ペットとシニア世代の関係

第1回 あなたなら、ペットを飼わないとあきらめる?

ペットとシニア世代の関係

ペットと終生ともに暮らすシニア世代の支援をされている、NPO法人ペットライフネットさんに日本のペットとシニア世代の関係、そして犬猫殺処分数の現状についてお話しいただきます。


はじめまして!
NPO法人ペットライフネットの吉本由美子です。

ペットライフネットは、今年1月に発足したばかり。まだまだ十分な活動ができているとはいえません。そこで、このNPO法人を立ち上げるきっかけをお話ししましょう。

たまたま知り合いの紹介で、80歳すぎの女性宅にお伺いすることになりました。お住まいは関西でも有名な高級住宅地にあり、2階建ての純和風の邸宅です。住まわれているのは、1年前にご主人に先立たれて、彼女おひとり。息子さんや娘さんが絶えずやってきてくれるとのことですが、泊まられることはほとんどないとのこと。広い和室がなんとも寂しい限りです。

ところが、壁に可愛いワンちゃんの絵が飾ってありました。日本画を描くことが彼女の趣味で、プロはだしの腕前です。絵のモデルのワンちゃんを尋ねると、「3年前に亡くなってしまったの」。そして、「もうトシだから、次の子を飼うわけにはいかないでしょ。最期まで世話ができそうにないから」と。ご自分の余命を考えて、飼うのをあきらめたというのです。
今、家の中で話ができるのは、外から帰ってきてホームセキュリティを解除したときに「お帰りなさい」といってくれるぐらい。それでも、この声を聞くだけでも心がやすまるとおっしゃるのです。

このお話を聞いて、私は大変なショックを受けました。私自身、66歳で一人暮らしですが、猫たちが寝食を共にしてくれています。年齢を重ねることは、いろんな事柄をあきらめることにつながるのでしょうが、私自身はペットと暮らすことだけはあきらめたくありません。
それに、シニアがペットを飼うことは、アニマルセラピーという医療方法があるように心身の健康増進に役立ちます。近年では痴呆症防止にも効果を発揮するといわれています。また、家族間で会話が増えるだけでなく、ワンちゃんとの散歩は犬仲間を増やし、新しい仲間ができます。
シニアにとってペットとの暮らしは、感情を刺激し、こころを豊かにしてくれます。さらには、社会とのつながりを実感させてくれます。

しかし一方で、こんなデータがあります。
平成24年度の犬猫殺処分数は、161,867頭(環境省自然環境局統計資料より)です。昨年度よりは少なくなったとはいえ、国が犬猫の殺処分をおこなうことなど考えられない欧米諸国と比べると、仰天するような数字です。しかも日本の場合、ペットを遺棄する年齢は60代以上が56%と半数以上にのぼります。(出典:第34回動物臨床医学会/2013年「犬の飼育問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策」)

その原因は、ペットの世話に疲れた。認知症を発症したため飼い続けることができなくなった。一人暮らしの老人が突然亡くなり、飼っていたペットが取り残された。老人ホームに入居することになったが、ペット連れでは入れない…などなど、シニアがペットを飼い続けることがとても困難な状況です。

そこで私たちペットライフネットは、シニアのペット飼育放棄を防ぎ、終生飼育ができる社会を築くため、みなさまに3つの約束をし、活動をします。
ぜひ、ペットライフネットにご支援とご協力をお願いします。

<ペットライフネットの3つの約束>

◎ペットライフネットは、ペットと終生ともに暮らすシニア世代のあなたを支援します。

 1.あなたと同じようにペットを飼っている人たちが、ともに語らい助けあうことができる出会いと交流の機会を創ります。

①定期的なイベントの開催
②電話によるペット相談の随時受付
③ペットロスを語り合う仲間の会の開催

 2.もしものときペットが里子にだされても幸せに暮らせるように、正しい飼い方を広く知らしめ、私たち自身も実践します。

①的確な避妊・去勢
②社会性の育成(正しいトレーニングで排泄や狂暴などの問題行動を防止する)
③社会的なマナーの遵守(犬の散歩など、戸外では必ず同行し、排泄物などの正しい処理をする)
④猫の室内飼いの推奨
⑤感染症の猫の隔離保護(猫エイズなどの感染症にかかった猫は隔離保護をおこない、病気を拡散しない)
⑥高齢ペットの飼育と看取り方(飼育困難に陥った高齢ペットの飼育放棄を防ぐ)

 3.あなたにもしものことがあったとき、ペットのいのちをつなぐセーフティネットを築きます。

①ペットに資産が遺せる「ペットライフ信託」による飼育費用の確保
②ペットシッター、ペットホテル、ボランティア団体との連携・協働によるペットの一時預かり
③ペットシター、ボランティア団体との連携・協働による飼育介助

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NPO法人ペットライフネットさんについて

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