弁護士石井センセイのペット事件簿

第10回 ネットでのペット購入問題

弁護士石井センセイのペット事件簿

京都で弁護士をされている石井一旭先生に、実際にあったペットに関連する事件をご紹介いただきます。
「ペットを愛する方々に楽しく法的知識を身につけていただき、弁護士を身近な相談相手として感じてもらいたいと思っております。」


Xさんはインターネットで業者Aから小鳥を購入しようと考えています。法的に気をつけなければならないことはあるでしょうか。

1 ネット購入時に注意すべきこと

(1) 相手が登録業者かどうか
 動物を販売する業者は、第一種動物取扱業者として、都道府県知事または政令市の長の登録を受ける義務があります(動物愛護法10条1項。以下「法」といいます。)。これは当然ネットで販売する業者にも該当します。
登録制に問題があることは第8回(https://299navi.com/topics/bengoshi/8749)でも触れましたが、それでも例えば基準に従った飼養施設がなければ登録は拒否されますし(同法12条1項、同施行規則3条)、動物の健康及び安全を保持するための環境省の基準を遵守する義務(法21条1項)、動物取扱責任者の選任義務(法22条1項)など、第一種動物取扱業者には様々な義務が課されており、安全性がある程度担保されています。
第一種動物取扱業者は、登録事項を記載した標識を公衆の見やすい場所に掲げることが義務付けられていますので(法18条)、店舗では容易に確認することができますが、ネットでペットを購入するにあたっても、ホームページに登録事項がきちんと明記されているかを確認するようにしましょう。

(2) ネット取引の特則
 ネット上の取引は、1クリックで成立する利便性がある反面、間違ってクリックしてしまうおそれがあります。そこで、電子消費者契約法で、購入意思や内容の確認画面を表示するなどの措置を取ることが求められています。そのような確認がないまま間違って購入してしまった場合は、契約の錯誤による無効を主張することができます。

2 対面販売義務

動物愛護法は、犬猫等を販売する業者に対して、あらかじめ、購入希望者にその動物の現在の状態を直接見せること(現物確認)、また対面により書面等を用いてその動物の飼養や保管の方法、生年月日、繁殖者の氏名その他必要な情報を提供(対面説明)することを義務づけています(法21条の4)。これは、購入した動物が思っていたものと違ったとか、思わぬ病気にかかっていた、というような購入後のトラブルを防ぐための規定です。
これはネット上の販売でも例外なく課せられた義務ですので、ネット販売業者も購入者に直接ペットを見せ、直接面談して詳しい説明をしなければなりません。
最近はネット販売において対面説明を代行する業者がいるそうですが、代行業者では十分な説明ができるとは思われず、したがってトラブルを防ぐことができません。ペットの取り違えや思い違いを防ぎ、今後世話をしていくために必要な情報をきちんと得ておくためにも、代行業者の利用は控えるべきです。

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プロフィール

石井 一旭
京都大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了。京都市内で「あさひ法律事務所」を開設、ペット問題をはじめとして、交通事故・相続・離婚・債務整理・不動産・企業実務・登記等、幅広い分野を取り扱う。司法書士有資格者。

あさひ法律事務所HP
https://www.asahilawfirm.com/

弁護士石井一旭のペット法律相談所
https://peraichi.com/landing_pages/view/lawyerishiipettrouble

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