわからないけれども、赤ちゃんの声に反応するというよりも、なんとなく赤ちゃんの不安感が伝わっているというか、赤ちゃんが泣き出すと、フラッフィーも吠えて、「泣いてる!大変!」といったかんじで私を呼びにきて、赤ちゃんと私の間を行ったり来たりしたものです。

もう私も初めての育児で必死だし、いろんな意味でフラッフィーにはかわいそうな思いをさせていたと思います。今は、赤ちゃんと一緒に並んで寝ていたりすることもありますが、やっぱり嫉妬はしています。でも、怒るに怒れないからこちらを横目で見ながら、自分のベッドをガジガジ噛んでいたので、ベッドも穴だらけになってしまいました。

そんなわけでずっと我慢してくれていたので、先日犬も一緒に行けるホテルにフラッフィーを連れていきました。近くにとてもきれいな清流があり、川に入って大喜び。ドライブも楽しみ、ストレス発散できたのか、旅行から帰ってきて、赤ちゃんにとても優しくなりました。赤ちゃんが泣いていたら、自分のおもちゃを持ってきてあげるほどに!

私自身、フラッフィーのことも気にかけてはいましたが、子育てで余裕がなくなっていたことも多々あり、反省しました。

いつもクライアントさんに、問題行動のカウンセリングをするときは、「犬のムード(気分)が重要ですよ」と言っているのに、私自身が忘れていたことを反省。

赤ちゃんが生まれて、犬との関係に悩んでいる飼い主さんは多いと思います。赤ちゃんに慣れるように対応するのはもちろん大切なことですが、犬のムードを考えるのもお忘れなく。「犬の問題行動で悩んでいるときは、問題行動が起こっていない時も考える」というのは、基本です!

これ、忘れていた私自身に向けてのメッセージでもあるんですけどね。

ちなみに、対応という面では、うちの子の場合は、「オムツ取ってきて!」なんて育児に参加させていると、仲良くなってきました。犬によって「参加したい」型や「そっとしておいて欲しい」型もあります。あなたの犬の性格を見極めて、対応してみましょう。

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プロフィール

佐藤 えり奈(さとう えりな)/京都市生まれ
ペット心理行動カウンセラー/行動コンサルタント/CAPBT MEMBER
伴侶動物行動学・養成資格
Diploma in the Practical Aspetcts of Companion Animal Behaviour and Training(英国COAPE公認資格)
ミネソタ大学 理学士
University of Minnesota Twin Cities B.Sc.
生物科学部生態進化行動学科卒業(米国)

幼少の頃から、大の犬好きが高じて犬の行動カウンセラーとなる。アメリカで行動学を、イギリスで犬猫の行動心理学を学び、現在は、関西を中心に犬の心理状態を考慮しつつ、行動学をもとに問題行動を解決するペット心理行動カウンセラーとして活動中。
著書に「イヌの「困った!」を解決する」(サイエンス・アイ新書)

◇関連リンク◇
佐藤えり奈先生のホームページ → http://www.petbehaviorist.info/

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