まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生に聞くわんちゃん・ねこちゃんの〝栄養〟のおはなし

第2回 ベジタリアン猫、ベジタリアン犬はいるの?(プロテインスコア)

まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生に聞くわんちゃん・ねこちゃんの〝栄養〟のおはなし。

まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生によるワンちゃんネコちゃんの栄養にまつわるコラムです。


ネコもイヌもカラダは「食べ物」から出来ています。
そうなんです、飼い主さんのあなたが与えたものでカラダが作らているのです。(いくらイヌが賢いといっても自分で買いに行くことは出来ませんから)

飼い主さんの中には、ベジタリアンの人もいらっしゃると思います。そして、玄米食がいいし、豆乳が好きな方も。

でも、ネコは完全な肉食です。そしてイヌも、ネコほどではありませんが、ほぼ肉食なのです。
人間は、ヒトという種ですが、ネコとイヌとは、人間と同じ種ではないので、飼い主さんと同じものを食べていると、病気になってしまいます。

たとえば、ネコの必須アミノ酸であるタウリンは、動物性のものにしか入っていません。豆腐がいいと思って、ネコに懸命に植物性タンパク質だけを与えていると、心臓疾患などになることは目に見えてわかっているのです。

この記事を読んでおられる飼い主さんは、手作り食をされている人もいるでしょう。タンパク質をちゃんと与えてないと病気を招くこともあるので、知識が必要です。

つまり、ベジタリアン猫、ベジタリアン犬はいないのです。

そして今日は、プロテインスコアの話を。

タンパク質の栄養価を表すものです。イヌ・ネコ独特のものがないので、ヒトのスコアを使います。
ヒトの体内で作ることのできない8種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいるかどうかによって、その食品の栄養価が決められています。
必須アミノ酸のどれか一つでも不足していると、全体の指数は低くなります。
卵は必須アミノ酸の組成が理想的で、これを基準値の100としています。

全卵→100
卵白→100
卵黄→89
鶏肉→87
豚肉→90
牛肉→80
大豆→56
牛乳→78

卵のプロテインスコアがいいからといっても、全てタンパク質で出来ているわけではありません。
生卵1個にタンパク質は6.5g含まれています。生で食べて6.5gのタンパク質が吸収されます。

具体的に計算をしますと
生卵1個 タンパク質6.5g×1.00=6.5(生で食べるとサルモネラ菌などの心配もあるので、加熱するとさらに低くなります)
牛肉100g タンパク質20g×0.8=16(生で食べるとサルモネラ菌などの心配もあるので、加熱するとさらに低くなります)

体重1kgに必要なタンパク質は
ヒトは、体重1kg当たり1g少しのタンパク質がいります。だから、50kgの人で、50gのタンパク質が必要。
イヌは、体重1kg当たり約5g少しのタンパク質がいります。5kgのイヌなら、25gのタンパク質が必要。
ネコは、体重1kg当たり約7g少しのタンパク質がいります。5kgのネコで、35gのタンパク質が必要。

ペットフードを与えている人は、成分表を見て、愛犬、愛猫のタンパク質が足りているか計算してくださいね。手作り食の方も同様に。

ヒトよりタンパク質が必要なネコやイヌに、わざわざ植物性タンパク質を与えていると栄養不足の子になるので、注意してください。

(原文ママ)

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プロフィール

石井 万寿美(いしい ますみ)日本獣医皮膚病学会会員/(財)動物臨床医学研究所会員/日本動物行動学会会員
NPO-大阪活性化推進総研の出前授業の講師

1979年 大阪府立寝屋川高等学校卒業
1984年 酪農学園大学獣医学科卒業
1986年 酪農学園大学獣医学科卒業獣医学修士取得
1985年 大阪市旭区 会田動物病院にて勤務
1992/9/19 大阪府守口市にまねき猫ホスピタル開設。
現在に至る

まねき猫ホスピタル 〒535-0095 大阪府守口市八島町1-15 レジャービルシャルマン・1階
ペットと一緒にいる暮らし

【著書紹介】
老犬との幸せな暮らし方
にゃるほどジャーナル

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