ペットとシニア世代の関係

第13回 高齢者がペットを飼いたいと思ったら

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


こんにちは! ペットライフネットの吉本です。
ワンちゃんを飼っている方に飼うきっかけになったエピソードを聞くと、たまたま入ったペットショップで販売されている仔犬と目が合ってしまって買ってしまったという話をよく耳にします。こんな事例は欧米ではあまりありません。犬や猫を展示して販売する、生体販売は虐待に等しいという考え方が浸透しているからです。
こうしたペット先進国の傾向を受けて、日本でも2013年に動物愛護管理法が改正されました。この法律により、ペット販売の状況が大きく変わってきています。
今回は、ペットを飼いたいと思ったら、どうすればいいのかを考えてみることにしましょう。

2013年9月1日施行の改正動物愛護管理法の大きな特徴は、「終生飼養」が前面に打ち出された点にあります。ペットを飼う以上、飼い主は最後まで責任をもって飼うことが義務付けられたのです。
「終生飼養」は動物取扱業者にも適用され、販売が困難になった犬猫等の譲渡先などを事前に「犬猫等健康安全計画」に記載し、提出することが求められます。また、不審死などがあれば検案書や死亡診断書を提出しなくてはならなくなりました。この改正動物愛護管理法によって、保健所や動物愛護センターは飼えなくなった動物(売れなくなった動物)の引き取りを拒否することができるようになりました。飼い主の身勝手な飼育放棄やペットショップによる安易な生体販売は許されなくなり、罰則も強化されました。

■改正動物愛護管理法による罰則の強化例

  改正前 改正後
愛護動物の殺傷 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 2年以下の懲役または200万円以下の罰金

愛護動物の虐待・遺棄

50万円以下の罰金 100万円以下の罰金
無許可特定動物飼養
(特定動物=毒蛇、ワニなど危険動物)
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
無登録動物取扱業営業 30万円以下の罰金 100万円以下の罰金

◎改正動物愛護管理法の波紋

改正動物愛護管理法で終生飼養義務が課されてから以降、ペットを飼う側にも売る側にも大きな変化が起こり始めています。
飼う側のそれは、「自分のトシを考えると、この子を最期まで世話ができないから」という理由でペット飼育をあきらめる高齢者が増えはじめたことです。
売る側においては、「終生飼養」だけでなく、仔犬・仔猫は生後56日を経過しない犬猫の販売・引き渡し・展示が禁止されました。仔犬・仔猫を生れてすぐに親兄弟から引き離すと社会化できず、問題行動を起こしやすいからです。ペットショップでは愛くるしい仔犬・仔猫が売れ筋ですから、生後2カ月近くたった犬・猫しか販売できず、売れ残った子の行く末までも手配しなくてはならないとなると、コスト高でリスクが高い経営になります。そのため、生体販売から手を引くショップも出始めました。
ペットショップが生体販売をしなくなると、たちまち困窮するのが弱小のブリーダーです。しかも、今回の改正で、不適切な環境下での多頭飼いなどを規制する繁殖制限も新設されました。その影響でしょうか、最近、「ブリーダー崩壊」「多頭飼い崩壊」という言葉をよく耳にするようになってきました。血統書付きのワンちゃんをたくさん産ませてペットショップに売りさばいていたブリーダーが立ち行かなくなり、売れ残った子たちを小さなガージに閉じ込めたまま姿をくらますという痛ましい現象です。残された子たちは、満足に餌も与えられず、汚れたままの環境の中で短い一生を終えることになります。

◎「ケア・ファミリー」という選択

犬や猫を飼いたいと思ったら、ペットショップで買うのではなく、「里親」という選択肢があることをご存知でしょうか。
ペットライフネットとともに活動する機会が多いLEY-LINE(http://ley-line.info/)は、動物の保護活動を長年にわたっておこなっています。動物愛護センターに保護された子や多頭飼い崩壊の現場から救出した子たちをネットや仲間のネットワークで里親を探しだし、虐げられたペットに普通の家庭で暮らす歓びを与えています。里親成約率8割以上と聞きますから、大変な成果です。
ペットショップと違って、保護犬は小さな子ばかりではありません。ミックスの子もいます。クセのある子もいます。また、病気の子もいます。年をとった老犬もいます。それでも、こうしたハンディをワンちゃんの個性として受け止め、引き受けてくださる里親さんもたくさんおられると聞きます。動物と人間とのつながりは、思いのほか深くて強くて、そして広いのです。


▲3月に多頭飼い崩壊からレスキューされたシーズー。無事、里親さんがみつかりました。

それだけに、高齢の方が「終生飼養」という法律の前に立ちすくんでしまう、ペットを飼うのを諦めてしまうのは、何としても哀しいものがあります。「里親」になって、終生、世話をするだけの自信がない。でも飼いたい。そんな気持ちで揺れ動く方もたくさんいます。
そんな時、私は「ケア・ファミリー」になりませんかとお勧めしています。
「ケア・ファミリー」は、「一時預かり」ともいいます。里親がみつかるまでの一時期をお世話する方のことです。あくまでも動物の所有権は愛護団体にありますから、里親がみつかった時点でお別れすることになります。預かっている間に情が移ってしまって、ほんとうに里親さんになる方も多いと聞きます。
高齢の方に「ケア・ファミリー」をお勧めすると、「別れるのが辛いから…」と二の足を踏む方がほとんどです。しかし、「会うは別れの始め」です。一緒に過ごせる時間を精一杯愉しまれてはいかがでしょう。それに、そこまでケア・ファミリーさんが可愛がっていたら、愛護団体もむやみに里子に出そうとはしないものです。

大きな動物愛護施設に預けられて、ゲージで暮らす犬や猫もいますが、普通の家庭で人と触れ合い、遊んだり寝たり食べたりするのが伴侶動物にとっての一番の幸せです。私たちにとっても、犬や猫の私たちを信じ切った瞳や屈託のない表情に接することで、大きな歓びと癒しをえるのですから。
ペットを飼いたいと悩んでいるあなた! 「トシだから」とあきらめないで、さぁ、一歩踏み出してみてください。

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