デンタルケアのススメ

その6 スケーリングについて(1)

デンタルケアのススメ

ペット用の歯磨き用品や、歯磨き効果のあるおやつやおもちゃなど、たくさんのお手入れグッズが登場し、愛犬のデンタルケアへの関心が高まっています。
しかし、間違った知識や方法では効果がなかったり、歯周病の予防にはならなかったりします。
飼い主さんの油断で愛犬を苦しめないためにも、日頃からお口の中をチェックしてケアしてあげたいですね。


愛犬に口臭がある場合、歯石が原因となっている事がほとんどです。
一番大切なのは日々の歯みがきを根気よく続ける事ですが、既に歯石がついてしまっている場合は、虫歯や歯槽膿漏など他の重大な疾患を招いてしまう恐れがあります。
歯石を除去する事により、ほとんどの場合口臭は無くなります。
歯垢は歯みがきで除去ができますが、歯石の除去には専用の器材が必要です。スケーリングの真の目的は目に見えている部分の歯石を取る事ではなく、歯周ポケット内の治療です。
今回は麻酔下でのスケーリングについてご紹介します。やはり、あんな小さい身体に全身麻酔をかけるのは、どの飼い主さんにとっても心配なことで、躊躇したり拒否する方が多いと思います。動物の全身麻酔に関する知識や技術を習得している獣医師の下、適切な診察や検査を行った上で、安全に治療が行えると判断された場合み施術が行われます。

ステップ1:スケーリング前に…

腎機能・肝機能等の数値確認の為、必ず事前に血液検査を行います。
またレントゲンにて肺を撮影し、麻酔を行う際に問題が無いかどうか確認します。
コンちゃんは血液の数値・レントゲン共に異常が無かったので、予定通り全身麻酔科でのスケーリングが行われました。

  • スケーリング前に…

ステップ2:スケーリング開始

麻酔安定後、電動スケーラーにて歯石除去を開始します。前歯、奥歯、裏側はもちろん、唾液腺近くの歯石がつきやすいポイントは特に時間をかけてスケーリングします。
スケーラーからは水が流れ、手術台がすのこ状になっているので溜まる事なく流れ落ちます。
コンちゃんは少量しか歯石の付着が見られませんでしたが、普段目視できない部分の歯石もキレイに除去が行われました。

歯石除去が完了すると、ポリッシング処置を行います。
ワンちゃんの口腔内は本来虫歯になりにくい環境ですが、キズや凹凸のある状態を放置してしまうと、歯石がたまり、 やがては虫歯へと進行してしまいます。
そこで歯の表面を平滑にすることで、歯垢や歯石形成の進行を予防するのです。
最後に消毒を行い、スケーリングは終了です。

  • 歯みがきの方法
  • 歯みがきの方法

施術中は麻酔の管理を徹底し、マットや毛布をかけ、コンちゃんの体温が下がらないよう終始注意。スケーリングは麻酔から覚めるまでを含めても30分ほどで終了しました。


グレイス動物医療センター
大阪府大阪市東住吉区湯里5丁目19-14
06-4302-8661
10:00~13:00/16:30~19:30(日・祝)14:00~18:00
※予約診察:月~土/16:00~16:30

バックナンバー

こちらもおすすめ

page top