ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

第6回 イヌだって、イヌ見知りする

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のエッセイ -Wanderful Life-

ペット心理行動カウンセラー佐藤えり奈先生のワンちゃんの問題行動にまつわるエッセイです。


最近はパピークラスを行う動物病院やペットショップが増えてきつつあります。
他の動物病院との差別化を図るため、イヌに病院スタッフに慣れてもらい、診察の際にも扱いやすくなるといった様々なメリットがあります。
これは私たちドッグビヘイビアリスト、行動カウンセラーにとっても大変メリットがあります。

なぜなら、問題行動を未然に予防することができるからです。
飼い主の生活スタイルもわかるし、子犬の性格を見て、将来起こりうる問題行動を予測することもできます。
イヌだけでなく、私たちヒトにとっても、問題行動というのは、起こってしまってからではなく、未然に解決しておくのが一番の策なのです。

しかし、子犬の頃はいたずらをしている様子もかわいいし、ついつい見逃してしまいがち。
「大きくなってから落ち着く」問題と、「大きくなったらもっとひどくなる」という2種類の問題があるので、ここは気をつけたいところです。

さて、パピークラスは将来起こりうるイヌの問題行動を未然に防止するという意味もありますが、やっぱり一番の利点は社会性を養うことができることです。

イヌが、他のイヌを怖がるのは「自分のことをイヌと思っているから」ではありません。
社会化が必要だった時期に、他のイヌにあって社会性を養うことができなかったからです。
生後約4ヵ月半の社会化と馴化の時期までに、イヌには様々なイヌ・ヒトに会い、いろんな場所に連れ出し、車や自転車、将来怖がる必要のない物にふれあわせる機会が大切です。
この時期どれだけイヌが経験をつむかで、将来の性格が変わってくると言っても過言ではありません。
ワクチンの時期が重なるのならば、飼い主さんがだっこしてお散歩するだけでもずいぶん違うでしょう。

私が愛犬のフラッフィーを譲り受けたとき、彼は5ヵ月になろうとしていました。
社会化デビューには遅い時期です。
私の腕の中で、フラッフィーの手足にぎゅっと力が入ったのを今でも覚えています。
初めて見る大きな車、その車が行き交う音、今まで見たこともない大きな世界に緊張していたのでしょう。
最初は怖かったお散歩も回数を重ねるにあたり、数週間もすると大好きになりました。

今回は京都のメイプル動物病院にてのパピークラスでした。
子犬同士でも相性はあるので、パピークラスもやみくもに子犬同士を挨拶させるのではなく、相性や月齢を考慮しつつ、挨拶のタイミングを見計らいます。
今回は大変めずらしく、ノーフォークテリアとベドリントンテリアの子犬でした。
誕生日は数日違い、飼い主のもとにやってきた時期も同じくらいにもかかわらず、性格は違っていました。

ちょっぴり恐がりのベドリントンテリアは、最初、積極的なノーフォークテリアに会った際には、かなり慎重に様子を伺っては飼い主さんの元に逃げるというのを繰り返していました。
ここで飼い主さんも、怖がって走り寄ってきたイヌに「怖かったの〜!」とだっこしてしまわないように注意しなければいけません。
怖がって飼い主さんの元に逃げるのが正しい行動だとイヌが勘違いしてしまいます。

2度目にノーフォークテリアに会った際には、だんだん近くに、自分から寄っていくようになりました。
そしてレッスンの最後の方では、なんと、お尻を高く上げ、自分から「遊びのおじぎ」をしてワン!と吠え、遊びに誘ったのです。

こんなふうに、子犬の中には、最初はイヌ見知りして、ちょっぴり時間が必要な子もいるのです。
このベドリントンテリアの場合は2回目だったけれども、中には5回目の最後のレッスンで、自分から遊びのおじぎをして、遊びに誘う子もいます。
イヌにも何か切り替わる、自分のタイミングというのがあるのです。

飼い主さん、あなたは子どものころ、人見知りをする子でしたか?
イヌだってシャイな子もいるし、積極的な子もいます。
だから、イヌ同士の初対面は、飼い主が無理矢理イヌ同士の鼻をくっつけて挨拶させるのではなく、ちょっと待ってみたり、イヌのボディランゲージを観察しながら、ペースをみてあげるのもコツです。
子犬が他の子に近寄っていく小さな一歩が、他のイヌと仲良くなれる社会化の大きな一歩になっていくのだから。

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プロフィール

佐藤 えり奈(さとう えりな)/京都市生まれ
ペット心理行動カウンセラー/行動コンサルタント/CAPBT MEMBER
伴侶動物行動学・養成資格
Diploma in the Practical Aspetcts of Companion Animal Behaviour and Training(英国COAPE公認資格)
ミネソタ大学 理学士
University of Minnesota Twin Cities B.Sc.
生物科学部生態進化行動学科卒業(米国)

幼少の頃から、大の犬好きが高じて犬の行動カウンセラーとなる。アメリカで行動学を、イギリスで犬猫の行動心理学を学び、現在は、関西を中心に犬の心理状態を考慮しつつ、行動学をもとに問題行動を解決するペット心理行動カウンセラーとして活動中。
著書に「イヌの「困った!」を解決する」(サイエンス・アイ新書)

◇関連リンク◇
佐藤えり奈先生のホームページ → http://www.petbehaviorist.info/

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