ペットとシニア世代の関係

第10回 あなたのペットの生涯費用はいくらですか?

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


こんにちは! ペットライフネットの吉本です。
前回は、犬や猫を保護し、譲渡活動をされている愛護団体の方たちの本音をご紹介しながら、高齢者である私自身をも含めて「高齢者にペットを飼う資格はあるのか?」と自問自答してみました。なかでも、"ペットを飼う資格"のなかで、いちばん大事なことは経済的な問題です。定収のある高齢者はごくまれで、ほとんどが年金暮らしになります。日々の生活費が限定されます。そのような環境のなかで、食事はもちろん、時には病気にもなるペットをムリなく養っていくことができるでしょうか。今回は、ペットとお金という生臭いお話を考えてみることにしましょう。

突然、「あなたのワンちゃんは年間、いくらぐらいの経費がかかっていますか?」と尋ねられたら、あなたは即答できますか? ペットの食事やおやつ代は、私たちがコンビニで買うコーヒーやおやつ代と比べればお安いものです。そんなに気にしない方がほとんどではありませんか。しかし、今のワンちゃん、ネコちゃんは長生きです。ペットが天寿を全うするまでしっかり養うのだと考えたとき、果たして生涯費用はいくらくらいかかるのでしょう。

○ ワンちゃんの年間の飼育費用をみてみましょう。

今回は、ペットを飼うにあたっての初期費用、動物愛護団体から譲り受けたり、購入したりしたときの費用や最初のワクチン代、避妊・去勢手術代、犬の登録費用などについては、いろんなケースがありますので省略します。今から犬を飼いたいと思っておられる方は、いくらくらいかかるものか事前にチェックをしておいてください。意外と費用がかさみますから、ご注意を。

ではさっそく、1年にどれくらいの経費がかかるか考えてみることにしましょう。(※ワンちゃんの場合です。)
ここでは、ペット関連企業などが算出した費用を一覧表にまとめてみました。経費の合計が高い順に並べています。

  アニコム損害保険 ペット総研 ペットフード協会 子犬のお部屋 どうぶつひろば※
食事 食費 47,965 40,819 34,608 36,000 31,200
おやつ 14,984 16,524 12,000
雑費 トイレ用品など日用品 18,084 16,047 85,080 12,000 24,000
洋服など 13,925 25,822 29,000 3,000
医療費 ワクチンなど健康予防 26,986 22,861 25,500 20,104
病気・ケガの治療費 75,400 26,367 10,000
ノミ・ダニ駆除 12,000 1,000
その他 ドッグランなどレジャー代 7,058 8,395
しつけ・トレーニング料 34,128
ペットホテル・シッター代 20,237 6,342 3,000
シャンプー・カット・トリミング 39,226 22,781 36,000
ペット保険代 34,564 28,997
防災用品 6,193
首輪・リード 7,280
合計 331,046 213,415 136,212 126,500 128,304
<犬>5社平均年間飼育費用 187,095

※どうぶつひろばは、小型犬の場合です。

アニコム損害保険株式会社
自社の契約者を対象に毎年1回、年間支出調査をしています。ペット保険に入っている飼い主さんを意識して、トレーニング料やレジャー代など調査対象の支出項目もたくさん設けられています。そのため、年間の犬の飼育費用は、33万円以上にも上ります。

ペット総研
ペットのオーナーを対象にしたアンケートサイトです。こちらの特徴は、犬種別に飼育費用を算出している点です。いちばん経費がかかるのが、トイプードルの26万3449円。ペットサロン代が年間6万円以上、ペットシッター代も1万円以上かかっています。いちばん手がかからないのが、雑種の13万8183円。全ての項目で最もの安価ですが、なかでもレジャー費は年間3600円ほど。こんなところにも、日本人のブランド志向が見え隠れしています。

ペットフード協会
ペットフード協会は、毎年「全国犬猫飼育実態調査」をしていることで有名です。沖縄を含めて全国の20~79歳の男女を対象にインターネットで5万人の声を集めています。ただ、飼育費用についての調査項目はペットフード以外は、そんなに細かく分かれていません。そのためシャンプー・カットといったサロン代などが計上されていない可能性が高く、年間の飼育費用は13万6212円。ペット総研の雑種犬の費用と同じくらいになっています。

子犬のお部屋
ペットと暮らす上で必要な知識が網羅されたサイトです。ここでは食事などの基本的な経費しか挙げられていませんが、トリミング費用や病気・ケガの治療費についても説明されています。気になる方は、ぜひ、「子犬のお部屋」を覗いてみてください。

どうぶつのひろば
ブリーダーさんを紹介するサイトです。このサイトでの犬の飼育費用の出し方の特徴は、小型犬、中型権、大型犬の3タイプにわけて紹介しているところです。ここでは、小型犬の1年分の飼育費用をだしていますが、中型犬は、約18万円。大型犬は、約24万円と、大きさによって飼育費用が大きく変わることを示しています。また、ブリーダーさんのサイトだけに、ワンちゃんを購入した場合の金額の目安をみることができます。

○ ワンちゃんの生涯飼育費用は果たして?

年間の飼育費用が把握できれば、生涯の飼育費用はワンちゃんの寿命をかければ算出できます。最近は、室内飼いが当たり前になり、食事や医療も進んでいるため、長寿命化が進んでいます。
「ペットフード協会」は、平成25年度の調査でワンちゃんの平均寿命を14.2歳(前年13.9歳)としています。「どうぶつのひろば」では、ワンちゃんの寿命を小型犬は18年、中型犬で15年、大型犬なら13年と見積もっています。
そこで、犬の平均寿命を15歳として、5社平均の年間飼育費用をかけると、

18万7095円 × 15歳 = 280万6425円!!

この数字は、大病などもせずに天寿を全うした場合を考えたものです。ペットも長寿化にともなって、認知症を発症したり、ガンを患ったりするケースが飛躍的に増えてきています。愛犬がもしも重病になったら、その治療費は想像がつかないほど高額なものになりそうです。
高齢者がペットを飼う場合、ペットにもしもが起こった時に引き出さる余裕はあまりありません。飼い主もペットも元気なうちに、毎日少しずつでもペット預金をするようにしたいものです。

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