旅する獣医師TONOの動物イロイロコラム

【健康診断】犬猫に健診って必要なの?年齢別「最低限やっておくべき」検査項目

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〜日本では獣医師。世界では旅人。〜

世界一周や日本縦断を経験した“旅する獣医師とうの”さんが、日頃のペットの健康や病気に関するアドバイスから、世界の動物たちのリアルな日常まで分かりやすくお話していくコラムです。
自分のペットの事を知り、世界の動物事情を知ることで、よりペットと暮らしやすい日本を一緒に目指しましょう!


みなさんこんにちは。
旅する獣医師とうのです。

今回は犬猫の健康診断についてお話していきたいと思います。

人間はお勤めの方であれば、毎年健康診断を受けますよね。犬や猫も、もちろん生きている以上は病気になりますから、病気の予防や早期発見は人間と同じく大切なことです。特に言葉を話すことのできない動物たちは、血液検査やレントゲンなど、数値や画像を駆使して病気を見つけることが重要になってきます。

今回のコラムでは健康診断の必要性と、普段から家で気をつけておくべきこと、年齢によって最低限押さえておくべき検査項目、健診の頻度を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

犬猫の健康診断って必要なの?

先にも書きましたが、犬猫も生き物ですから病気になることがあります。ですが、動物は自ら不調を訴え病院を受診することはできないので、家族である飼い主さんが気づいてあげないといけないのです。元気や食欲が明らかに落ちてしまってぐったりしていたら気づくかもしれませんが、そうなってしまった時にはすでに手遅れということもあります。

“自然のままに”という考え方もありますが、そもそも犬や猫は人間が品種改良によって犬種や猫種を作り、仕事のパートナーや愛玩動物として一緒に暮らしてきた長い歴史があります。

ですから、現代のペットである犬猫は“自然”とは言いづらい生態を持っているのです。そして、犬や猫も人間と同様、病気になったら、痛みや不快感といった苦しみを味わいます。そうならないよう、なったとしてもひどくならないうちに対処してあげたいですよね。

犬猫は品種改良の結果、犬種によって特徴的な長所を持てた一方で、若くても遺伝子が関係した病気になる可能性がある、というデメリットもあります。さらに寿命が人間より短い分、病気の発症時期や進行が早くなりがちです。

誰にでも起き得る“病気”。愛犬愛猫の体の変化に真っ先に気づくためには、定期的に血液検査や画像検査を用いて、早期発見をすることが大切なのです。

普段から家で気をつけておくべきこと

動物病院での健康診断の大切さをお伝えする前に!まずは、家庭で普段からチェックしておいてもらいたいことを説明します。

病院で検査を受ける前に「最近の調子はどうですか?」と必ず聞かれることでしょう。これは、機械ではわからない“症状”がとても大切だからです。飼い主さんがペットの体調を知っているということは、何よりも大切な情報なのです。

ご家庭でのチェック項目
・元気(遊ぶ時間、寝ている時間の変化)
・食欲(多頭飼いの場合はできれば別皿で食べている量を管理しましょう)
・便状態(頻度、色、形、柔らかさ)
・尿状態(頻度、色、量)
・飲水量(つぎ足す時の量や回数を測っておくとベストです)
・呼吸回数(安静にしている時の呼吸回数が30回を超えると危険信号です)

そのほかにも、体を痒がっている、歩き方がおかしい、咳をする、などの異常がある場合はその記録をして病院を受診しましょう。動画を撮るのも診断の助けになります。

年齢別おすすめ検査項目

犬猫の年齢に合わせて病気のリスクは変わっていきます。各段階で最低限やっておくべき検査を挙げていきますので、主治医の先生との相談の参考にしてみてください。
(もちろん、それぞれの検査で異常が見つかった場合はさらに進んだ検査が必要です。フィラリア検査など、投薬状況によって検査可否が決まるものについては今回は特記していません。)

・幼齢期(0〜半年令)

先天性疾患や寄生虫感染症など、家に迎え入れた時点で確認しておくべき病気について検査を受けておきましょう。

最低限やっておくべき検査項目:
一般身体検査(触診・聴診など)、糞便検査、ウイルス検査(猫であればエイズ・白血病など)

おすすめ健診頻度:
0〜半年令で飼い初めてすぐ。最低1回。

・若齢期(半年〜1歳)

心臓や肝臓などの先天性疾患の発見はもちろん、“今、健康である”ことを確認する意味で非常に大切な時期です。避妊去勢手術の際に検査を受ける場合も多いです。この時期の検査結果は、今後の目安となりますので大切に保管しておきましょう。

最低限やっておくべき検査項目:
一般身体検査(触診・聴診など)、血液検査、レントゲン検査

おすすめ健診頻度:
半年〜1歳のうちに1回

・成年期(2歳〜6歳)

若齢期までで先天性疾患が見つからなかった場合は、基本的に健康に過ごせることが多い時期ですが、尿石症や歯周病、心筋症など、若くても発症する病気があります。猫や大型犬では関節炎も比較的若くして起こすことがあります。

最低限やっておくべき検査項目:
一般身体検査(触診・聴診など)、血液検査、尿検査、歯科健診

おすすめ健診頻度:
1年に1回以上

・シニア期以降(7歳〜)

最近では犬猫の寿命も長くなってきており、死因としてガンや心臓、腎臓病が上位を占めています。このいずれも、早期発見・早期治療介入で寿命を延ばせる可能性があります。

最低限やっておくべき検査項目:
一般身体検査(触診・聴診など)、血液検査、尿検査、歯科健診、レントゲン検査、超音波検査

おすすめ健診頻度:
1年に2回

※犬と猫の違いや、大型犬は小型犬に比べて平均寿命が短いことなど、犬種や猫種によって年齢層の考え方は変動します

まとめ

「動物は本能的に体調不良を隠そうとする」と聞くことがありますよね。もちろん、犬猫にも個性がありますから、性格によってはちょっとでも調子が悪いと「調子が悪いんだけど・・・」と甘えてきたり、仕草で教えてくれることもあります。しかし正反対に、ギリギリまで全く飼い主さんが気付かない(気付かせない)こともあります。

痛い、気分が悪い、吐き気がする、息が苦しい・・・

動物も人間と同じように病気になったら辛い思いをするのです。その苦しみを防ぐ、早くに見つけてあげるためにも健診はとても大切。

犬猫にとっては、動物病院で飼い主さんと離れて検査を受けることは、やはり怖いことかもしれません。そうであっても、よほどの病院嫌いでない限りは1年に1〜2回、半日間は我慢してもらって、病気の早期発見に努めることをおすすめします。

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プロフィール

唐野 智美
獣医師として、一般外来診療、シェルター診療(東日本大震災の被災動物保護施設)、救急獣医療に従事。
シェルターの閉鎖を機に、幼少期からの目標であった世界一周ひとり旅に出る。
旅の中ではバックパッカーとして各国の路地を歩き、世界中の人と動物たちの生活を等身大で体感する。
世界中で多くの人々の優しさに触れたことから、日本のことも知りたいと強く思うようになり、約1年間の世界一周を達成したその足で、東北から九州までヒッチハイクで縦断。
帰国後、国内5都市で「人と動物の共生」をテーマとした世界一周動物写真展を開催。
世界一周以前から世界中の動物シェルターを巡り、見学やボランティアを経験するなど、海外の動物事情に精通。
日本に持続可能な動物福祉施設(シェルター)を建て、行政殺処分を減らしていくことを人生最大の目標とし、動物病院での診療と並行して、執筆など動物福祉の向上を目指した活動を行なっている。

Webサイト:Animal Traveler 〜犬と猫を探して世界を歩いてみる〜
http://animaltraveler.com/

Blog:今なにしてる??ー動物&旅ブログー
http://animaltraveler.com/blog/new/

instagram:@satooono
https://www.instagram.com/satooono/

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