ペットとシニア世代の関係

第6回 ペットのために遺産をのこしてあげよう。

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


少子高齢化が急進展するなか、単身世帯のシニアが急増しています。平成25年版の「高齢社会白書」によると、一人暮らしの高齢者が高齢者人口に占める割合は、平成22年には男性11.1%、女性20.3%。年を追うごとに、その比率が増していきます。
その一人暮らしの高齢者を対象にした「単身高齢者の介護準備に関する調査」レポートが今年の5月に第一生命経済研究所からだされています。これをみると、第三位に「ペットの世話の依頼先や引き取り先を検討する」が挙げられています。レポートでは「ペットを飼っている単身高齢者の場合、自分自身の介護に向けた準備に加えて、自分に介護が必要になった場合のペットの行く末も重要な準備項目になっていると考えられます」と分析しています。


▲ 第一生命経済研究所(2014.05調べ) ※ペットを飼育する84名に占める割合

ペットを飼っている一人暮らしの高齢者にとって、ペットは人生の伴侶です。それにもかかわらず、自分の死後、ペットがみじめな事態に陥ってしまうのだとしたら…。そう考えると、やりきれない思いになりますよね。
そこで、今回は自分自身が介護状況に陥る、あるいは亡くなっても、ペットが終生安心して生きていける方法のひとつとして、ペットのために遺産をのこす方法を考えたいと思います。

○ペットは遺産相続人にはなれない

「ペットに遺産をのこす」といえば、簡単そうにみえますが、これがなかなか難しいのです。というのも、法律ではペットは、ヒトではなくモノとして扱われますから、ペットに直接、遺産をのこすことはできません。財産を贈与するかわりに、この子の面倒を最期まできちんとみてくださいという遺言が必要になってきます。負担(ペットの世話)付き遺言書という方法です。
ここで問題になってくるのが、誰にペットの世話を頼むかということです。
この人選が何よりも大切です。大事なペットと同時に遺産を預けることになるわけですから、慎重に選ばなくてはなりません。ペットを最期まで遺棄せず可愛がってくれる方、信頼できる動物愛護団体など。個人の方にお願いする場合は、あなたのペットをよく知っている方が望ましいですね。ペットを飼っている方ならよくお判りでしょうが、ペットにも相性があります。どんなにペット好きな人であっても、肝心のペットがなじめない場合もあります。
「この方、この団体なら大丈夫」という確信が得られたら、事前に相手に話をし、遺言書に明記することを承諾してもらってください。
また、この方が遺言通りにペットの世話をしてくれているかどうかも気がかりなところです。遺言執行者を指定して、チェックしてくれるように考えておくことも必要です。
ところで、ペットに資産をのこすといっても、その金額にも配慮がいります。ペットにたくさんの財産をのこしたくても、法定相続人(配偶者、子ども、父母)が存在する場合は、遺留分を侵害しないように配慮してください。大変なもめごとを引き起こしかねません。

○「信託」をつかって遺産をのこす

ところで、ペットの世話をしてくれる人をみつけて「遺書」を書いたから大丈夫なのでしょうか? 例えば、要介護状態になってペットの世話が全くできなくなった場合はどうでしょう。
遺言は、本人が亡くなって初めて効力が発生します。要介護状態の場合は、ペットにのこした資産を活用することはできません。ペットを預かった方にとっては、遺言が発効するまでの期間、いいかえればご本人が亡くなられるまでの間、ペットのフード代や医療費などを立て替えなくてはならない事態に陥ります。
そこで今注目されているのが、「信託」という仕組みです。
「信託」ときけば「投資信託」が思い浮かぶのですが、ここでいう「信託」は資金を運用するものではありません。「管理型信託」といわれるもので、委託者(ペットの飼い主)が信託行為(遺言など)によってその信頼できる人(受託者、信託会社)に対してお金などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的(ペットの終生飼育)に従って受益者(飼い主、飼い主がペットの世話ができなくなった時にペットの世話をしてくれる人、団体)のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度です。
信託を活用すると、委託者(ペットの飼い主)が信託契約を結ぶ際に、契約を開始する条件をつけることができます。例えば、「私が要介護になったとき」「認知症になったとき」「老人ホームに入ることになったとき」といったように、遺言が発効するのを待つ必要はありません。

○「生命保険×信託」を活用してのこす

ところで、最近お会いしたプルデンシャル生命保険㈱の方から生命保険をつかってペットに資産をのこす方法をお聞きしました。
生命保険は通常自分の大切な家族(配偶者や二親等以内の血族)に対して備える人がほとんどだと思います。生命保険が他の金融商品よりも優れている点は、小さな掛金(保険料)で大きな財産(保険金)を大切な家族にのこすことができる財産創出機能です。当たり前の話ですが、通常の生命保険ではヒトにしか財産をのこすことができません。ところが、プルデンシャル生命保険(株)で取扱う生命保険信託であれば、最終的にペットに財産をのこすことができるようです。(あらかじめ信託契約を締結し、万が一の保険事故で請求する死亡保険金の請求権を信託銀行へ信託し、死亡保険金を信託財産として管理していくものです)
具体的なイメージとしては、自分に掛けている生命保険の死亡保険金を、自分の死後ペットを管理してくれるところ、ペットライフネットのようなNPO法人に終生ペットの面倒をみる目的で預ける形です。その財産の管理は、信託銀行が受託者として善管注意義務を持って行います。
ペットのためにお金をのこしてあげたいが、そんなにたくさんの金額をのこせないと悩んでいる方にとっては、小さな掛金で大きな財産をのこせる生命保険の登場は朗報です。人生の伴侶であるペットに安心して財産も想いものこせるのではないでしょうか。

○「エンジェルノート」でペットにかかる生涯費用の計算を。

ところで、信託でペットに資産をのこすことにした場合、どれくらいの金額が妥当でしょうか? いいかえれば、ペットが最期まで安心して暮らせるには、どれくらいの費用が必要でしょうか?
NPO法人ペットライフネットでは、「ペットライフ信託」という名称でペットの終生飼養を実現するシステムをとっています。ペットライフ信託を結んでいただく前に、「エンジェルノート」でペットの現在の健康状況や生活習性などからある程度の余命を判断し、フードやワクチン、トリマーなどの雑費などを算出します。また、「この子には、このフードを食べさて欲しい」「癌にかかったら、高度医療を受けさて欲しい」、あるいは「亡くなったときには、あのペット霊園に」といった委託者(ペットの飼い主)の要望などを汲み取って、終生飼養に必要な費用を導き出し、ペットライフ信託の信託預託金をご提案します。
遺言は、亡くなったときの1回限りの話ですが、ペットライフ信託は委託者(ペットの飼い主)が元気な時から介護状態になったとき、亡くなった後、その後のペットの人生のことまで設計できるシステムです。わが子のように可愛がってきたペットの行く末が心配になってこられたら、ぜひ、一度ご検討ください。


※「ペットライフ信託」の受託者
サーバントラスト信託株式会社(http://www.servant.jp/individual_list/individual_list_02

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