ドッグカウンセラーのコラム ペットと一緒に暮らすために

その11 被災したペットの現在までの状況について

ドッグカウンセラーのコラム

専門のドッグカウンセラー執筆!ペットと一緒に暮らすために必要なしつけの仕方や体調管理の知識、ペットに関する豆知識などをご紹介します。


東日本大震災では、すべてのライフラインが停止し、その上大津波が押し寄せるという困難な状況の中、動物達の対策本部の立ち上げにも時間がかかり、それでも3月下旬から4月中旬にかけて宮城県、岩手県、福島県の3県で自治体、地方獣医師会及び動物愛護団体等と協働して、動物の救護を行う体制が整い、緊急災害時動物救援本部が立ち上がり本格活動となりました。

その間、獣医師は個々に活動され、被災した動物を管理センターや病院で預かっている状態でした。3月下旬の時点で、被災地で放浪している動物は既にほとんどおらず、動物と同行避難された家族が避難所に相当数おられ、ほとんどの方はこれから先も動物と一緒に生活する事を望んでおり、離れ離れには決してなりたくないと感じていました。

緊急災害時動物救援本部は、多くの避難所に居られる方々がより人間的に生活をできるように応援することを決して忘れず、伴侶動物と共に暮らせるように最大限努力をする、家族とはぐれた動物についてはよりよい環境を提供するため最大限の努力を払うことを基本理念と打ち出し、具体的な活動として

  • 1.動物病院の診療情報の提供
  • 2.被災動物の保護(動物管理センターと動物病院)と診療、譲渡
  • 3.被災動物の一時預かり
  • 4.避難所における被災動物の救護
  • 5.仮設住宅での同居や一般賃貸物件への入居の支援
  • 6.県内他地域、他県への支援

を行なったそうです。

東日本大震災発生後、飼い主から逸れてしまったり、飼い主が家や職を失ってしまったことによりやむなく手放さざるを得なくなった多くのぺットたちがセンターに保護収容され、その数は2ヶ月の間で相当数いたそうです。飼い主がわからない子たちについては、さまざまな活動を行なった結果として、飼い主不明の子の約70%を飼い主の元に帰すことができたそうです。

飼い主の元に戻れなかった子や飼い主と生活を続けることが出来なくなった子たちを新しい家族の元に送り出し、その子に相応しい家族を探す機会の場「譲渡会」を4月と5月に2回開催し家族を募集した結果、相当数の方にお集まり頂き、ほとんどを新しい家族のもとに送り出すことができたそうです。

しかし助かった動物たちはごく一部です。
津波に流されたり、餓死したり、人間以上の死亡率だったかもしれません。

福島第一原発から半径20km圏内にいたペットは、立ち入りが禁止されたので救護が困難になりました。
警戒地域に残されたペットの保護、回収活動について、5月から8月にかけての住民の一時立入りと連動して、環境省及び福島県、保護団体、緊急災害時動物救援本部が協力して実施。8月26日に南相馬市、浪江町にてペットを回収。これを最終として住民の一時立入りに連動した警戒区域内のペット保護・回収活動は終了しました。

これまでの保護数は、犬302頭、猫190頭だそうです。また、9月1日以降、現在でも環境省及び福島県、保護団体が協力して放浪犬・猫の保護活動を実施しており、平成24年度も一斉保護を何度も実施しているそうです。

また、保護された動物達の譲渡も随時行なっています。
福島県動物救護本部で管理している被災動物の現在の状況は以下のとおりで、通常は保健所に行くと数日で殺処分になりますが、現在殺処分は行なっていないそうです。

図 福島県動物救護本部で管理している被災動物の現在の状況 平成24年11月27日

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プロフィール

著/山形祝代
株式会社do しつけ部門DOG-ECO 代表
専門学校での『家庭犬トレーニング』の指導、動物病院でのしつけ教室・関西を中心に訪問によるしつけ・犬のイベント企画運営に携わる。
■取得資格
愛玩動物飼養管理士、COM ドッグライフカウンセラー、GOA JAPAN、DCNサブアシスタントコース卒業

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