旅する獣医師TONOの動物イロイロコラム

ノミダニの予防ってした方がいいの?放っておくとどうなるの?

旅する獣医師TONOの動物イロイロコラム

〜日本では獣医師。世界では旅人。〜

世界一周や日本縦断を経験した“旅する獣医師とうの”さんが、日頃のペットの健康や病気に関するアドバイスから、世界の動物たちのリアルな日常まで分かりやすくお話していくコラムです。
自分のペットの事を知り、世界の動物事情を知ることで、よりペットと暮らしやすい日本を一緒に目指しましょう!


みなさんこんにちは。
旅する獣医師とうのです。

私は2020年までの時点で世界約40カ国を旅してきました。
ぐるっと世界一周もしましたが、世界中には驚くほどたくさんの野良犬さん、野良猫さんが人の近くで生活しています。そして、その犬猫さんたちは全員と言っていいほどノミやダニの問題を抱えています。

旅の最中は宿の猫ちゃんと一緒のベッドで寝ることもあります。(知らない人にも慣れたもので、ベッドに乗ってくるんです。)普段は家の中で生活していて、たまに外に出るだけの猫ちゃんでも、外からノミを連れて帰ってきて、ベッドがノミの卵だらけ!部屋中掃除しないと!なんてことも経験しました。

でもこの外部寄生虫問題(ノミ、ダニなど)は別に海外だけの話ではないのです!!日本でも、ノミ・ダニは実はとっても身近な問題なんです。

そして、動物にも人にも、皮膚のかゆみだけではなく、その他の病気をもたらします。

何を隠そう、この私も学生時代に自分の部屋をノミ地獄にしてしまった恐ろしい経験があります・・・たった3日間猫ちゃんを預かっていただけなのですが、その3日間のおかげで家がノミだらけになり、猛烈な痒みに襲われました。家全体の駆虫薬を使ったり、手作りや市販のノミトラップを駆使したり。あれは本当に大変だった・・・

今日はそんな身近で怖いノミダニの予防について詳しく話していきたいと思います。

ノミダニとは

「ノミダニ」と一言で表すとそういう虫がいそうですが、実はノミダニという生き物はいません。これは「ノミ類」「ダニ類」をまとめて言ったものです。

ノミ類にもダニ類にもたくさんの種類がいますが、主に犬猫で問題になるのはノミ類なら「ネコノミ」、ダニ類なら「マダニ」の中の約20種類ほどです。(他にもヒゼンダニなどいくつも種類がありますが、今日は一般的なノミ・マダニに絞ってお話をします。)

ちなみに、「ネコノミ 」と名前がありますが、猫にだけ寄生するわけではありません。日本の犬や人で被害を出しているのもこの種類です。

ノミ・ダニに刺された時の一般的な症状

痒み、脱毛、腫れなど(強いアレルギー性皮膚炎の症状)
貧血(大量寄生による吸血で実際に見られます。)

ノミ・ダニが媒介する病気

ノミ
・瓜実条虫
・猫ひっかき病 など

ダニ
・バベシア症
・ライム病
・日本紅斑熱 など

これらは犬猫のみならず、人にも感染する病原体(人獣共通感染症)です。日本紅斑熱など、時に人間に対しての方が強い症状を示すものもあります。

どこにノミやダニはいるの?放っておくとどうなる?

屋外のコンクリート以外の場所であればいる可能性があると思ってください。街頭の植え込み、公園、川沿い、家の庭にもいるかもしれません。

以前診察した患者さんの中には、“街中住まいで普段家の中で飼っているチワワさん”にいつの間にかダニが寄生していて、飼い主さんには心当たりがない、という不思議なこともありました。おそらく、家の駐車場に一緒に出たときや近所を少し散歩した時などに寄生したのかもしれませんね。ノミダニは生き物から出てくる熱や二酸化炭素に反応しますから、犬猫だけではなく、人の服について家の中に持ち込まれることだってあり得ます。

私の診察してきた患者さんの中で一番ひどかったのは、人里に近い山の道路で保護され、全身に無数のダニが寄生しており、貧血を起こしていたという子犬さん。ダニの駆除薬を投薬して、時間をかけて貧血は改善しましたが、あれは辛そうでした・・・。

予防方法

そんな怖いノミ・ダニですが、寄生されないようお薬で予防することが可能です。予防薬には滴下と飲み薬の主に2タイプが一般的に選ばれます。持続期間は1〜3ヶ月と製品によって違いますが、動物病院で取り扱っているものはいずれも予防効果・安全性とも高いものになります。生活スタイルや犬猫の性格などを考慮して、動物病院で相談&処方してもらいましょう。

・滴下タイプ

首の後ろあたりに液状の薬を垂らす。

メリット:飲み薬に比べて嘔吐などの消化器症状が出づらい。
デメリット:稀に、垂らした部分に皮膚炎や脱毛などが起こることがある。

・飲み薬タイプ

錠剤やチュアブル(おやつ状のもの)を食べてもらう。

メリット:おやつとして、ご飯に混ぜて、など簡単に投薬できて皮膚の不快感がない。
デメリット:食べてくれないことがある。敏感な場合は嘔吐下痢などの消化器症状が起きる可能性がある。

まとめ

以前はノミ・ダニの予防といえば滴下タイプが主流でしたが、最近では飲み薬も一般的になってきて、その中でも種類が選べるようになったりと予防薬の幅が広がっています。フィラリアタイプと一緒になったお薬もあって、飼い主さんにとっての利便性はどんどん高まっています。

もちろんお薬ですから、副作用が全くないわけではありません。しかしノミダニに寄生されてしまった場合の犬猫、人のリスクを考えると予防は積極的にしておくことが勧められます。予防薬にはたくさんの種類がありますから、生活スタイルや投薬タイプの相性を考えてあなたの家族にベストなものを選んであげてくださいね!

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プロフィール

唐野 智美
獣医師として、一般外来診療、シェルター診療(東日本大震災の被災動物保護施設)、救急獣医療に従事。
シェルターの閉鎖を機に、幼少期からの目標であった世界一周ひとり旅に出る。
旅の中ではバックパッカーとして各国の路地を歩き、世界中の人と動物たちの生活を等身大で体感する。
世界中で多くの人々の優しさに触れたことから、日本のことも知りたいと強く思うようになり、約1年間の世界一周を達成したその足で、東北から九州までヒッチハイクで縦断。
帰国後、国内5都市で「人と動物の共生」をテーマとした世界一周動物写真展を開催。
世界一周以前から世界中の動物シェルターを巡り、見学やボランティアを経験するなど、海外の動物事情に精通。
日本に持続可能な動物福祉施設(シェルター)を建て、行政殺処分を減らしていくことを人生最大の目標とし、動物病院での診療と並行して、執筆など動物福祉の向上を目指した活動を行なっている。

Webサイト:Animal Traveler 〜犬と猫を探して世界を歩いてみる〜
http://animaltraveler.com/

Blog:今なにしてる??ー動物&旅ブログー
http://animaltraveler.com/blog/new/

instagram:@satooono
https://www.instagram.com/satooono/

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