ペットとシニア世代の関係

第5回 ペットロスには陥らないために…。

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


「ペットロス」という言葉をご存知ですか。犬の寿命は長くなったといっても、14歳ぐらいです。一方、日本人の平均寿命は83歳で、犬の6倍近く長生きします。当然、犬を飼っていたら、その死に巡り合うことは避けられません。しかし、ペットを亡くすと、今まで共に過ごして培われた愛情や愛着が行き場をなくしてしまって、鬱状態になるなど心身に様々な症状をきたします。これが「ペットロス」です。
なかでも子育てを終えた頃からペット飼いはじめ、高齢になってからワンちゃんに先立たれた方にとっては、わが子同然の存在を失ったことと同じです。悲嘆くれて立ち直れないという方も多いとききます。
そこで、今回はどうすればペットロスを防げるのか、どうすればペットロスから抜け出せるのか。そして、「いのち」をどのように繋いでいくかを考えます。

○ ペットロスが辛いからもう飼わない?

犬が大好きだけれど今は飼わないという方に、その理由を尋ねたデータがあります。そのトップ3は「集合住宅に住み、ペットが禁止されているから」「十分に世話ができないから」「お金がかかるから」ですが、第4位の「別れがつらいから」、第5位「死ぬとかわいそう」、第6位「ペットを亡くしたショックが癒えていないから」とペットロスにつながる理由が続きます。
でも、これって残念なことですよね。寂しいことですよね。
あなたの足音がすると一目散に玄関に出てきて振り切れそうにまで振り回す尾っぽ、あなたを信頼しきってみつめるあの目、寝っころがって「触って、触って」と甘えるプクプクのおなか、そして香ばしいニオイをだすあの肉球…全身であなたを求めるワンちゃんとの生活が絶たれるのですから。


▲「全国犬猫飼育実態調査」 平成25年 一般社団法人ペットフード協会調べ

○ 一頭よりも二頭!複数飼いが悲しみを癒す。

ペットロスを予防する最も現実的で効果的な方法は、「複数飼育」(ひとつの家庭で複数のペットを飼うこと)にあるといわれています。
前項と同じ「全国犬猫飼育実態調査」では、「複数飼育」をされている方にその理由を尋ねています。いちばんの理由は、「1頭だとペットが寂しがると思ったから」(43%)、次いで「ペットだけで留守番時に相手がいるので寂しくないから」(39%)、3位は「ペット同士で遊ぶので運動不足が解消できるから」(35%)と、ペットも一人っ子だと可哀そうだという配慮から複数飼育が始まっています。
ところが、4位の「1頭の時よりもペットに癒されるから」(18%)、5位「いつでもペットといたいから」(13%)、6位「亡くなった時も他のペットに慰められるから」(8%)、7位「ペットロスを防ぐため」(8%)といった回答をみると、ペットとの暮らしを継続的に保ちたいからこそ複数飼育を始めたという飼い主の強い意志が伝わってきます。


▲「全国犬猫飼育実態調査」 平成22年 一般社団法人ペットフード協会調べ

では、実際に2頭目を迎えた飼い主はどのような感想を抱いたのでしょう。
アニコム損害保険会社の調査によると、「家族の会話が増え」、7割以上の方が「家の中が賑やかになった」。また、ペットたちも「遊んでいる姿が楽しそう」で、「先住の子が落ち着いた」。その結果、7割近くの飼い主が「それぞれの特徴や性格が良くわかる」ようになって、ペットとの暮らしが今まで以上に豊かになったと答えています。


▲「多頭飼育に関する意識調査」 平成22年 アニコム損害保険株式会社調べ

○ 高齢者も複数飼いで「健康」!

「全国犬猫飼育実態調査」では、「ペット飼育の効用」を年代別に調べています。
そのなかでワンちゃんを複数飼っている高齢者の意識をみますと、37%近くが「健康的になった」「ストレスを抱え込まなくなった」と答えています。
また、犬にこだわらず猫も飼っている高齢者は、「情緒が安定するようになった」を筆頭にペットとの暮らしで心身ともに癒されていると実感しています。
ところで、当然のことですが、飼育頭数が増えると今まで以上に手間と費用がかさみます。ペットたちを最期までしっかりと世話ができるのかどうか、ご自身の体力を考え、子どもたちともよく話し合って、計画的に飼うようにしたいものです。


▲「全国犬猫飼育実態調査」 平成25年 一般社団法人ペットフード協会調べ

○ ペットロスのあなたに、『いつでも会える』を…。

最後に、今現在もペットロスから抜け出せない方にお薦めの一冊があります。
菊田まりこさんの「いつでも会える」(学習研究社刊)という絵本です。大好きな飼い主みきちゃんを亡くした愛犬シロの哀しみと救いの話です。ぜひ、ご一読ください。
そして、失ったペットと「いつでも会える」方法を身につけられたら、新しいペットを家族に迎えるよう第一歩を踏み出してみてください。あなたを待っているワンちゃん、ネコちゃんはすぐに見つかるはずです。

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