ペットとシニア世代の関係

第2回 シニアが飼いやすいペットとは?

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


第1回の「あなたなら、ペットを飼わないとあきらめる?」で書きましたが、シニアにとってペットを飼うことは心身の健康増進に役立ち、ペット仲間とのつながりも増えます。社会的な孤立を防ぐだけでなく、認知症の予防にもつながるといわれています。しかし、昨年から施行された動物愛護管理法でペットの終生飼養が明文化され、これからペットを飼いたいと思うシニアにとっては自分の余命とペットの寿命を考え合わせて、飼育を断念してしまう場合も少なくありません。
そこで今回は、シニアのあなたが今からペットを飼うとしたら、どのようなペットを選べばよいかを考えてみることにしましょう。
NPO法人ペットライフネットでは、今年1月11日に設立記念セミナーを開催しました。その時、「ペットと共に元気で生き抜くために」と題して、石井万寿美さん(獣医師・まねき猫ホスピタル院長/プロフィール参照※)がシニアにふさわしいペットについてガイダンスしてくださいました。その内容をご紹介します。

- 犬 -

1. 小型犬(体重5キロくらいまで)
シニアの体力を考慮するとあまり大きなワンちゃんは避けた方がいいですね。
ただし、2キロ未満の犬は低血糖を起こしやすいので気をつけてください。

2. あまり病気をしない
街であまりみかけない犬は、日本の気候や暮らしにあわなくて飼われなくなったケースがほとんどです。
例えばシベリアンハスキーは極寒地が原産国ですから、暑さに非常に弱いです。夏場は熱中症になりますから、エアコンの効いた部屋で飼育しなくてはなりません。フレンチブルドッグは名前の通りフランス原産ですから、体質的に日本の気温や湿度にあわずに皮膚病になることが多いです。単頭種なので熱中症にも要注意です。

3. 世話がしやすい
世話がしやすいと、飼う人が多くなります。今、日本で流行っている三大犬種といえば、チワワ、ミニチュアダックス、トイプードルです。3種類とも小型犬などで、それも大きな要因なのでしょう。
チワワはメキシコが原産地ですから寒がりです。ミニチュアダックスは背骨の病気をする子が多いですが、比較的飼いやすいです。トイプードルはグルメ犬で、頭がいいので、一度、美味しいものを与えると市販のフードを食べなくなることがありますので、注意してくださいね。

- 猫 -

1. 性格が大人しい
気性が激しいといわれるのが、シャムネコです。アビシニアンやロシアンブルーもワイルドな猫ですが、交配の過程で大人しく改良されてきています。

2. あまり病気をしない
猫の場合、あまり改良されていないので、その猫独特の病気はあまりみかけません。ただ、スコティッシュフォールドのように、たれ耳にするための交配の結果、関節が弱くなっている猫もいます。血統書つきの猫であまり病気をしないのはアメリカンショートヘアです。

最後にペットの終生飼育ができる年齢は、日本人の平均寿命(男性80歳、女性86歳)とペットの寿命(ざっくり15歳)を考えると、男性なら65歳、女性なら70歳。ただし、これは生後1年前後のペットを想定した年齢です。70歳を過ぎていたら、もうペットは飼えない?! というわけではありません。
そんな時、生まれたばかりの子ではなく、少し年をとったペットにしてみたらいかがでしょう。5歳くらいのワンちゃんなら人間でいえば働き盛りの壮年期にあたります。ペットショップにそんな年をとったペットは売っていないという声が聞こえてきそうですが、それならぜひ保護犬を検討してください。
保護犬は、繁殖犬としてペットショップやブリーダーで飼養され、役目が果たせなくなって遺棄された犬や飼い主の転居、離婚などの理由で手放された飼育放棄されたワンちゃんたちです。【299navi】のサイトに掲載中の「つながるいのち」のラブファイブさんの保護犬カフェや、保護犬の里親募集をされているLey-LINEでみつけることができます。
保護犬の場合、年齢的にも落ち着いていて訓練もされています。大人しい、やんちゃ、甘えん坊など性格も決まっていますので飼い主との相性が見分けやすく、飼いはじめてガッカリすることもあまりありません。これからペットを飼いたいあなたに、ぜひお勧めです!

石井 万寿美(いしい ますみ)さんのプロフィール

石井万寿美さん

獣医師、アニマルライター。大阪市生まれ。1986年、酪農学園大学大学院獣医研究科修了、動物病院勤務を経て、大阪市守口市に「まね猫ホスピタル」を開業。臨床獣医師として、日々犬や猫を診察。その一方でアニマルライターとして、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、雑誌「愛犬の友」「キャッツ」などにも連載。

著書:「動物のお医者さんになりたい」シリーズ(コスモヒルズ)、「虹の橋のたもとで」(コスモヒルズ)、「老犬との幸せな暮らし方」(水曜社)、「ますみ先生のにゃるほどジャーナル」(青土社)など多数。

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