ツルとカメ。—イケてるシニアライフを目指して—
vol.8 シニア犬のお手入れ事情
長生きなワンちゃんと、たくさんの愛情を注いできた飼い主さん。共に歩んできた日々は家族である証です。一般的に「シニア期」と呼ばれる年齢に突入したワンちゃんと、より楽しく、充実した日々を築いていくためのヒントをご紹介します。
愛犬が健康で元気にシニアライフを送るためには、清潔を保つことも大切です。そのためには毎日のケアと定期的なお手入れが必要不可欠です。しかし、シニアになるとシャンプーなどは体力を消耗したり、ストレスを感じてしまい、心身ともに負担が大きいのも事実です。
行きつけのトリミングサロンがあれば愛犬も慣れているので安心ですが、慣れていなかったりサロンが好きではない場合は、サロンに行くこと自体がストレスになってしまいます。また、てんかんなどの持病がある場合は体調が悪化してしまう恐れがあるので断られてしまうことも。行きつけのサロンを決めていない場合、初めて行くお店では年齢を理由に受け入れてもらえないこともあります。
そこで、シニア犬のお手入れについて、その方法やチェックポイントなどをまとめました。
トリミングサロンは動物病院系列が安心
シニア犬の場合、ストレスが原因で持病の発作が起きてしまったり、体調が急変してしまった場合にすぐ対応してもらえるよう、動物病院に併設されていたり提携しているトリミングサロンを利用すると安心です。
また、既往歴や癖、好き嫌いなどを把握してくれている行きつけのサロンがあれば、愛犬に合わせて施術してもらえるので、ストレスを軽減できます。もしもの場合に備えて動物病院との連携など、いつも行くサロンに一度確認してみるといいですね。
高齢になってからサロンを変えてしまうとストレスが大きくなってしまうので、早いうちから安心して任せられるお店を見つけておきましょう。
必要なお手入れは順番に
シャンプーや歯磨き、爪切りなど様々なお手入れがありますが、全てを毎日やる必要はありません。その中でもできるだけ毎日してもらいたいのは、ブラッシングと歯磨きです。ただし、あまり念入りにやりすぎると、皮膚を傷つけてしまったり、愛犬が嫌になってしまうとお手入れさせてくれなくなってしまいますので気をつけてください。
ブラッシングは、日々の抜け毛や毛玉、汚れを浮かし取るつもりで、やさしく撫でるように行います。
歯磨きは毎回全ての歯を磨くというよりも、部分的に磨いていって、2~3日かけてすべての歯を磨くつもりで行いましょう。
どちらも愛犬とのコミュニケーションの一環として、飼い主さんも愛犬も疲れてしまわない程度に行うのがよいでしょう。
そして、シャンプー・爪切り・耳掃除は、1~2か月に1回の頻度で行います。一度にまとめて行うと負担になってしまうので、日にちや曜日を決めて、それぞれ違う日に行いましょう。
- Groomo
- 撫でるようにグルーミングできるアイテムです。粘着テープ側を隠すように立てて置いておけるので、手の届きやすい場所に置けて便利です。
- 歯磨きウエットシート
- ミルク風味でノンアルコールタイプのシートです。指に巻きつけて歯や歯ぐきを拭き取ることで、愛犬の口の中を清潔に保ちます。
負担の少ないシャンプーのコツ
愛犬のシャンプーも自分で!という頼もしい飼い主さんのために、シニア犬でも負担をかけにくいにシャンプーの方法をご紹介します。お天気や気温も程よく、愛犬の体調も万全な日を選んで行ってくださいね。
・温度に注意
まず、浴室や脱衣所に温度差があると身体に負担がかかってしまうので、冬場などは暖かくしてから行うようにします。浴室暖房などがない場合でも、浴槽にお湯をためることで室温を上げることができます。湿度が高いと呼吸が苦しくなってしまう場合もありますので、できれば浴室の換気をしながら行うと良いですね。
足元には滑り止めマットを引いて、足腰への負担を減らしてあげます。可能であればフセやオスワリをさせた状態で洗ってあげても良いでしょう。
使用するお湯の温度は30~36度くらいで、人の手で触れるとかなりぬるく感じる程度にします。温度が高いともくもくと湯気が上がってしまい、咳き込みやすくなり負担がかかります。また、血行が良くなって皮膚のかゆみを増してしまうことにも繋がります。
・あまり時間をかけない
濡らす前に、シャンプーをスポンジや泡立てネットなどで洗面器などにたっぷり泡立てておきます。全身を濡らしたら泡立てておいた泡をサッとなじませて流します。ゴシゴシ洗うと身体に負担をかけてしまいますので、すべてをきれいにしようと思わずに、部分洗いや、洗い残した部分は次に洗うくらいの気持ちで大丈夫です。
すすぐときはシャワーヘッドを手で覆い皮膚に近づけます。シャワーの水圧を抑えられるのと、毛の根本からすすぐことができます。シャンプーやリンスが残ってしまうと炎症を起こしてしまうので、すすぎ残しのないように泡切れのよいものがオススメです。
顔を流すのを嫌がる場合は、お湯を含ませたスポンジで顔を撫でるようにして流します。
終わったら、ドライヤーの時間を少なくするために、吸水性の高いタオルでしっかりと水分を拭います。ドライヤーは30センチほど話して、同じ場所に風が当たり続けないように常にドライヤーを動かしながら乾かします。
もし毛玉などがある場合はシャンプーの前にブラッシングでほぐしておきます。ひどい場合は先にリンスをつけてほぐすか、カットしてしまいましょう。普段から乾燥しないようにケアしてあげると静電気を抑えられて毛玉の予防になります。
- フェアリースキン ペット用オリーブシャンプー
- 自然の成分で作られた、食べられるくらいやさしい石けんシャンプーです。敏感肌の飼い主さんも一緒に使えるくらいやさしいので、シニア犬にもぴったりです。
- マイクロファイバー・タオル(ポケット付)
- 一般的な綿のタオルの10倍もの吸水力でドライヤーの時間を短縮します。ふわっとした手触りの厚手のマイクロファイバーなので優しく拭き取れます。
爪切り・耳掃除は様子を見ながら行う
お散歩によく行く場合は地面に擦れるので爪はあまり伸びませんが、シニアになると歩く距離や時間も短くなってしまうので、若い頃よりも爪が伸びやすくなっています。爪と一緒に神経も伸びていますので、あまり長くなってから切ると神経を傷つけてしまうことも。1か月に1回を目安に、爪が伸びていないかこまめにチェックしてあげましょう。
耳掃除は綿棒を使わずに、ガーゼや薄手のタオルなどをぬるま湯に浸して、耳を拭き取ります。1か月に1~2回程度で大丈夫です。でも耳の中は毎日チェックしてあげて、耳垢や臭いなどに異常がないか確認してあげましょう。
- シュアリンプウ・イヤークリーナー(ミニボトル)
- 舐めても、吸い込んでも、傷口から入っても、皮膚に塗りつけても大丈夫!善玉菌の力で抗菌・整菌効果のあるアイテムです。
愛犬の体調に合わせてお手入れを
もし途中で愛犬が疲れた様子を見せた場合は、お手入れを終わりにしてしまいましょう。また明日、また今度でも大丈夫。きれいにするよりも、愛犬のストレスや負担を減らしてあげることが大事です。
口の周り、足やお腹、お尻周りなど、汚れが気になる部分だけを毎日ウェットティッシュや濡れタオルで拭いてあげると、シャンプーの時間が少なくて済みます。シャンプーの代わりにぬるま湯で濡らしたタオルで全身を拭いてあげるだけでもある程度清潔を保つことができます。
寝ていることが多いシニア犬の場合、いつも使用するタオルや毛布はこまめに洗濯してあげましょう。ベッドなど洗いにくいものは、ペットシートを敷いた上からカバーを掛けて、そのカバーやシートをこまめに取り替えてあげれば、ベッドが汚れずに済みます。
- 天然三六五 消臭・お手入れスプレー 柿渋消臭
- 柿渋の持つ消臭性や抗菌性等を利用して作られた消臭スプレーです。舐めても安全な成分でできているので、愛犬のベッドなどにも使用できます。
- ペットニーム ウォーターレスシャンプー (無香料タイプ)
- 抗炎症作用もある天然洗浄成分を配合し、洗って拭くだけのお手軽シャンプーができます。汚れが気になる部分にさっと使えて、シャンプーできない時にも便利です。
- 制菌エコシーツプレミア2
- 洗って何度でも使えて経済的。優れた制菌性と消臭効果があり、サイズ展開も豊富。ハサミで簡単に切れるので、置きたい場所に合わせて大きさやかたちを調整できます。
普段からこまめにきれいを心掛けることが、愛犬の心身の健康を保ちます。だからといって躍起になると飼い主さんにも負担になってしまいますので、できる範囲で、できるところから始めてみてください。
バックナンバー
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