ツルとカメ。—イケてるシニアライフを目指して—

vol.1 いぬは一体いつから「老犬」なのか。

ツルとカメ。—イケてるシニアライフを目指して—

長生きなワンちゃんと、たくさんの愛情を注いできた飼い主さん。共に歩んできた日々は家族である証です。一般的に「シニア期」と呼ばれる年齢に突入したワンちゃんと、より楽しく、充実した日々を築いていくためのヒントをご紹介します。


いぬの散歩をしていると、「何歳ですか?」と聞かれることが増えました。
「11歳です」とこたえると、「あと半分頑張ろうね!」という人もいれば、「長生きだね。あと〇年くらいかしら?」といろいろ勝手なことを言われます。
さすがにはっきりと顔に白髪が目立ってきてから、わたしも愛犬の「老い」に対して敏感になったし、うちの子も世間では「老犬」にカテゴライズされる時期を迎えてしまったんだと受け入れざるをえません。

子犬のかわいい容姿はいつまでも続かない。
どんなに元気なワンちゃんにも、シニア期はやってくるもの。
個体差にもよりますが、一般的には小型犬・中型犬は7歳前後、大型犬・超大型犬は5歳を過ぎると「シニア犬」といわれるそうです。
実際のところ、いぬは自分の年齢のことは気にしていません。
でも最近うちの子頑固だなぁと感じたり、やたら甘えるようになったりと、性格的な変化を飼い主さんが感じることが増える時期でも…。
視力や聴力の衰えなど、活発に過ごしていたこれまでとのギャップをいぬ自身が感じ、不安やストレスからそういった変化が現れるそうです。

いぬのシニア期はヒトの年齢でいうところの50歳代で、サラリーマンであれば、ある一定の年齢に達すると「定年退職」を迎えます。
サラリーマンでなくても、年金支給開始年齢を目安に「老後」を具体的に意識するころではないでしょうか。
この時期は、いぬもヒトも、人生後半をいかに充実させられるのかの準備期間なのかもしれません。

飼い主さんの健康管理意識やフード品質の向上、また獣医療の進歩などの理由から、犬の世界もヒトの世界と同様に高齢化が進んでいます。
むかしに比べて、現代はいわゆる「お年寄り」に見えない若々しい高齢者の方が増え、「年寄り扱いされたくない」というニュースを度々目にしますが、いぬも高齢化したからといって、シニア期に突入して急に「年寄り扱い」して運動量を減らしたり過保護になるのではなく、その子の変化に気をつけながら、その子がたのしい時間をいかにたくさん過ごせるかが、ぴんぴん元気なシニアライフをおくる一番のポイントだと思います。

いつもの生活環境で障害物を無くしたり、落ち着いてくつろげる居場所を作ってあげたり、脳に刺激を与えるよう犬が興味のあることや楽しいことはどんどんさせてあげて、頻繁にストレスを発散させてあげることに気を配る。
それでも、加齢にともなっていろいろな病気になることもあります。
いぬの楽しみのひとつである食事には、これまでよりももっと手間ひまかけたり、愛犬の身体に触れる健康チェックも念入りにしたい。
いぬもこれまでのように全身でも感情表現が難しくなってくる分、毎日のコミュニケーションをとおしての飼い主さんとの心と心との会話が「早期発見・早期治療」につながってくるのです。
その子がマイペースに毎日を過ごせるように、1日でもたくさん同じ時間を共有できるように。

白髪が目立ち、目も白く濁ってくるし、起きている時間より寝ている時間の方が増えたりします。
急に吠え出したり、言うことをきかなくなってイライラしてしまうかもしれない。
体臭や口臭が気になるようにもなるし、おトイレの失敗も増えて、後始末をしながらむなしくなることもあると思います。
介護や医療が不可欠な時期が訪れ、それがいつまで続くのか不安でたまらなくなる日がくるかもしれない。
そうやって一人でかかえて、せっかくの愛犬とのかけがえのない時間を無駄に費やすのはもったいない。
そのためには情報交換できる環境や、相談できるコミュニティをつくっておくことも大切です。

ぴんぴん元気でツルとカメ。

これからの方が出会った頃よりも、その子のことを考え、濃密な時間と関係を築けるチャンスではないでしょうか。

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