ペットとシニア世代の関係

第4回 年老いたワンちゃんと元気に明るく暮らすコツ。

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


散歩に出かけていて、最近、老犬が増えてきたな~と思われることはありませんか?
一般社団法人ペットフード協会が毎年実施している「全国犬猫飼育実態調査」というレポートがあります。その最新版、平成25年度調査によりますと、7歳以上の高齢期の犬が52.0%!実に飼育されている犬の半数以上が老犬という結果になりました。13歳以上という、人間ならさしずめ古希といわれる老犬も13.3%を占めています。少子高齢化は何も人間界に限ったことではなく、日本のワンちゃん社会にも押し寄せています。
犬の平均寿命は、14.19歳(前出の調査より)です。人よりも早く年をとる犬たちに、高齢期はすぐそこまでやってきています。我が家のワンちゃんにどのような老後をおくらせるのか、愛犬家にとって見逃すことができない切実な問題になってきています。


「全国犬猫飼育実態調査」
平成25年 一般社団法人ペットフード協会調べ

- 健康年齢アップの秘訣 -

【その1】スキンシップで老いのサインのキャッチを!

毎日、ワンちゃんのからだを触っていますか?スキンシップが老いのサインを発見するいちばんの早道です。
人間も同じですが、ワンちゃんも年をとると筋肉が落ちてきます。からだを触ると、今までとはちがってゴツゴツした感じがしませか?後ろ足はどうですか?筋肉が薄くなると歩けなくなりますし、ウンチを気張るのにも困ります。今まで苦にならなかった階段の上り下りが、スムーズにできなくなります。
顔の筋肉がゆるむと、人間なら「好々爺」とい言葉がありますが、柔和で優しい表情になります。ピーンと立っていた耳もちょっと開き気味になります。
毛にも注意をしてあげてください。ツヤもなくなり、白髪がでてきます。また、あまり伸びなくなってきます。散歩に行くときは、服など着せてあげてください。
玄関の戸を開ける前にしっぽを振って出迎えてくれていたのが、最近、来てくれなくなったという経験はありませんか?これは、耳が聞こえづらくなったからです。急に近づくと驚くのでゆっくりとそばに行き、優しくなでてあげてください。
目も見えにくくなります。瞳が白く濁ってきたら、白内障かもしれません。すぐに、動物病院で診察してもらいましょう。
高齢犬は認知症、がん、心臓疾患など、大病にかかる場合があります。スキンシップを通して何かおかしいと思ったら、手遅れになる前に動物病院に行きましょう。

【その2】筋トレを欠かさない!

加齢に伴って筋肉が落ちると、ワンちゃんは階段の上り下りができなくなり、後ろ足の震えが止まらなくなり、散歩を嫌がるようになり、後ろ足の筋肉が薄くなってきます。そして、その先には、「寝たきり」が待っています。寝たきりになるワンちゃんも世話をする飼い主にとっても、こればかりは避けたいですよね。
では、どうすればいいのでしょう?老犬になると寝てばかりの生活になりがちですが、まず、これから改めましょう。犬は4本足で立ってこそ、健康です。背骨をまっすぐに地面に平行になるように立たせます。そのうえで、弱くなった後脚を手に持ってゆっくり屈伸させてあげてください。1本の足で30回、足をかえて30回ずつが基本です。嫌がらずにやれたら、ご褒美におやつをあげましょう。ワンちゃんが楽しみながらやるのが毎日ムリなく続けるコツです。日課にしてしまうと筋肉の減り具合をカバーできます。
また、朝晩わずか5分でいいですから、散歩に出かけることもお忘れなく。若い頃に行っていた散歩コースをワンちゃんのペースでゆっくりと歩いてあげましょう。後肢の調子が悪いようでしたら、介護用ハーネスを利用するのもよいでしょう。散歩中に元気な犬たちに出会うと、それだけでも大きな刺激になり元気がでます。


「老犬との幸せな暮らし方」
獣医師 石井万寿美 著(水曜社刊)より

【その3】免疫低下は万病の元!

旭化成ホームズ株式会社(へーベルハウス)のペット研究会が、平成21年に「ペットの死」をテーマにした調査をおこなっています。これによりますと、死因の5割が「病気」、3~4割が「老衰」、1割が「事故」。病気の死因のトップは、犬・猫とも「悪性腫瘍(がん)」で3割を占めています。ペットも人間と同じ、高齢になるとがんに侵されるのは避けようがないようです。


「直近に亡くなったペットの死因(病気)」
平成21年 旭化成ホームズ㈱ペット研究会調べ

ガンの治療といえば手術・抗がん剤・放射線治療がすぐに思い浮かびます。病状が進行すると大掛かりな治療になり、ペットにも飼い主さんにも大きな負担をかけることになりかねません。そこで最近、からだの外側からがんを倒すのではなく、内側からがんを抑制する免疫療法に脚光が当てられています。
全ての動物には、細菌やウィルスなどの外敵から身を守る免疫システムが備わっています。この免疫力を刺激し、高めることで、がんと闘う力をつけようとするものが免疫療法です。西洋医学のような劇的な治癒は望めませんが、じんわりと効いてくる丸山ワクチンや漢方薬の処方が試みられ始めています。
この免疫療法、がんが発見されてから行うのではなく、日頃から免疫力が低下しないように気遣って、自己治癒力を引き出してあげるのがいちばんです。食事、運動、ストレスなど、ワンちゃんが免疫低下に陥るような生活習慣を身につけていないか今一度チェックしてあげてください。そして、年老いても元気なワンちゃんと毎日のスキンシップと散歩を楽しんでください。

【指導・監修】
この原稿は、獣医師・アニマルライターの石井万寿美さんの「老犬との幸せな暮らし方」(水曜社刊)に基づき、指導と監修を受けて作成しました。

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