299'S CHOICE

#021 CINEMA「犬に名前をつける日」

299'S CHOICE

299’S CHOICEでは、動物を扱った本や映画など299naviが独自にチョイスした作品をご紹介しています。どうぶつ好きならずとも大注目の作品たちです!


#021 CINEMA「犬に名前をつける日」

#021 CINEMA「犬に名前をつける日」

犬の幸せはどんな人と出会うかで決まる。犬たちの現実を知ったとき、私はカメラをまわしはじめた。名前のない犬たちと、彼らを救い出す人々を描いた、感動のドキュメンタリードラマ。

2010年秋、愛犬のゴールデンレトリーバーを重い病気で亡くした山田あかね監督が、先輩の映画監督に促され「犬の命」をテーマにした映画を撮ろうと思ったことがこの映画の始まり。

動物愛護センターから犬や猫を救い出している人たちや、東北の震災で置き去りにされた動物を保護している人たちの活動を追いかけ始めた彼女は、4年にわたり取材を続け、撮りためた映像は200時間を超えた。
それらの映像から、福島の原発20キロ圏内から救い出された1 頭の犬「むっちゃん」に焦点をあてたドキュメンタリー「むっちゃんの幸せ」が生まれ、テレビで放送されると大反響となった。

むっちゃんの声を担当したのが小林聡美だった。

映像に映し出される保護犬たちと彼らを救おうとする人々に感銘を受けた小林は、監督が準備をしていた本作に参加することになった。実際に保護施設に行き、台本もないまま、取材者を演じるという難しい試みに挑戦している。
小林が参加したことにより、監督自らが4年間取材してきた200時間を超えるドキュメンタリー映像に、取材する側=久野かなみ(小林聡美)を主人公としたドラマが加わり、新しいタイプのドキュメンタリードラマとなった。ドキュメンタリーとドラマが融合することで犬と猫の命の現場でゆれる取材者の気持ちをよりリアルに描き出している。

かなみの元夫・前田役は、自身も保護犬の里親である俳優・上川隆也が愛犬とともに好演している。
また、失意のかなみを励ます先輩として、1964年に、日紡貝塚バレーボールチームの映画『挑戦』をカンヌ国際映画祭に出品し、短編部門で日本初のグランプリを受賞した映画監督、渋谷昶子が出演。山田監督に「悲しんでばかりいないで、犬のために映画を撮りなさい」と勧めた渋谷監督が本人として登場しているのにも注目だ。

構成は、大好評を博した番組「喜びは創りだすもの~ターシャ・テューダー四季の庭~」(NHK)の演出で知られる、松谷光絵。山田監督とドキュメンタリーを作るのは本作で3 作目になる。

つじあやのが手がけるやさしい劇中音楽と、メンバーが動物愛護チャリティーイベントにも参加している、ウルフルズによる主題歌「泣けてくる」が物語を彩る。

“犬のためにできることを何かしたい”という思いでつながった出演者・スタッフが集結した。
いま自分ができる「何か」を模索している人すべてに一筋の光を照らし出す、真実の物語がここから始まる。

STORY

愛犬・ゴールデンレトリーバーのナツを重い病気で亡くし、傷心のテレビディレクター・久野かなみ(小林聡美)は、何をしようにも気力が湧かない。そんなとき、大先輩の映画監督渋谷昶子さんに「悲しむ暇があるなら、犬の映画を撮れ」と励まされ、犬の命をテーマにした映画を撮り始める。

飼い主のいない犬と猫は「動物愛護センター」で一定期間保護され、飼い主や引き取り手が見つからなければ殺処分されてしまう。かなみは、センターで殺処分される犬猫や、2011 年の東日本大震災後、福島の原発20キロ圏内に取り残された犬猫の姿を目の当たりにして大きなショックを受ける。しかし、取材するうち、過酷な状況から一頭でも多くの命を救おうとする人たちと出会う。

「ちばわん」は、千葉県を中心に、愛護センターに持ち込まれた犬や猫の里親捜しをする保護団体。代表の扇田桂代さんは、崩壊したブリーダーの店から46 頭の犬を救い出したり、被災地の犬猫に無償で不妊去勢手術を行っている。副代表の吉田美枝子さんは、毎週愛護センターに通い、2015 年までに5000 頭の犬と猫の命を救ってきた。

一方、広島に本拠地を置く「犬猫みなしご救援隊」は、シェルターを構え、1000 頭以上の犬と猫を保護している。震災後には、福島の原発20 キロ圏内から1400 頭の犬猫を救い出した。代表・中谷百里さんは「人間のエゴで動物を殺すのは間違い。助けられる命は全部救う」と言う。彼女たちの真剣な取り組みを知ったかなみは、「自分には何ができるのか」を問いかける。

そんな折、離婚して10 年になる元夫・前田勇祐(上川隆也)から連絡が来る。かなみは、犬たちの悲惨な状況を取材するだけで何もできない自分のふがいなさを告白。カメラマンの前田は「自分たちの役目はそれを撮って伝えることではないか」と励ます。彼に背中を押されたかなみは保護されたあとの犬たちの取材を始める。

震災を生き抜いた犬と飼い主の絆、保護犬を積極的に受け入れる老人ホーム「さくらの里山科」のお年寄りと犬との愛情あふれる暮らし。行き場のなかった犬たちが新たに出会った人たちと支え合いながら生きている姿を見て、犬と人のつながりにもいろいろな形があることを知る。

「嘆くだけでなく、自分でできることをしよう」そう気づいたかなみは、ある決心をするのだった。

DATA
犬に名前をつける日
  • ■監督・脚本・プロデューサー/山田あかね
  • ■出演/小林聡美、上川隆也、渋谷昶子監督、動物愛護団体「ちばわん」、NPO法人「犬猫みなしご救援隊」、ほか
  • ■音楽/つじあやの
  • ■主題歌/「泣けてくる」ウルフルズ
  • ■2015年10月31日(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
  • ■2015年11月21日(土)からシネ・リーブル梅田にて公開
    (ほか、関西圏ではシネ・リーブル神戸、京都シネマにて公開予定)
  • ■公式サイト http://inu-namae.com/
  • ©スモールホープベイプロダクション
■「犬に名前をつける日」予告ムービー

バックナンバー

こちらもおすすめ

バックナンバー

ペットフォトコンテスト

page top