弁護士石井センセイのペット事件簿

第1回 ペット禁止のマンションでペットを飼うとどうなるの?

弁護士石井センセイのペット事件簿

京都で弁護士をされている石井一旭先生に、実際にあったペットに関連する事件をご紹介いただきます。
「ペットを愛する方々に楽しく法的知識を身につけていただき、弁護士を身近な相談相手として感じてもらいたいと思っております。」


299naviをご覧の皆様、はじめまして。京都市で弁護士をしております、石井一旭と申します。
このコラムでは、実際にあったペットに関連する事件の紹介を通じて、ペットを愛する皆様に楽しく法的知識を身につけていただき、弁護士を身近な相談相手として感じてもらいたいと思っております。わかりやすい解説を心がけて参りますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、さっそく第1回の事件簿は、以下のようなお話から。

イヌを飼っているAさんが分譲マンションZに住みはじめました。
Zマンションにはペット飼育禁止の規約がありましたが、Aさんはマンション購入にあたり、仲介業者から『このマンションではイヌやネコを飼っている人もいますし、前の居住者さんもイヌやネコを飼っていましたよ。』と聞かされていたので、イヌを飼っても大丈夫だと判断し、イヌと同居していたのです。
ところがAさんは、Zマンションの管理組合から「イヌの飼育を禁止する」という裁判を起こされてしまいました。(東京地裁平成13年10月11日判決参照)

Aさんは、購入にあたって、マンションの規約中にペット飼育禁止の決まりがあることは知っていたと思います。イヌを飼っている方であれば、これから住もうとしているマンションがペット飼育OKかどうかは真っ先にチェックしますよね。

Aさんは仲介業者さんの話を信じ、また「他の人も飼っているからいいだろう」と考えてしまったわけですが、裁判所は、Aさんに対し『イヌを飼ってはならない』という判決を下しました。
決め手となったのは、マンション規約にはっきりと「ペットを飼ってはいけない」という定めがあったことです。
マンションの規約は入居者が守らなければいけない禁止事項を定めたもの(区分所有法30条1項)ですから、裁判所はその規約どおりの判決を下したのです。

では「仲介業者さんの説明が間違っていたことは問題ではないのか?」ですが、これは「Aさんと仲介業者との間で解決されるべき問題で、マンションの規約の効力には変わりない」と示されています。
また他の入居者がペットを飼っているとしても、「そのことから直ちにAさんのペット飼育が正当化されるものではない」とも示されました。
簡単に言えば、間違った説明を信じたから、みんながやっているからといって決まり事を無視してもいいことにはならないよ、ということです。こう聞くと当たり前の話のように聞こえるかもしれませんが・・・。

こうなると、イヌをどうしたらいいのでしょうか?
Zマンションでは飼ってはならないとされた以上、Aさんとしては他にペット飼育可能なマンションを探して引っ越すか、Zマンションに住み続けるのであればイヌを手放さなくてはいけなくなります。安易に仲介業者の説明を信じてしまったばかりに、Aさんにとってもイヌにとっても不幸な結果を招いてしまったのです。

ペットを連れてマンションなど共同住宅に入居される際は、ペット飼育が可能かどうか、業者さんや前の持ち主等の説明を鵜呑みにせず、しっかりと規約にあたって内容を確認するようにしましょう。

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プロフィール

石井 一旭
京都大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了。京都市内で「あさひ法律事務所」を開設、ペット問題をはじめとして、交通事故・相続・離婚・債務整理・不動産・企業実務・登記等、幅広い分野を取り扱う。司法書士有資格者。

あさひ法律事務所HP
https://www.asahilawfirm.com/

弁護士石井一旭のペット法律相談所
https://peraichi.com/landing_pages/view/lawyerishiipettrouble

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