まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生に聞くわんちゃん・ねこちゃんの〝栄養〟のおはなし

第3回 がんの食事

まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生に聞くわんちゃん・ねこちゃんの〝栄養〟のおはなし。

まねき猫ホスピタルの院長 石井万寿美先生によるワンちゃんネコちゃんの栄養にまつわるコラムです。


「がんになったら、何故、亡くなるの?」
ということを、栄養学の観点からアプローチしていきたいと思っています。

がんになったからといって、犬や猫でもすぐに亡くなるとは限らない時代にきています。がんと共存できるのです。
私は臨床現場にいて、がんなどの難治性の疾患について、鳥取大学の岡本教授のところにいき、いろいろと教えていただいています。
岡本教授は、以下のように仰っています。

がんは分裂を繰り返すので、栄養とエネルギーを必要とします。新しい血管をつくって、どんどんと栄養素を取り込みます。さらにがんはリンパ節にのって転移するという性質を持っています。そして、がんに多くの栄養が供給され、他の臓器に栄養が届きにくくなります。やがて心臓や脳、他の臓器が機能しなくなり、亡くなるのです。

これらのことを考えると、がんになったら、いままでと同じ食生活をしていてはダメだということはわかっていただけると思います。
何故なら、がん細胞が大きくなるために、エネルギーをたくさん消費するからです。放っておくと、正常な細胞にも栄養がいかなくなります。そうすると臓器不全になって亡くなるのです。

がんになるのは、シニアの時期になることが多く、そのままのシニアのフードを食べさせている飼い主さんが多くいます。
そうしていると、がん細胞に栄養を取られて栄養失調に落ちいるので、薬も効きません。(私はほとんどしませんが)抗がん剤を投与しても薬が効きにくいのは、そういうことなのです。

だから、飼い主さんは動物病院に行って治療をすることは当然のことですが、食事は高タンパクのものにしないといけません。
何故なら、がんになって完治する・よくなるということは白血球の役割が大きく、薬は血液の中でアルブミンが運搬するのですが、そのアルブミンもタンパク質で出きているからです。そんな白血球やアルブミンが枯渇しているとがんは治らない、ということを理解していただいたけると思います。

がんなって食事を変えないと、脳や心臓という生きていくために絶対に必要なところに栄養がいかなくなり、亡くなってしまうという事態を招きます。
第2回で書いていますが、猫も犬も人間よりたくさんタンパク質を要求するので、しっかり取らないとカラダがちゃんと動きません。

動物病院に行って手術をしてもらったり、治療をしてもらっているのに、ますます弱っていくと思っている人は、食事を見直して、たくさんのタンパク質を食べさせてもらうと、いままでと違って、見違えるぐらい元気になる子もいます。

がんになって、食欲が落ちる子は、やはりよくありません。
だから、その子の好きそうな、牛肉・鶏肉・豚肉・ターキー・馬肉など、動物性のタンパク質をたくさん食べさせてあげてください。食べ始めるとカラダがいい方向にベクトルが向いてきて、元気になるのです。
もちろんがんが完治すればいいのですが、たとえがんがあっても、機嫌よく生きている子はいる時代になったのですから。

(原文ママ)

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プロフィール

石井 万寿美(いしい ますみ)日本獣医皮膚病学会会員/(財)動物臨床医学研究所会員/日本動物行動学会会員
NPO-大阪活性化推進総研の出前授業の講師

1979年 大阪府立寝屋川高等学校卒業
1984年 酪農学園大学獣医学科卒業
1986年 酪農学園大学獣医学科卒業獣医学修士取得
1985年 大阪市旭区 会田動物病院にて勤務
1992/9/19 大阪府守口市にまねき猫ホスピタル開設。
現在に至る

まねき猫ホスピタル 〒535-0095 大阪府守口市八島町1-15 レジャービルシャルマン・1階
ペットと一緒にいる暮らし

【著書紹介】
老犬との幸せな暮らし方
にゃるほどジャーナル

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