旅する獣医師TONOの動物イロイロコラム

【ワクチンの話〜犬編その2〜】ワクチンの副反応(副作用)が怖い・・・という方のために。

旅する獣医師TONOの動物イロイロコラム

〜日本では獣医師。世界では旅人。〜

世界一周や日本縦断を経験した“旅する獣医師とうの”さんが、日頃のペットの健康や病気に関するアドバイスから、世界の動物たちのリアルな日常まで分かりやすくお話していくコラムです。
自分のペットの事を知り、世界の動物事情を知ることで、よりペットと暮らしやすい日本を一緒に目指しましょう!


みなさんこんにちは。
旅する獣医師とうのです。

オーストラリア滞在中の今、時間ができた時に近くの公園に行っては犬たちが遊ぶ姿をただただ眺めて癒されています。
(多い時は毎日行っていたので、もはやただの変質者です。笑)
ノーリードで楽しそうに走り回る姿は、微笑ましいと同時に、社会科がしっかりできているんだなあ、と感心させられます。

さて、ワクチンの種類や接種のタイミングについては、前回の【ワクチンの話〜犬編その1〜】でお話しましたが、今回はワクチンの副反応(副作用)について。
※細かい話にはなりますが、ワクチンで起こる副作用のことを医療界では”副反応”と言うので、以降は副反応と表記します。

前回もお伝えしたとおり、私は、ワクチンは絶対に打っておいた方がいい!と考えています。
特に子犬のワクチンプログラムはしっかり受けておくことが、その子の命を守る上でとても大切です。

でも、ワクチンとは体に異物を入れるということ。
リスクがないわけではありません。

今日はそのお話。

ワクチンの副反応について

ワクチンの副反応で一番怖いのは、アナフィラキシーショック
アレルギーのものすご〜く強い反応のことで、死に至る可能性があります。

これは一般的には接種後数分〜30分以内には症状が出るものなので、接種後は病院の駐車場やすぐ近く(できれば待合室)でしばらく様子を見ることをお勧めします。

・なんだか元気がない、ぐったりしてきた
・歯茎の色がいつもより白っぽい
・意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない

といった症状が出た時は、1分1秒でも早く診察を受けてください!

アナフィラキシーはアレルギー反応によるものですが、ショックまでいかずとも、

・顔が腫れる(ムーンフェイス)
・体が赤くなる・痒がる
・嘔吐や下痢

といった症状が出ることがあります。

これは接種後数時間〜数日後に起きる可能性があるので、ワクチンを打ったその日はもちろん安静に。
接種後、数日間も気を抜かずにしっかり愛犬の様子を観察してくださいね。

「何か変だ」と思ったらすぐに病院へ!
午前中のワクチン接種など、その日のうちに病院に再来できる時間帯をお勧めします。

そして、これらの副反応に関して、残念ながら明確な発生率を示せるデータはありません。
(製造業者さんが独自に集めているデータによる。)

ちなみに私の経験では、ワクチン後のアナフィラキシーショックで死亡した事例はありません。
一般病院で働いていた時にはごく稀に、
「顔が腫れてきた!」
「体を痒がっている!」
とのことで再来される場合がありましたが、接種している頭数を考えると確率は低いと感じていました。

救急病院では逆に、ワクチンの副反応による顔の腫れやかゆみといった症状は良く遭遇していました。
お話を聞くと、ワクチン接種後に散歩に行った、遊ばせてしまった、と行ったパターンがよくありました。

体温を上げると副反応も出やすくなるので、ぜひ注意してください。
ワクチン接種後は涼しいところで安静に!です。

一度、ワクチンでの副反応を経験した場合は、その後も注意が必要です。

・いつ
・どのメーカーの
・どの種類のワクチンを打って
・どんな症状が出たのか

気づいたらすぐに動物病院で診察を受けるのはもちろん、今後のために自身でもしっかり記録しておきましょう。
そして、次のワクチン接種のタイミングで、打つか打たないかも含め獣医師と相談しましょう。

抗体価検査というものもあるので、毎年この検査を受けて“抗体価が下がっている=ワクチンの効果が消えてきている”というタイミングでのみ打つ、という方法もあります。

ワクチンに不安がある方は担当の獣医師さんと相談してみて下さい。

最後に

動物病院は自由診療です。

つまり、獣医師それぞれによって“うちの病院ではこの方法”ということを決めることができます。
ワクチンのお値段やメーカーも病院ごとで異なります。

このコラムで書いている内容はあくまで、WSAVAのワクチンガイドラインを要約したもの+私の経験からお話しているものであり、かかりつけの先生のお話と違うことがあるかもしれません。

私がWSAVAのガイドラインを紹介したのは、エビデンス(証拠)に基づいたワクチネーションプログラムを推奨しているからですが、世界中全ての国と地域で同じワクチンプログラムを当てはめ、それを絶対とするのはナンセンスなのかもしれません。
ここで紹介したものはあくまで“ワクチンの基本的な考え方”と捉えてください。

ワクチンはペットの命を守るためにとても大切なこと。
でも、注射を受けるというだけでリスクがゼロなわけではないですし、基本的にワンちゃんネコちゃんにとっては嫌なことです。

それぞれのかかりつけさんで勧められる方法がもし違う場合は、しっかりと担当医と話し合い、納得したワクチンプログラムを受けてくださいね。

また、ワクチンには“うちの子を守る”という役割と同時に、“その地域の犬猫たちを守る”という集団免疫の考え方があります。
お住いの地域の犬猫たちのワクチン接種率が上がるほど、感染症のリスクは減っていきます。
ぜひ、地域のペット仲間さんたちと一緒にワクチンについて話し合ってみてください。

次回は熱中症のお話をしたいと思います。
熱中症は真夏だけじゃなく、5月にも起こるんです!!

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プロフィール

唐野 智美
獣医師資格取得後、東北にて勤務。
一般外来診療ならびに東日本大震災により被災した動物たちのためのシェルター診療を経験。
シェルターの閉鎖を機に、幼少期からの目標であった世界一周ひとり旅に出る。
世界中で多くの人々の優しさに触れたことから、「日本も見てみたい!」と強く思うようになり、約1年間の世界一周を達成したその足で、東北から九州までヒッチハイクで日本縦断。
その後は救急病院の獣医師として研鑽を積みながら、国内5都市で世界一周動物写真展を開催。
自身の人生最大の目標は、日本に持続可能な動物福祉施設(シェルター)を建て、行政殺処分を減らしていくこと。
中学生で初海外を経験して以来、お金を貯めては世界中のシェルターを巡り、見学やボランティアを経験。
2020年現在、動物シェルターが多いという事でオーストラリアに滞在中。

Webサイト:Animal Traveler 〜犬と猫を探して世界を歩いてみる〜
http://animaltraveler.com/

Blog:今なにしてる??ー動物&旅ブログー
http://animaltraveler.com/blog/new/

instagram:@satooono
https://www.instagram.com/satooono/

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